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【No.26】大谷翔平選手の活躍から気づいた思考の枠

NIT MOT Letter

No.26 / 萬代 憲司(専任教授)

 

私の最近の楽しみの一つは、メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスにおける大谷翔平選手の活躍を見ることです。投手・打者の二刀流として、それなりに活躍するとは思っていましたが、想像以上の活躍ぶりで、日本人として誇りと嬉しさを感じます。プロ野球の世界では投手か打者のどちらかに専念しないと活躍できないという意識が私自身に強くありました。その考えが強いのは、私も学生時代は野球をやっていましたが、学生時代はエースで4番のずば抜けた選手も、ある時点で常に投手か打者を選んできたのを見てきたからです。そのような経験から、私自身が知らず知らずのうちにプロで活躍するには、投手か打者を選択しなければならないという「思考の枠」にはまっていたのです。自分自身の思考に枠が付いて、固まった考えになっている訳です。

 

「これはこういうものだ!」「あの人はこういう人だ!」「前にもやったから無理だ!」などの思い込みや、固定観念をしっかりと厚い枠に固定してしまい、それ以外の考えや意見を受け入れない状態にしてしまうことはありませんか? 「自分は思考の枠を持っていないよ」と思われる方もいるかもしれませんが、我々の誰もが何らかの思考の枠を無意識に持っています。思考の枠を持っていることにより、逆に素早い判断も可能になるというメリットもあります(適切かどうかは確かではありませんが)。ちなみに「学習する組織」の著者であるピーター・センゲは「メンタルモデル」と呼び、それぞれの人がもつ「世の中の人やものごと」に関する前提と定義しています。

 

今我々は「VUCAの時代」にいると言われています。Volatility(変動)、Uncertainly(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語であり、現在の社会経済環境が、非常に予測困難な状況にあることを表しています。予測困難な状況にあるということは、今までの経験(特に成功体験)や法則がうまく機能しない可能性が高まっている訳です。このような時代だからこそ、過去の経験に基づいて築き上げた思考の枠は成功のための足かせになるかもしれません。

 

ではどうしたら思考の枠を外せるのでしょうか? 私はダイバーシティ&インクルージョン(多様性&受容性)が重要だと信じています。ダイバーシティとは人々の違いや差を意識することであり、インクルージョンとは包括、一体となるという意味合いがあります。自分とは異なる考えや意見を持つ人を知る・理解することにより、自分自身の思考の枠を認識できます。まず、自分自身の思考の枠を認識することがスタートですが、これも自分だけで行うのは結構難易度が高いのです。周りを活用しましょう。そして異なる考えや意見を受容していくことにより、思考の枠を外して多くの選択肢を考え実行していく可能性が高まります。

 

VUCAの時代だからこそ、社会・組織・人に対する経験に基づいた自分自身の思考の枠を外していくことが求められています。また、自分自身への思考の枠を外し、自分の本当にやりたいことに挑戦していく人が一人でも増え、様々な分で第二・第三の大谷翔平選手がでてくることを期待します。私自身も何かと言い訳をしていて先延ばしにしてきたことに挑戦します。実際に挑戦できた後に、皆さんと共有します! 何をするのか言わないのも私の思考の枠かもしれません。

 

     

 

萬代 憲司(専任教授)

 

次号(No.27)は 佐々木 勉教授 が執筆予定です。

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