日本的経営と中小企業事業システム PDF

Japanese-Style Management and Business System for SMEs

単位数

2単位

開講学期

夏学期

開講曜日・時限

水曜日 1・2時限目

位置づけ

中小企業マネジメント 応用段階

区分

中小企業経営コース コース重点科目

科目紹介

科目の重要性・必要性

本科目では、中堅・中小企業が経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を組み合わせて、競合他社との差別化を実現し、持続的な競争優位を保つ「事業システム」という仕組みとその設計について学習していく。

経営を「事業システム」という視点でみるだけでなく、「日本的経営」という角度からも検証し、日本企業が「強み」とする事業システムの要素の組み合わせを考え、強みを活かし、弱みを補完することで収益を向上するようなシステム・モデル化についても検討する。受講者には、「事業システム」と「日本的経営」という二つの切り口で、事業おいて価値を獲得し、企業の収益向上する手法を学習し、実際のビジネスにおいても応用できるまでに深めて頂きたいと考えている。

日本的経営でみてみると、これまで日本企業の強みと言われていた仕組みが、弱みに代わってしまったといわれるものもあるが、本科目では、改めて日本的経営の強みの有効性を、事例を通して再検証し、「日本的経営」を深堀りして行き、中堅・中小企業の経営に活かせる有効な戦略を学ぶでいく。

また、日本経済の構造は、大きく変化しており、経済のサービス化や国際化、ヘゲモニー(覇権)を握っていた大企業が衰退する等の影響を受け、これまでとは異なった事業構造になっている。この影響を受けて、企業間の取引関係も大きく変化してきており、これまでのビジネスの生態系が変わってきており、変化した生態系(ビジネス・エコシステム)の中で、中小企業が如何にして生き残り、成長していくのかについても学習していく。

「事業システム」という幅広い概念を対象としているため、競争戦略論、技術経営、組織論、リーダーシップ論、マーケティング等の経営学の総合格闘技的な内容を織り込んだ講義を行い、実際の戦略策定に活かせるような講義内容にしていく。

科目の目的

経営戦略を「事業システム」という経営資源の組み合わせで捉え、競合他社との差別化や模倣困難性を確立し、競争優位を持続化させるための戦略策定、実行できる能力を身に着けることを本科目の目的とする。言い換えれば、中堅・中小企業がこれからも存続し、成長していくための総合的な経営理論を学び、理論の応用能力を目指す。

また、株式市場の影響を受けない中小企業においては、長期的な視野をもった日本的経営が有効なケースもあり、そうした事例や背景にある理論、モデルを学習し、日本ならではの中堅・中小企業経営に活かせるような経営視野を身につけることも本科目の目的のひとつである。

到達目標

本科目の到達目標は、下記となる。

⑴「事業システム」という経営資源の組み合わせと戦略的思考の習得。

⑵「事業システム」が、競争優位を発揮、持続するためのビジネスへの応用力の獲得。

⑶中堅・中小企業における日本的経営の強みと弱みとその活用方法。

⑷日本経済の構造変化に対する対応力。

 

受講してもらいたい院生

⑴中小企業の経営者、幹部、幹部候補。大手・中堅企業の経営層或いは経営企画等で戦略策定を行っている院生。

⑵日本的経営が通用しなくなっていると考えている院生。

⑶中小企業の経営は今後更に厳しくなると考え、新しい視点、視野を求めている院生。

⑷経営学を総合的に応用し、実際のビジネスに活かしたいと考えている院生。

授業計画

1 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:所謂、日本的経営といわれるものは何か。また、現在の日本的経営の課題は何か。
復習:現在の日本的経営の強みと弱みについて自身の頭の中でまとめておくこと。

授業内容

●日本的経営の特徴

終身雇用、年功序列、系列取引、高品質、低コスト生産等の日本の経営の特徴をまとめて、現在の日本経済の構造変化における日本的経営の課題を考えてみる。

●用語の定義

本講義で度々使用される用語に関する定義、考え方を紹介、確認する。

2 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:廃業が起業数を上回る状況が続いているが、その理由と対策について考えておくこと。
復習:授業で学習した内容を踏まえて、個々の中小企業が存続、成長していくための課題は何かを考えておくこと。

授業内容

●日本の事業構造の変化

国際化、少子化、経済成熟等の進展により、日本の事業構造が大きく変化してきている。こうした大きな変化に伴い、中小企業がおかれている事業の生態系、言い換えれば、「ビジネス・エコシステム」が大きく変化しており、中小企業の存続、成長が難しくなっている業種もある。

