会計学応用 PDF

Applied Accounting

単位数

2単位

開講学期

秋学期

開講曜日・時限

土曜日 3・4時限目(隔週)

位置づけ

財務・会計分野 応用段階

科目紹介

科目の重要性・必要性

会計は世界共通のビジネス言語である。会計の成果物が財務諸表であり、金融機関、現在・将来株主等の外部ステークホルダーは、準拠すべき一定のルールに従って作成される一組の財務諸表により、企業の経営実態を判断・予測し、それぞれの立場から必要な意思決定をする。適正な外部報告を実現することはもとより、他社の経営実態を的確に把握するため、また、自社、社内セグメント等の実態把握や将来予測などにより経営管理、プロジェクト管理等に役立たせるために、会計のルールに関する知識、特にその根底に流れる根本的な考え方を身に着ける事が有用である。

科目の目的

国の違い、企業規模の大小・業種、営利非営利かなどによらず、会計の根本的な思考は多くが共通している。春学期の「会計学基礎」または過去の勉強等で養成した会計の基礎力に対し、会計情報を用いた判断と活用のための会計知識のレベルアップを図り、実例の紹介や簡単な演習などを用いて、より深度のある知識を習得することがこの科目の目的である。
このため個別プロジェクト、製商品等の原価把握・損益管理に必要となる工業簿記・原価計算の手法、経営課題の把握、財務リスクの早期把握等のための財務分析、資本市場のインフラである財務諸表監査制度、会計基準の国際的な収斂化の動向等についても必要に応じ、触れる。

到達目標

会計の知識を主要なビジネスツールとしてこれからの実務に活用できるようになることを到達目標とする。
このため本講座では一貫して、知識の活用を念頭に、重要な理論、個別分野に関し、実務界での標準的な取扱実例や会計情報をめぐる事象等を示し、本筋をわかりやすくお伝えしたいと考えている。

受講してもらいたい院生

春学期の「会計学基礎」を履修し、会計について面白いと感じた院生、また業務経験や過去の勉強で会計の基礎素養は身に着けているため「会計学基礎」は履修しなかったが、自分の持っている会計知識を整理し、レベルアップを考えている院生に受講してもらいたい。

授業計画

1 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

事前に提供するレジュメのうち財務諸表を作成するうえで前提のスライドに目を通し、どのような前提があるのかについて考える。講義後は講義内容の重要なポイントが納得できたかを確認する。
 

授業内容

 財務諸表による企業実態判断上の留意点

 主要財務諸表3表は各々企業のどのような状況を示しているか、平易なケーススタディーにより財務諸表を作成する上での前提、情報の限界など会計に関する基本的知識を確認する。
 財務諸表数値から企業実態の重要なポイントをどのように読み取るのか、様々な立場の利用者から、それぞれどのような目的でどこをどのように読まれ判断されるのか、判断を誤らない、誤らせないための留意点について説明する。

2 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 自社及び参考としたい上場会社1社、または、参考としたい上場会社2社を選定する。
 事前に提供するレジュメのうち、様々な利害関係者の想定される利害を記載したスライドに目を通し、各々どのような目的で財務諸表を利用するかを考える。講義後は講義内容の内ポイントとなる部分が理解できたかを確認する。

授業内容

会計原則等による基本的要請、会社法・金商法・法人税法等による企業会計制度

 財務会計の目的、規範としての会計原則及び諸会計基準の基本的な理念等を説明する。
 財務諸表が果たすべき社会的機能、トライアングル体制といわれた我が国会計制度の概要及び内部監査・外部監査の機能、保証の内容、三様監査等について説明する。

3 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページに目を通し主要な内容を把握する。 
 選定した会社の貸借対照表を閲覧しどのような財政状態かを大きな視点で検討する。

授業内容

貸借対照表の作成原則及び資産会計(1)「資産の意義、現金・現金同等物、主要な当座資産」

 貸借対照表の作成原則について会計基準、実定法の規定を参照して、説明する。資産、負債、純資産、損益の意義、評価等について概説する。複数の会社の実例を使い貸借対照表作成原則が現実にはどのように適用されているか、それぞれ財務状況をどう読むか説明する。また、同実例を用いた簡単な演習により各社の財務内容の違いについて確認する。なお、講義の進捗状況により、演習は復習の課題とすることがある。

