Basic Accounting
本講座では、財務諸表の読み方と作成方法を中心に、その利用方法についても言及し、それらについての基礎を、易しく解説する。この講座で学ぶ知識は、これから諸君が学ぶ経営関係の各講座を理解するための基礎となり、理解を促す糧になる。
本講座の目的は、下記の三つに分かれる。
Ⅰ 財務諸表の読み方の理解
Ⅱ 財務諸表の作り方の理解
Ⅲ 財務諸表の利用
本講座では会計に関する知識・経験のない受講者が、財務諸表を読めるようになり、作成できるようになり、また利用できるようになることを目標とする。
この講座は、今までに会計について、特別な勉強をした経験のない院生、会計関係の業務に携わったことのない院生に受講してもらいたい。すなわちこの講座は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった名称を聞いたことも見たこともなく、あるいは見たことはあっても、それらに関心を一切もったことがないといった院生に履修してもらいたい基礎科目である。
予習:自分のキャリアの中で、会計に関わった時期と内容について思い出し、整理しておいてください。
復習:貸借対照表の意味を理解する。
また授業時間中に出てくる会計用語については、次の時間までに確実に意味を理解し、使用できるように復習しておくこと。
Ⅰ 財務諸表の読み方
貸借対照表の読みかた①
なお、第1回では、履修者の会計に関するリテラシーを確認するためのアンケート調査を実施する予定です。
予習:前回のレジュメを熟読する。
復習:資産と負債と純資産の関係を把握する。
貸借対照表の読み方②
(資産の会計)
予習:前回のレジュメを熟読する。自分の属する会社の貸借対照表の中の資産についての勘定科目を洗い出し、資産の内容を確認しておくこと。
復習:負債と資産を構成する各項目および内容について理解をする。
貸借対照表の読み方③
(負債・資本の会計)
予習:前回のレジュメを熟読する。
復習:損益計算書の構造を理解する。自分の属する会社の資金の調達の特徴を貸借対照表を読むことによって確認しておくこと。
損益計算書の読み方①
予習:前回のレジュメを熟読する。
復習:収益と費用を構成する各項目について確認する。自分の属している会社の収益力を損益計算書を読むことによって把握すること。
損益計算書の読み方②
収益・費用の会計
予習:自分の属している組織で、キャッシュフロー計算書、四半期報告書等を作成しているか否かを確認する。
復習:自分の属している会社の資金調達の特徴をキャッシュフロー計算者によって確認しておくこと。
キャッシュフロー計算書の読み方
四半期財務諸表および連結財務諸表の役割と読み方
ミニテスト
復習:簿記の特筆を理解する。
Ⅱ 財務諸表の作り方
簿記の基礎的概念・構造の説明
復習:課題を提供するので、仕訳の練習を行う。
簿記一巡の手続①(仕訳・転記)
予習:仕訳が完全に理解できたかを確かめる。
復習:試算表を作成できるか否かを確かめる。
簿記一巡の手続②(試算表・精算表の作成)
有
解答例示のみ
予習:精算表を作成できるか否かを課題で確かめる。
復習:決算の過程を再確認する。
簿記一巡の手続③(決算処理)
有
解答例示のみ
予習:決算の意義を理解できたか確認する。
復習:財務諸表の作成できるか課題で確かめる。
簿記一巡の手続4(財務諸表の作成)およびミニテスト
予習:授業で勉強したキャッシュフロー計算書の意義、特徴等を復習しておく。
復習:キャッシュフロー計算書の特徴を把握する。
キャッシュフロー計算書の作り方
予習:前回までのレジュメを使用し、各種財務諸表の内容・特徴を把握しておく。
復習:財務諸表分析の意味を理解する。
Ⅲ 財務諸表の利用方法
財務諸表分析の基礎
予習:前回のレジュメを熟読する。
復習:各種財務諸表分析の指標の意義を理解する。
財務諸表分析の演習
予習:復習テストの勉強に平行して、会計学基礎の全過程で疑問のある事項がないかを確認。
総まとめおよび復習テスト
授業は講義形式を中心とする。ただし、財務諸表の作り方に関する授業では、記帳練習を通じて、実際に手と頭脳を動かしてもらう。この授業では、授業の最初に受講生各自の会計に関する知識のレベルをアンケート調査し、授業の過程で数回実施するミニテストの成績を参考に、開講期間中の院生各自の努力による会計能力向上の成果について評価する予定である。
なお、履修者が、やむをえない事情で欠席した場合には、当該授業のDVD録画を閲覧し、必要に応じてリポート等を提出してもらうことで対応する。
特定のテキストは使用せず、毎回レジュメを配布する。なお、商業簿記に関するテキスト、問題集は特に使用しないが、必要な教材は授業中に配布する。
「商業簿記講義」近江正幸・苗村泰徳著、中央経済社、ISBN4-502-02145-8
授業参画態度
30 %
授業中にこちらから、理解のポイントとなる事項について質問を行うことがあるので、その質問について真摯な態度で向き合い対応してもらいたい。また疑問点に関する積極的な質問は歓迎する。
ミニテストおよび復習テストの成績
70 %
期間中にミニテストを2回、最後に復習テストを実施する予定である。
基礎的な知識のない学生向きの講座なので特に必要ない。
基礎科目という性格上、履修者の全てが一定レベルの会計の基礎的知識と理解を得られるよう、授業では最初の5分程度、前回の授業の要点をまとめ、その後に前に進むように留意している。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表は、会社や組合そして国や地方自治体といった経済主体の営む経済活動を貨幣額で認識・測定・記録し、その結果を、それぞれの組織を取り巻く利害関係者に伝達する報告書である。この財務諸表により、組織を取り巻く利害関係者は、組織の現状と将来性についての情報を入手し、この基礎情報を頼りに、自分の判断で意思決定をすることができる。
なお、この講座を履修後、秋学期に開講される「会計学応用」を履修すると、より会計に関する知識のレベルをアップすることができる。