本授業では、「ビジネス・エコシステム」という概念を紹介すると共に、「ビジネス・エコシステム」における中小企業の現状、今後の課題について、討議していく。

3 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:大企業と中小企業の経営の違い(経営資源、組織、リーダーシップ等)を整理しておく。
復習:大企業が有利とされている理由は何か。また、今後は大企業には、どういったリスク、課題があるかを考えておくこと。

授業内容

●中小企業経営と大企業経営

中小企業経営と大企業経営の違いを検証し、現在の日本経済の構造における中小企業の強み、弱み、リスク・脅威、機会について考える。

 

4 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:中小企業が差別化、競争優位を保つための戦略について考えておく。
復習:「事業システム」という概念について整理、理解をしておくこと。

授業内容

●日本的経営と中小企業の事業システム

競争優位を発揮することを目的とした経営資源の組み合わせである「事業システム」という概念に触れ、日本的経営の良さを活かし、中小企業が生存し、更には成長していくための「事業システム」について考え、設計を行う。

「事業システム」を考えていく上で有効である競争戦略論、フレームワークにも触れ、「事業システム」をより理解しやすく、設計しやすいようにしていく。

 

5 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:中小企業の従業員の給与が上がらない(上げない)理由、中小企業が設備投資に消極的な理由について考えておくこと。
復習:付加価値経営を実現するためには、どういった戦略をとらなければいけないか。また、実行の際の注意点は何か。

授業内容

●日本的経営と付加価値経営

日本の中小企業は、大企業と比較して付加価値が低いといわれている。中小企業が付加価値が低い背景を分析し、どのような形で付加価値を上げていくかを考える。中小企業の中でも、高い付加価値を維持している企業もあり、そうした成功事例についても紹介を行うと同時に理論的な分析も行う。

 

6 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:資源ベースの競争優位とポジショニング理論について考え、企業、事業の収益力向上の戦略を考えておく。
復習:付加価値経営において、中小企業が不足する考え方は何か。自社、或いは関係する事業に当てはめて、あるべき姿を考えてみる。

授業内容

●付加価値と事業システム

会社、事業の価値をいかに高め、如何にして価値を獲得していくのか。中小企業の焦点を当て、付加価値を高めた中小企業経営における「事業システム」の設計、構築について考えていく。

 

7 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:前回までに学習してきた経営資源、付加価値経営、価値の獲得について整理し、新しい「事業システム」や「ビジネスモデル」の創出、新規事業戦略策定をどのように行っていくかを考えておく。
復習:「事業システム」或いは、「ビジネスモデル」の策定で難しかったところはどこだったか。「事業システム」という概念の有効性について考えておく。

授業内容

●新しい「事業システム」構築と新規事業

どのようにして経営資源の組み合わせを行い、新しい「事業システム」の構築、或いは、新規事業の創出するかについて考える。事業の深さや幅、市場と事業領域や国際化等を考慮しながら経営資源のユニークな経営資源の組み合わせについて考える。

 

8 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:中小企業がM&A(この場合は、企業や事業を買収する買手として)を行う課題、リスクについて考えておく。
復習:ゲストスピーカーの事例研究の講義を挟んで、第13回、第14回では、受講生の企業或いは関係する事業を成長に結びつける「事業システム」構築の発表を行うので準備をしておく。

授業内容

●事業システムとM&A戦略

自社で不足する経営資源を獲得する方法として、近年M&A戦略が注目されている。これまでは大企業中心であったが、中小企業でもM&Aにより、競争力を高め、事業を大きく拡大している企業が出始めている。

新たな経営資源の獲得し、新しい結合を実現するM&Aは、「事業システム」の構築という視点からも非常に効果的な戦略ではある一方、M&A戦略の大きなリスク、注意点に関して触れて行く。

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

9 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:ゲストスピーカー(X氏)の会社に関して、事前にホームページ等の資料で事業内容の確認をし、同社の有効な経営資源、事業システムについて考えておく。
復習:ゲストスピーカー(X氏)の会社の日本的経営の優位点はどこか。

授業内容

●事例研究 I

ゲストスピーカー(X氏)の事業に関する話を聞き、強みとなる経営資源、その組み合わせである「事業システム」の特色を整理すること。

10 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:前講義のゲストスピーカー(X氏)の会社、事業の現在の課題、これからの課題について考えておく。
復習:実際の講義を聞いた後のゲストスピーカー(X氏)の会社の課題について考え、今後の成長への提言を考えておく。

授業内容

事例研究 I

ゲストスピーカー(X氏)の会社、事業の成功理由について討議し、現在の課題、今後の課題についても討議し、今後の成長戦略に関して提案を試みる。

11 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:ゲストスピーカー(Y氏)の会社に関して、事前にホームページ等の資料で事業内容の確認をし、同社の有効な経営資源、事業システムについて考えておく。
復習:ゲストスピーカー(Y氏)の会社の経営戦略上の優位点はどこか。

