中小企業の成長とイノベーション PDF

Growth and Innovation of SMEs

単位数

2単位

開講学期

春学期

開講曜日・時限

土曜日 5・6時限目(隔週)

位置づけ

中小企業マネジメント 基礎段階

区分

基幹科目

科目紹介

科目の重要性・必要性

国際化、情報化、高齢化等の進展により日本経済を取り巻く環境は激変しており、経済構造や企業間の取引構造の変化も激しく、日本経済の中での中小企業に求められる役割が大きく変わりつつある。役割が変わる中、これまでの下請体質に代表されるような「受け身」の姿勢では、成長は勿論、生き残りも難しい状況になっており、近年、日本の中小企業の経営は厳しい状況にある。

こうした環境下、中小企業が「存続」、「成長」していくためには、自らが主体的に考え、動き、顧客、市場を創造する「イノベーション」を起こし、実現する必要性がこれまで以上に高まってきている。

こうした中小企業にとって厳しい経済構造変化が起こっている一方、市場の成熟化によるマス需要の減少とニーズの多様化により、量産を前提とした大企業としての優位性も低下してきており、加えて、経営と所有を同一とする中小企業の経営は、自由度が高く、更に、中小企業の強みを活かせる環境になっており、中小企業の成長の機会も益々増加してきているとも言える。

本科目では、イノベーションを体系的に学ぶことにより、如何にして中小企業が機会を掴んで、イノベーションを起こしていくのか、また、「イノベーション」を実現化し、如何にして「成長」或いは、「あるべき中小企業像」に結び付けていくのかを学習していく。

科目の目的

本科目では、中小企業が存続、成長をするために必要な「イノベーション」を体系的に学習することを目的とする。イノベーションのマネジメント、具体的には、イノベーションを如何にして起こすのか、或いは、イノベーションの機会を如何にして捉えるのか、続いて実際にどのように事業化し、企業の存続、成長につなげていくのかを学んでいく。

「イノベーション」に関する理論、先行研究を体系的に整理をし、実際の中小企業ビジネスでの事例を紹介し、受講生が自身のビジネスで「イノベーション」を活かせるような知識、応用力を獲得を目指す。

また、売上、利益増加の成長を目的とした上場企業と異なり、株主からの圧力がなく、経営資源の限られる中小企業では、事業の目的やあるべき姿は多様であり、一元的な成長だけを求める企業とは異なる夫々の「あるべき中小企業像」を経営目標とすることができる。「あるべき中小企業像」に関しても検討を行い、中小企業の経営理念、存在意義、事業ドメインの設定の仕方も学習し、現状とあるべき姿のギャップを埋めるための手段として「イノベーション」も学習する。

到達目標

本科目により学習できること及び到達目標は下記とする。

⑴「イノベーション」に関する理論、先行研究の体系的な知識

⑵発生から事業化までの一貫した「イノベーション」のマネジメントを行う応用力

⑶中小企業のあるべき姿である「グローバルニッチトップ企業」実現への応用力

⑷公的機関や中小企業の支援制度を活用した経営革新(イノベーション)の実行

受講してもらいたい院生

本科目の対象となる院生は下記の通り。

⑴中小企業の経営者、後継者、幹部社員、幹部候補社員に該当する院生

⑵起業、或いは新事業創出することを目指す院生

⑶中小企業のコンサルタントやアドバイザーを目指す院生

⑷業務上、中小企業との関係が深い院生

⑸現在の事業に閉塞感を感じている院生

授業計画

1 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:日本の中小企業がおかれている現状に関する整理、今後の中小企業経営をどのような方向にもっていくべきかの整理。
復習:当初想定していた日本の中小企業の現状と現実の違いはどこにあったか。自社、関係する事業での今後とるべき施策を検討してみること。

授業内容

日本の中小企業の現状

国際化、少子高齢化、経済の成熟化、情報化の進展により中小企業は非常に厳しい状況に置かれている。近年、中小企業では、廃業数が起業数を上回る状況にあり、ものづくり日本経済を支えてきた中小製造業は、特に厳しい。また、業種を問わず、後継者不在いよる廃業も増えてきている。こうした日本の中小企業の現状を紹介するとともに、今後の中小企業経営の方向性について受講者に考えて頂き、討議する。

2 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:今後の中小企業のあるべき姿について考えておく。また、直近の経営環境の変化において、中小企業経営のメリットがどこにあるかを各自で考えておく。
復習:学習した中小企業と大企業の違い、優位性、劣位性を考え、自社、関係事業で活かせる経営資源について考えてみること。

授業内容

中小企業の機会

厳しい環境に置かれている中小企業だが、一方、経済の成熟化により、多品種少量、マス需要の減少により、大企業のメリットを活かしにくい経済環境になっており、且つ、上場企業では、株主からの圧力もあり、ガバナンス、コンプライアンス対応といった本業以外の負担も増え、所有と経営が一致している中小企業の経営自由度が上がっており、中小企業が成長の機会を活かせる環境に変化しているという見方も出来る。

