MOT 働きながら技術経営が学べる1年制大学院 日本工大MOT

ファミリービジネスとイノベーション

  • The Family Business and innovation
担当教員 平野 秀輔 専任・客員 客員 単位数 2単位
開講学期 秋学期 開講曜日・時限 月曜日 1・2時限
位置づけ 事業承継分野 応用段階
科目紹介
科目の重要性・
必要性
ファミリービジネスと聞くと、極めて小規模な企業形態ととらえる向きがあり、それもあってか、日本ではそれについて体系的な研究があまりされてこなかった。ファミリービジネスの定義を、創業者一族が経営に関わっているか、もしくは非上場会社においては過半数を、上場会社においては三分の一以上の議決権をファミリーが支配している会社とすると、中小企業はもとよりビッグビジネスでも多くがこれに該当する。分かりやすい例を挙げればドイツのBMWやVolkswagenもファミリービジネスである。欧州における調査によると、各国において企業規模が大きいそれぞれ1,000社(上場会社を含む)に占めるファミリービジネスの割合は、ドイツでは35.9%、フランスでは38.4%、イタリアに至っては47.9%となっている。もちろん、企業規模がより小さい場合にはこの割合はより高くなるり、大多数の企業はファミリービジネスであるといえ、各国経済の中心的な役割を担っている。さらに、ファミリービジネスの利益率や財務体質は非ファミリービジネスより優れているとも言われている。
一方で、ファミリービジネスに関するさまざまな問題は通常の経営理論ではあまり説明されず、あえて論議の対象から外されていたきらいもある。
かような状況を反映して、欧米諸国では近年ファミリービジネス研究が急速に進み、多くの出版物・論文等が公表され、企業形態研究の重要な位置を占めつつある。
よって、中小企業のMOTを研究する本学院生には、ファミリービジネス論を知っておくことが重要であると考えられる。
科目の目的 ファミリービジネスに研究における最も有名なモデルは、ハーバード大学のJohn Davis教授らが考案した、“Family”,“Management”,“Ownership”の3要素がオーバーラップする“The Three Circle Model”ⅲであり、現在でもほとんどの研究はそれを考慮する形で行われている。本講義は、海外文献において定型となりつつある体系に基づいてファミリービジネス論を解説し、その各論点におけるイノベーションの可能性を示唆するものである。
また、実務家として多くのファミリービジネスに対し、事業承継・株式移動・財産管理に関するタックスプランニングを手掛けていることから、それについても詳述することとする。
さらに、ファミリービジネスの非ファミリービジネスに対する優位性は、当然に財務諸表においても現れるので、財務諸表分析についても折に触れて解説することとする。
到達目標 ファミリービジネスの特徴をとらえ、その長所・短所を理解し、自らの研究や今後の業務に応用できる知識を習得すること。
企業業績の評価について基礎知識を徹底して理解すること。
受講してもらいたい
院生
・ファミリービジネスに在籍する院生
・ファミリービジネスと取引をもっている院生
・海外取引を行っている院生
授業計画
1回 予習・復習 院生がファミリービジネスとどのように関係しているかを復習する。
授業内容 ファミリービジネスの定義、特殊性
2回 予習・復習 ファミリービジネスが非ファミリービジネスに対して、どのような長所・短所を有しているかを復習する。
授業内容 ファミリービジネスの原動力
財務データの分析手法 (1)バランスシートの考え方
3回 予習・復習 非ファミリービジネスと比較した場合、ファミリーの存在とビジネスに与える影響について復習する。
授業内容 ファミリーとビジネスの関係
4回 予習・復習 ファミリーメンバーをも含めた人的資源管理について復習する。
財務データの分析手法 (2)インカムステートメントの考え方
授業内容 ファミリービジネスに求められる人的資源管理とリーダーシップ
システム思考に基づくフィードバック・ループ
5回 予習・復習 非ファミリーの経営者、社外取締役、経営コンサルタント等の必要性について復習する。
授業内容 外部資源の利用
6回 予習・復習 ファミリービジネスにおける会議体としての取締役会のあり方を復習する。
授業内容 ファミリービジネスにおけるBoardroomの役割
財務データの分析手法 (3)収益性の分析の考え方①
7回 予習・復習 第3世代以降となったファミリービジネスについてどのようなガバナンス手法があるかを復習する。
授業内容 数世代にわたるファミリーガバナンス
8回 予習・復習 事業承継について、計画を立案し、その実行を行うことの重要性を復習する。
授業内容 Succession(事業承継)のマネジメント
財務データの分析手法 (3)収益性の分析の考え方②
9回 予習・復習 日本における事業承継に関する法について、その適用範囲の制限等を復習する。
