中小企業の成長とイノベーション PDF

Growth and Innovation of SMEs

単位数

2単位

開講学期

春学期

開講曜日・時限

土曜日 5・6時限目(隔週)

位置づけ

起業・第二創業コース分野 基礎段階

科目紹介

科目の重要性・必要性

 日本の中小企業を取り巻く環境が激変する中で、中小企業は規模の経済(利益)を追求した規模的拡大の「成長」から、顧客価値の創造による技術・製品等のイノベーションを追求した差別化力の「成長」に転換する必要性が高まっている。

 こうした中、中小企業経営者は会社の経営理念の再認識、経営目標、目標実現のための戦略・戦術等の見直しか求められてきている。とりわけ、中小企業にとって「成長」に関する概念・意味合いを再検討するとともに、その「成長」に適合した「イノベーション」のあり方が課題となっている。

 かかる課題に対処するために、中小企業の「成長」と「イノベーション」に関する体系的な学びを行うために本科目が位置付けられている。

科目の目的

 本科目では、中小企業論、ベンチャービジネス論等の既往文献、中小企業の成長事例などを素材に、中小企業の「強み」と「弱み」を踏まえて「あるべき中小企業像」を模索するとともに、その「あるべき中小企業像」を具体化するためのイノベーション(戦略・戦術)等のありかたについて検討する。

 本科目における講義の問題意識、討議のポイントは以下の5点に集約される。

(1)中小企業経営者の思いと経営理念、経営目標について

(2)中小企業の強みを活かし弱みを克服した「あるべき中小企業像」について

(3)「あるべき中小企業像」を実現するための「成長」の考え方について

(4)「成長」のための「イノベーション」のあり方について

(5)イノベーションにおける国等の中小企業支援策の活用について
 

到達目標

 受講生は本科目を受講することによって、以下の3点に関する対応力を獲得出来るようになることを到達目標とする。

(1)経営理念、経営目標、実現戦略・戦術を一貫させた「成長とイノベーション」をマネジメントする力を獲得できる。

(2)「あるべき中小企業像」「持続的高収益企業」「グローバルニッチトップ企業」を考える体系的枠組みとを獲得できる。

(3)国等の公的支援を活用した中小企業の経営革新・業態革新のための事業計画策定、実行できる力を獲得できる。

受講してもらいたい院生

 本科目を受講して頂きたい院生像は以下のとおりです。

(1)中小企業の経営者、後継者、幹部社員、幹部候補社員に該当する院生

(2)将来、起業、新事業を創造することを目指す院生

(3)中小企業のコンサルタントを目指す院生

(4)中小企業との多様な連携(共同開発・共同受注、部品調達・加工外注など)を目指している院生

授業計画

1 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

我が国における中小企業の社会的位置づけ・役割、経営特性等を既往文献などから予習しておく。

授業内容

●中小企業の構造的特性と経営者の役割

 我が国における中小企業の位置づけ・役割を考察にするとともに、中小企業の構造的な「強み」・「弱み」について大手企業と中小企業の比較実例を踏まえながら検討する。とくに、中小企業では経営者が株主であること、経営者の経営意欲を高めるモチベーション、経営者の権限と責任など経営者に着目して討議を進める。

2 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

中小企業の「強み」「弱み」を実例に基づいて確認作業を行いながら復習するとともに、それらを踏まえて「あるべき中小企業像」について仮説的な検討を行っておく。

授業内容

●「あるべき中小企業像」とグローバルニッチトップ企業

 中小企業の「強み」と「弱み」を踏まえて「あるべき中小企業像」について考察するとともに、その具体像について討議しながら模索する。とくに、「経営理念」の実現(接近)には、多くの場合にいて経営基盤づくりのために収益を高めることが不可欠です。本科目では、「あるべき中小企業像」の代表的な企業像としてグローバルニッチトップ企業を挙げ、その妥当性について検証を深める。

3 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

「あるべき中小企業像」としてのグローバルニッチトップ企業の妥当性について復習するとともに、グローバルニッチトップ企業の事業形態について予察的検討を行っておく。

授業内容

●グローバルニッチトップ企業の経営的特性と課題

 本授業では「あるべき中小企業像」の代表としてグローバルニッチトップ企業を掲げている。このグローバルニッチトップ企業の類型化を行うとともに、代表的企業を事例に経営的特性と課題について検討する。とくに、グローバルニッチトップ企業の多くは高収益体質である反面、代替する新技術・新製品の出現による経営的リスクを抱えており、そのリスクを如何に軽減化するか等について討議する。

