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国際化、異文化コミュニケーションとプロジェクトマネジメントについて

NIT MOT Letter

No.5 / 髙篠 昭夫(専任教授)

 

昨年よりプロジェクトマネジメントの授業を担当し、本年3月に院生の特定課題研究が終了致しました。また副査として7人の特定課題研究についての確認もさせて頂きました。その中には海外での事業改革、新規事業の展開といったテーマも含まれており、院生の特定課題研究も海外での課題研究活動まで広がっていることが分かりました。

私事で恐縮ですが、30年前に米国で工場の建設と現地生産化のプロジェクトに携わり現地の人たちとはじめて仕事をしました。企業活動ですから当然、事業日程、許容投資、ターゲットコストなどの制約条件があり、それらの件に対して、現地の人たちとの間に考え方、価値観、商習慣の違いからくる仕事の進め方などで、日本人と現地の人たちとの間に緊張関係が高まり随分苦労したものでした。当時はまだ本格的な海外進出も始まったばかりで「異文化コミュニケーション」といった言葉もなく、言葉さえできれば何とかなるといった認識でした。

そもそも異文化とは広くとらえれば性別、年齢・世代、職業・社会的立場、出身地・育った環境などに様々な異文化が存在しますが、特に宗教、国や民族間に端的にその差が現れてきます。異質な者同士が理解し、信頼し、意思疎通・コミュニケーションを図ろうと思えば、当然その発言や行動の拠り所となっている宗教、文化や習慣を理解しておく必要があります。その結果、逆に異文化の人と交流することで自分のポジション、立場、自己アイデンティティがはっきりと見えてきたりします。

政府機関が発行している資料(2015年度)によると、日本国内でも外資系企業が3,300社あり、日本企業が世界中に進出し事業を展開している現地法人は24,000社あります。このようにグローバル化が進展する中で、事業上のトラブルが後を絶ちません。628社が海外から撤退を余儀なくされています。事業展開に関するトラブル事例を見ると、①意思疎通(技術英語の知識も含む)②ネゴ・プレゼン等の交渉 ③外国特許、輸出入規制、税などの法律 ⑤異文化コミュニケーション、商習慣の違い ⑥政治・経済・社会情勢等の事業への影響 等がトラブルの要因としてあげられています。

国際化、グローバル化が叫ばれて、「異文化コミュニケーション」から更に踏み込んで「多文化共生」とその研究成果が生かされています。しかし我々にとって国際化はあまり強い領域ではありません。外国人を交えた海外でのプロジェクトも当たり前のようになってきている現在、異文化コミュニケーションの大切さが英語力の向上とともに言われています。プロジェクトマネジメントでも、文化的背景の異なる人々とチームを組み、交流し、仕事を成し遂げるために、どのようにプロジェクトをマネジメントしていけばよいのかを取り上げています。中堅、中小企業の海外進出が加速される今日、この異文化コミュニケーション、海外プロジェクトの進め方についてもニーズが更に増えてくるでしょう。

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(写真)外には日本と同じようにお祝いの花輪が並ぶインドネシアでの日系企業の現地法人のオープンセレモニーの様子です。インドネシアではオペレーションに関してはイスラム教とその習慣を尊重し、経営に関しては華僑の商慣習を尊重しないと思わぬトラブルを引き起こすことがあります。

 

髙篠 昭夫(専任教授)

次号(No.6)は水澤直哉教授が執筆予定です。

 

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