授業内容 日本における事業承継に関する法的環境
10回 予習・復習 非上場株式の移動についての税制策について概要を復習する。
授業内容 ファミリービジネスのタックスプランニング(1)
財務データの分析手法 (4)付加価値分析の考え方
11回 予習・復習 相続税および贈与税に対する準備について復習する。
授業内容 ファミリービジネスのタックスプランニング(2)
12回 予習・復習 ファミリービジネスオーナーの退職に関しての留意点を復習する。
授業内容 財政基盤の確保と退職の管理
財務データの分析手法 (5)財務安定性の考え方
13回 予習・復習 オーナー及びファミリーメンバーの富を管理する重要性とその手法について復習する。
授業内容 ファミリーの富のマネジメント
財務データの分析手法 (6)キャッシュ・フローの考え方
14回 予習・復習 第1回から第13回までのまとめを復習する。
授業内容 ファミリービジネス研究の今後、まとめ
15回 予習・復習 これまでの講義内容を予習してくる。
授業内容 ディスカッション
授業方法 講義を中心とするが、受講生からの質問時間を多く設け、最終
回だけではなく、各回にもディスカッションの時間を設けるようにする。
テキスト 指定しない。当方でレジュメを配布する。
参考図書 ・ “Family Business, Key Issues” , Danise Kenyon-Rouvinez, John L. Ward, 2005
Palgrave. ISBN 978-1-4039-4775-8. (日本語版 「ファミリービジネス 永続の戦略 [同族経営だから成
功する]」富樫直記 (監修), 秋葉 洋子 (翻訳)」,2007,ダイヤモンド社)
・“Family Business, The Essentials “, Peter Leach, 2011, Profile Books. ISBN978-1-86197-861-5.
・“The Modern Family Business, Relationships, Succession and Transition ”, Lorna Collins,
Louise Grisoni, Claire Seaman, Stuart Graham, Dominique Otten, Rebecca Fakoussa and Johin
Tucker, 2012, Plgrave. ISBN978-0-230-29791-3.
・“Knowledge and the Family Business, The Governance and Management of Family Firms in the
New Knowledge Economy” Malio Del Giudice, Maria Rosaria Della Peruta, Elias G. Carayannis,
2011, Springer.ISBN978-1-4419-7352-8.
・“The Family Council Hand Book” Chiristopher J.Eckrich and Stephen L. Mcclure, 2012,
Palgrave.ISBN978-0-230-11219-3.
・"Governance in Family Enterprises", Alexander Koebberle-Schmid, Denise Kenyon & Ernesto J.
Poza. 2014. Palgrave. ISBN978-1-137-29389-3.
・「新事業承継税制のすべて」、右山研究グループ、2008、大蔵財務協会,ISBN978-4-7547-4291-1.
・「中小企業経営承継円滑化法と新・事業承継税制」、
神崎忠彦・柏原智行・笠間太介・出口徹朗,2009,金融財政事情研究会,ISBN978-4-332-11527-7.
 ・「非上場株式に関する相続税・贈与税の問題点」,平野秀輔,2014.白桃書房,ISBN978-4-561-46175-3.
 ・「財務管理の基礎知識 第3版」,平野秀輔,2017,白桃書房,(2017年春発行予定).
成績評価
評価の視点 評価
ウェイト
備考
ファミリービジネス論を理解しているかを、授業時間中のディスカッションによって把握する。 50 % 毎回の講義は、できるだけ対話形式にし、受講生の発言機会が均等になるよう配慮する。
講義終了後のレポートにより、各受講生のファミリービジネスのとらえ方を判断する。 50 % 全15回講義終了後にレポート提出をさせ、それによって評価する。
合計 100%  
受講生へ ・参考図書は洋書が多いが、講義に引用するものは翻訳してあるので、受講にあたり英語力は必要ない。
その他 ・授業時間中は、実務上の質問についても受け付ける。
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