●グローバルニッチトップ企業の成長メカニズム

 中小企業がグローバルニッチトップ企業へと成長した要因を企業側に関わる要因(主体的条件)、企業環境側に関わる要因(客体的条件)に分けて成長メカニズムとして体系化した研究成果(執筆者 小田恭市)に基づき、中小企業がグルーバルニッチトップ企業へと成長できるためのプロセスについて検討する。

4 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

グローバルニッチトップ企業の成長メカニズムについて復習するとともに、グローバルニッチトップ企業の成長のための経営マネジメントについて予察的検討を行っておく。

 

 

授業内容

●グローバルニッチトップ企業を成長させる地域環境条件

グローバルニッチトップ企業の成長メカニズムを踏まえ、日本国内で相対的に多くのグローバルにウッチトップ企業が集積している金沢地区等を対象に、多くのグローバルニッチトップ企業を輩出した要因を検討し、地域の環境条件の違いがグローバルニッチトップ企業の成長に大きく影響させていることを検証する。 

●グローバルニッチトップ企業への成長するための経営マネジメント

 中小企業がグローバルニッチトップ企業へと成長するために、中小企業経営者は企業内で強化が求められるマネジメントのあり方、地域の企業や生活者等との連携のあり方等について検討する。とくに、中小企業が立地する地域条件(客体条件)の実情に応じてどのような経営マネジメントをすべきかについて討議する。

 

5 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

グローバルニッチトップ企業に成長するための経営マネジメントの妥当性について復習するとともに、中小企業の業態について企業事例を検索するなどでして検討しておく。

 

授業内容

●中小企業の3つの業態の特性

 中小企業では大きく生産型(賃加工型)、設計・生産型、企画・設計型(自社製品型)の3つに分けることが出来る。多くの中小企業は「生産型(賃加工型」であるが、この業態のあり方が問われる時代となっている。ここでは3つの業態における「強み」や「弱み」を明確にするとともに、各業態における「経営的うまみとリスク」について企業事例を対象に検討する。

 

 

6 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

中小企業の3つの業態の特性について企業事例を踏まえて復習するとともに、それぞれの業態革新の方向性、必要な経営マネジメント等のあり方等について検討しておく。

授業内容

●中小企業における業態革新

 中小企業における3つの業態をベースに、各業態の特化(進化)とともに業態の変革(生産型から設計・生産型、設計・生産型から企画・設計型)といった視点から業態革新の方向性について検討する。さらに、それぞれの業態革新を実現するための経営マネジメントのあり方を中小企業の実例を踏まえて議論する。

●課題レポートの作成(第6回授業の最後に説明します)

 第6回目までの授業を踏まえ、以下の課題レポートを作成する。このレポートは第7回、8回の授業でプレゼンを行うとともに受講者間で討議する。

 *課題テーマ:自社(大手企業、起業も含め)における経営理念、経営目標、戦略・戦術の実態のその関係性を整理する。更に、それらに関わる課題の整理、課題克服のための経営マネジメントのあり方等について提案する。

 

 

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

フィードバック内容

作成した課題レポートは、第7回、8回の授業でプレゼンを行うとともに受講者間で討議する。

7 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

その1(前半):1回~6回間迄の授業のポイントを復習するとともに、それらを踏まえて7・8回の授業でプレゼンできるように課題レポートの作成を行う。

授業内容

●課題レポートのプレゼンと討議(その1)

 その1(前半):受講生は作成した課題レポートのプレゼン、討議等を7回、8回にわたって行う。受講生の数によって異なるが、発表時間は15分/人程度、討議は10分/人程度を予定している。

8 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

その2(後半):1回~6回間迄の授業のポイントを復習するとともに、それらを踏まえて7・8回の授業でプレゼンできるように課題レポートの作成を行う。

授業内容

●課題レポートのプレゼンと討議(その2)

 その2(後半):受講生は作成した課題レポートのプレゼン、討議等を7回、8回にわたって行う。受講生の数によって異なるが、発表時間は15分/人程度、討議は10分/人程度を予定している。

9 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

7回・8回のプレゼンと討議に関する「振り返り」を行うとともに、ゲストスピーカー(X氏)が経営する会社を事前に調べ予察的に考察を行っておく。

授業内容

●事例研究Ⅰ(経営者によるプレゼン)

 ゲストスピーカー(X氏)が経営する会社の実情についてプレゼンを受け、予察的に考えていた仮説的な企業像との比較を行う。その検討を踏まえて第10回目の授業のグループ討議のためのメモを作成する。

 