4 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通し主要な内容を把握する。 
 選定した会社の棚卸資産、有価証券に関する貸借対照表、損益計算書、会計方針の開示内容を閲覧する。

授業内容

資産会計(2)「棚卸資産、有価証券」

 資産の「測定」、棚卸資産の評価方法などに関する特に重要な知識、留意点について説明する。 また、有価証券、関係会社投融資等金融資産の評価、開示等について説明する。

5 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

  事前に提供するレジュメのうち、繰延資産に関するスライドに目を通す。時間があれば、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通し主要な内容を把握する。
 資産の取得原価の範囲、会計と税務の関係について考える。

授業内容

資産会計(3)「有形固定資産~投資その他の資産、繰延資産」

 有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産について会計上の取扱い、留意点等について説明する。特に、開発費用・試験研究費・ソフトウェア・リース資産の取扱い、「のれん」の意義・評価方法等理解しておくべき重要部分を中心に説明する。また、関連する主要な税務上の取扱いについて概説、または資料提供をする。
 擬制資産である繰延資産の意義、会計上の取扱い及び会社法による各種規制について説明する。

6 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通し主要な講義内容を把握する。
 選択した会社の貸借対照表、会計方針をみてどのような引当金が計上されているか、その目的は何かについて考える。

授業内容

負債会計、純資産会計(1)

 負債、純資産についてその内容、留意点について、我が国企業の実例を参照する等して説明する。
 純資産項目に関する会社法による諸規制、実務への影響について説明する。加えて事業展開にとって極めて重要となる議決権に関する基本的な会社法の知識、検討しておくべき対応等を会計に関する範囲内で説明又は資料提供する。

7 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、開示例のスライドに記載してある内容を読み、内容を把握する。時間があれば左上に「参考」と記載されていない他のページにざっと目を通す。 
 選択した会社の後発事象、偶発事象注記の有無、ある場合には内容、企業に与える影響について把握する。 

授業内容

純資産会計(2)、後発事象・偶発事象

 純資産会計の講義内容については第6回を参照のこと。
 後発事象、偶発事象について会計情報での取扱い、会計情報以外の部分での取り扱いについて説明する。

8 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、段階利益に関するスライドを読み、各段階利益のもつ意味を考える。時間があれば左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通す。
 選択した会社の損益計算書、損益計算書注記をみてどのような経営成績か、年度推移はどうであったかを考える。

授業内容

損益会計

 損益会計の諸原則について説明し、損益計算書から経営成績をどのように読み取るか、また、判断上の留意点について説明する。実例を用いて業種等の違いによる損益計算書の特徴などについて概観する。
 創設された新収益認識に関する会計基準、国際会計基準(「IFRS」など)への収斂化等に伴う影響についてポイントを説明又は資料提供する。

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

9 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、税引前当期利益と課税所得の違いに関するスライドを読み、どのような関係にあるのかを考える。また、税効果会計適用前と同適用後の損益計算書の違いを示したページを読み、税効果会計がなぜ必要かを考える。
 
 

授業内容

会計上の重要な論点(1)税効果会計

 財務数値に多大な影響を与える場合がある税効果会計について、理論と実務上の取扱い、財務数値判断上の留意点等を説明する。これに関連して将来キャッシュ・フローの見積り、タックスプランニングと課税所得に係るスケジューリングについての簡単な演習を行う、又は資料提供する。

10 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、減損に関する開示例を記載したスライドを読み、それぞれどのような理由により減損を認識するに至ったか、また、その財務数値への影響について考える。
 選択した会社の財務諸表、注記事項を閲覧し減損会計に関する記載内容を確認する。

授業内容

会計上の重要な論点(2)減損会計

 財務数値に多大な影響を与える場合がある減損会計について、理論と実務上の取扱い、財務数値判断上の留意点等を実例を参照し説明する。実例を紹介し財務数値への影響の程度などについて概説する。