授業内容

●事例研究 II

ゲストスピーカー(Y氏)の事業に関する話を聞き、強みとなる経営資源、その組み合わせである「事業システム」の特色を整理すること。

12 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:前講義のゲストスピーカー(Y氏)の会社、事業の現在の課題、これからの課題について考えておく。
復習:実際の講義を聞いた後のゲストスピーカー(Y氏)の会社の課題について考え、今後の成長への提言を考えておく。

授業内容

事例研究 II

ゲストスピーカー(Y氏)の会社、事業の成功理由について討議し、現在の課題、今後の課題についても討議し、今後の成長戦略に関して提案を試みる。

13 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:自社及び自身が携わる事業の成長に向けた「事業システム」の設計に関する発表を行うので、準備をしておくこと。
復習:受講者発表の「事業システム」の評価(優れたところ、有効性、課題等)を考えておくこと。

授業内容

●「事業システム」の設計演習⑴(発表)

本講義で学んできた知識、理論、ゲストスピーカー等の事例を活かし、自社或いは自身が携わる事業の成長に向けた「事業システム」の設計の発表を受講生が行い、その内容に関して討議、評価を行う。日本的経営の強みを活かし、弱みを補完した提案であれば尚、望ましい。

 

課題有無

課題フィードバック方法

個別フィードバック

14 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:自社及び自身が携わる事業の成長に向けた「事業システム」の設計に関する発表を行うので、準備をしておくこと。
復習:受講者発表の「事業システム」の評価(優れたところ、有効性、課題等)を考えておくこと。

授業内容

●「事業システム」の設計演習⑵(発表)

本講義で学んできた知識、理論、ゲストスピーカー等の事例を活かし、自社或いは自身が携わる事業の成長に向けた「事業システム」の設計の発表を受講生が行い、その内容に関して討議、評価を行う。日本的経営の強みを活かし、弱みを補完した提案であれば尚、望ましい。

 

15 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:前講義の受講生の発表の振り返り。これまでの全講義のまとめを行う。
復習:これまでの授業内容、ゲストスピーカーの話を受けた中での「日本的経営」、「事業システム」という概念に関して、整理、まとめをしておくこと。

授業内容

●受講生の発表のまとめ(講評)

●講義のまとめ

「日本的経営」と「事業システム」に関して、まとめの講義を行う。

 

授業方法

「事業システム」という多岐に跨る題材を扱うため、競争戦略論、組織論、技術経営等の理論、先行研究の紹介、まとめを行いながら、競争優位を維持するための経営要素の組み合わせ、集合体を考えていきます。講義の中では、事例、理論に関する討議、課題演習、受講者の研究発表も行います。

また、ゲストスピーカーを招き、「日本的経営」や「事業システム」の実践例を紹介していただき、他社との差別化や経営戦略についてお話をして頂き、対象企業の強み、弱みや課題について受講者を交えて考えていきたいと思います。

テキスト

講師作成のテキストを中心に講義を行う。講義で使用したテキストは、講義後、配布する。授業内容が多岐に渡るため、参考図書についても一読することが望ましい。

 

参考図書

『事業システム戦略』加護野忠男・井上達彦著 有斐閣アルマ ISBN 4-641-12219-9

『日本の競争戦略』マイケル.E.ポーター・竹内弘高共著 ダイヤモンド社 ISBN 978-4-478-20059-9

『ストーリーとしての競争戦略』楠木健著 東洋経済新報社 ISBN 978-4-492-53270-6

『「ばかな」と「なるほど」』吉原英樹著 PHP研究所 ISBN 978-4-569-82036-1

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

授業への参画度(積極性、授業の理解度)

60 %

授業及びグループ討議での発言、質問の積極性と発言、質問、他受講生の発言の理解度等の内容で理解度を評価します。

発表及びレポート

40 %

講義での発表内容とレポート内容の新規性、論理性、先行研究への理解度等を評価する。発表に関しては、資料のわかりやすさ、論理展開、新規性、説明力を評価いたします。

合計
100%

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

各種の経営理論を網羅する「事業システム」という切り口で、日本の中小企業の成功事例を因数分解していきます。範囲が多岐に渡り、且つ、夫々の理論のレイヤーが重なっていたり、前後入り混じることもあると思いますが、良い意味で、いいところどりをして、有効な理論を抽出、モデル化して受講生の皆様にお伝えしたいと考えております。また、本講義で学んだことを実際のビジネスでの経営戦略や新規事業創出にも活用できることを意識しながら、講義を進めていく予定です。

 

その他

ゲストスピーカーの都合や授業の理解度で、講義の内容、時間が変更することがあります。

CONTENTS

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