10 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

ゲストスピーカー(X氏)の講演内容を確認するとともに、10回目のグループ討議に入る前に問題意識を絞っておく。

授業内容

●事例研究Ⅰの討議

 ゲストスピーカー(X氏)の会社の実情を踏まえ、会社のSWOT分析に基づいて会社が抱える課題と克服方法などについてグループ討議を行いグループとしての意見をまとめ、プレゼンを行う。

11 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

ゲストスピーカー(X氏)を対象にしたグループ討議における「気づき」を確認するとともに、11回に登場するゲストスピーカー(Y氏)の会社を事前に調べ予察的に考察を行っておく。

授業内容

●事例研究Ⅱ(経営者によるプレゼン)

 ゲストスピーカー(Y氏)が経営する会社の実情についてプレゼンを受け、予察的に考えていた仮説的な企業像との比較を行う。その検討を踏まえて第11回目の授業のグループ討議のためのメモを作成する。

12 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

ゲストスピーカー(Y氏)の講演内容を確認するとともに、12回目のグループ討議に入る前に問題意識を絞っておく。

授業内容

●事例研究Ⅱの討議

 ゲストスピーカー(Y氏)の会社の実情を踏まえ、会社のSWOT分析に基づいて会社が抱える課題と克服方法などについてグループ討議を行いグループとしての意見をまとめ、プレゼンを行う。

13 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

ゲストスピーカー(X氏)を対象にしたグループ討議における「気づき」を確認するとともに、中小企業の高付加価値化の方向性、実現のための方策について事前に検討しておく。

 

授業内容

●グループワーク(ケーススタディの総括)

 2つのケーススタディを踏まえ、これら企業を事例に「あるべき中小企業」「グローバルニッチトップ企業」「業態革新」を前提とした経営マネジメントのあり方について検討する。その際において、経営理念を実現するために必要な技術・製品・サービス等の高付加価値化と高収益化を持続的に図るための経営マネジメントに留意して議論する。

14 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

第13回目の授業で討議したことを自分のビジネスに役立つように再整理するなどして復習するとともに、求められる経営マネジメントを支援する公的機関による支援内容について調べておくこと。

授業内容

●国等における公的支援の活用

 中小企業における経営刷新・革新を促進するために、国や自治体等で様々な支援策が講じられている。この支援策の内容を理解するとともに自社の実情(支援ニーズ)に適合した支援策を選択できるように支援策の体系を学ぶ。とくに、新技術、新製品等の開発を目指した補助金制度の活用(申請書の記述ポイント等)について十分な説明を行います。

 既に、受講者の中には補助金制度(サポイン)を活用した新技術・システムの開発を実現した方もおられます。
 

15 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

公的支援のあり方を復習するとともに、本科目を総括する意味で深まった問題意識等について整理して授業の望む。

授業内容

本科目の総括として以下の5点についてフリーディスカッションを行い、「中小企業の経営とイノベーション」に関する理解を深める。

(1)中小企業経営者の思いと経営理念、経営目標について

(2)中小企業の強みを活かし弱みを克服した「あるべき中小企業像」について

(3)「あるべき中小企業像」を実現するための「成長」の考え方について

(4)「成長」のための「イノベーション」のあり方について

(5)イノベーションにおける国等の中小企業支援策の活用について

 

授業方法

本科目は論理(抽象)と事例(具象)を織り交ぜながら、受講生の質問、意見を取り入れた双方向的な講義形態を採用している。とくに、事例は教員が中小企業へ出向き収集した情報がベースとなっている。

テキスト

各回においてオリジナル資料を配布する。

参考図書

その都度、配布資料に掲載、紹介する。

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

提出レポートやグループ討議における内容

60 %

提出する課題レポートやグループ討議等の内容における新規性、斬新性、全体構成等などの視点から評価する。

授業態度やプレゼン内容

40 %

授業態度では、質問や自身の意見(コメント)の内容の適正性を評価する。また、プレゼンでは、プレゼン資料の理解のしやすさ、的確な内容説明等を評価する。

合計
100%

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

(1)本科目のテキストは市販されている教科書とは異なり、教員が足で稼いだ中小企業事例とそれらを一般化したもので構成している。

(2)中小企業の立場で経営マネジメントが考えるような授業になるよう工夫しています。中堅・大手企業にも参考になると思います。

(3)可能な限り受講生の意見を発言できるように討議する時間、問いかけを多く確保するよう努力します。

その他

受講者数、受講者が務める会社等の業種のバラツキに応じて若干の授業内容やゲストスピーカーを変更することもある。また、ゲストスピーカー(中小企業経営者)の都合によって講義日時が変更することもある。

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