11 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通す。
 レジュメから会計処理の変更と誤謬の訂正を決定する要因と実務上の取扱いの違いについて考える。

授業内容

会計上の見積りと経営への影響、誤謬の訂正

 作成主体による将来予測・見積りが財務諸表にどのように反映されるか、予測等を用いて算定される財務数値が企業自身へ与える影響等について説明する。
 会計方針の変更と誤謬の訂正の場合の会計上の取扱いについて、実例を参照して説明する。

課題有無

課題フィードバック方法

個別フィードバック

12 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、キャッシュ・フロー計算書の区分に関するスライドを読み、おのおのどのような状況を示す区分なのかを考える。また、個別財務諸表の限界、連結財務諸表の必要性に関するスライドを読む。

授業内容

キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表(1)

 キャッシュ・フロー計算書の必要性、有用性、実例を用いた資金面からの企業活動のとらえ方について説明する。 
 連結財務諸表の必要性、注記事項である事業の種類別・地域別・主要顧客別等に係るセグメント情報について説明する。また、実例を用いてこれら連結情報から企業グループの実態をどう読み込むかを説明する。

13 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、個別財務諸表の限界、連結財務諸表の必要性に関するスライドを読む。時間があれば左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通す。

授業内容

連結財務諸表(2)、株主資本等変動計算書

 連結財務諸表の講義内容については第12回を参照のこと。
 株主資本等変動計算書について説明し、実例を用い純資産の中区分、各項目の増減、金額の多寡等からどのような経営実態であったのかを判断できるようにする。

14 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通す。
 普段感じている自社または所属する部門、担当プロジェクト等の課題を考え、その状況を把握、改善するにはどのような財務数値を確認すれば有効か検討する。

授業内容

原価計算

 各種原価計算方法の概要について解説し、原価管理、プロジェクト管理等への有用性、留意点等について説明する。
 なお院生の知識の必要性等により主要な事項の説明に留め、第15回の講義内容に時間を振り向けることがある。

15 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

 事前に提供するレジュメのうち、左上に「参考」と記載されていないページにざっと目を通す。
 これまでの講義で説明してきた会計に関する理論、実務上採用されている実務慣行、実態把握のための財務数値分析・比較の手法等を今後にどのように活かすかを考える。 

 

 

授業内容

財務諸表等財務数値の事業実態分析、プロジェクト管理等への活用、総まとめ

 財務諸表分析の目的と主要な手法、指標について概説し、実際の財務諸表、セグメント情報等を用いて、事業活動の結果である財務数値と財務数値の原因である事業実態との関係から事業上の要改善点等をどのように把握・分析するかなどについて説明する。

課題有無

課題フィードバック方法

個別フィードバック

授業方法

講義を中心として進め、提供する課題等に対し、必要に応じ討議形式を取り入れ、理解を深めるための簡単な演習を行う。簡単な確認テストを行い(1回の予定)、講義が相当進んだ段階でレポートを提出していただく。

テキスト

特定のテキストは使用せず、毎回レジュメを配布する。

参考図書

桜井久勝著「財務会計講義(第21版以降)」中央経済社 ISBN978-4ー502ー34781-8 C3034

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

授業参画姿勢

30 %

予習・復習の実施状況、授業中の参画の積極性、発言内容等

確認テストの成績

15 %

理解度を評価する。

レポートの評価

55 %

必要となる会計知識の理解の深度、自己の業務への結び付け、活用の具体性等

合計
100%

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

会計についての基礎知識のない受講生は春学期開講の「会計学基礎」を履修しておくことが望ましい。講義にあたっては、双方向性を確保する。

その他

財務諸表は一定のルールに従って作成されるが、ルールの適用には経済事象の捕捉の程度・適時性、事象に対する解釈・判断等が影響を与え財務数値が大きく異なる結果となることもある。会計の本質的な知識の習得を通じて、受講生の今後に役立てていただきたい。

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