保有する経営資源が少ないといわれる中小企業だが、事業を承継した優良中小企業では、蓄積された資金、信用もあり、且つ、優秀な後継者が経営層に属していたりと、一概にヒト・モノ・カネ・情報が不足しているとは言えない中小企業も存在している。一色単に、中小企業という言葉でくくることなく、それぞれの特色を考慮しながら中小企業の成長の機会の検討を試みる。

厳しい経済環境の一方、増加する中小企業のチャンスに対して、自社内部の経営資源と外部の経営資源を活かし、自らが「あるべき中小企業像」を考え、個々それぞれの「経営理念」を設定し、経営理念実現へのプロセスに関して講義を行う。また、次回講義のメインテーマにになる経営資源の限られる中小企業の場合の理想的な企業像としての「グローバルニッチトップ企業」を紹介する。

3 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:大企業でも構わないのでグローバルニッチトップ企業を探し、中小企業が、グローバルニッチトップを実現するのに必要な経営資源等を自分なりに考えておくこと。また、グローバルニッチトップ実現の難しさとリスクについても考えておくこと。
復習:学習したグローバルニッチトップ企業が、今後も継続して存続、成長していくためにはどのような経営戦略をとっていくべきか考えておくこと。

授業内容

●グローバルニッチトップ企業の経営的特性と課題

 「あるべき中小企業像」の理想としてグローバルニッチトップ企業を掲げている。このグローバルニッチトップ企業の事例に関して、その設立の背景やイノベーションについて考察する。グローバルニッチトップ企業の多くは高収益体質である反面、実現が難しく、代替する新技術・新製品の出現による経営的リスクを抱えており、その課題について討議する。

4 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:個々の中小企業の存在意義、会社の目的を考え、経営理念、ビジョン、経営戦略の設定について考えておくこと。一方、会社の目的がない場合の経営では、どういった問題点が起きるかも考えておくこと。
復習:自社、所属する企業の経営理念が、実際の経営の実行に有効に活用されているかどうか検討してみること。

授業内容

●中小企業における会社の存在意義

中小企業における会社の存在意義について検討する。上場企業とは異なり、株主からの配当要求や経営への圧力がない分、経営の自由度が高いが、一方、会社の目的が明確ではないと場当たり的な経営となり、ステークホルダーからの信任を得られず、経営が不安定となることもあり、中小企業の経営においては、その存在意義、経営理念が非常に重要な役割を持つ。今回の授業では、会社の存在意義の検討、経営理念の設定から戦略への落とし込みについて考えてみる。

●「量的」成長と「質的」成長

「量的」成長とは、企業の売上、利益の増加を意味する一方、企業のあるべき姿にどれだけ近づくことができたかを物差しとする「質的」成長も中小企業ならではのひとつの経営目標といえる。中小企業が目指すべき「成長」関する考えかたについて「質的」な側面からも検討してみる。

5 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:イノベーションに関する理論、先行研究を考えておく。
復習:学習したイノベーション理論、先行研究の要点を押さえておくこと。

授業内容

●イノベーションの理論とイノベーションの必要性

日本の中小企業にイノベーションが必要となっている背景を分析し、これまでのイノベーションに関する理論、先行研究を紹介しながら、本講義におけるイノベーション定義を明確化にしていく。今なぜ日本の中小企業にイノベーションが必要かについても考えていく。

6 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:イノベーション実現の課題を考えておく。
復習:自社、関係する事業でイノベーションが起こせない理由はなにかを考え、どのような仕組みを作ったらイノベーションが起きるかを考えておくこと。

授業内容

イノベーションの事業化

イノベーションの事業化までの課題及びリスクについて検討していく。イノベーションを発生させることも容易ではなく、且つ、それを具体的な製品やサービスすることも、事業として市場に浸透させることも難しい。本講義では、前講義で触れたイノベーション理論を基にして、イノベーションを如何にして起こし、商品化、事業化するかを事例を交えて学習をしていく。

7 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:受講生の携わる企業や事業でイノベーションを起こし、事業化するのに不足する経営資源を考えておく。
復習:⑴アライアンス戦略を実行するにあたっての注意点を考えておくこと。

⑵日本の中小企業に対して、政府は、国レベル、地方自治体レベルで様々な補助金、優遇制度を設けている。自社或いは関係する事業でどのような補助金、優遇制度があるとイノベーションを起こしやすいか考えてみる。

授業内容

●外部との提携

一般に経営資源が限られる中小企業では、自社で不足する経営資源を外部と提携し、弱みを補完する戦略をとることもある。イノベーションを起こすためのアライアンスについて、その実現可能性や効果、リスクについて考えてみる。

●支援機関・支援制度の活用

中小企業には、国、地方自治体が用意した様々補助金、優遇融資等の支援制度が存在している。こうした制度の具体例を紹介し、実際の活用方法にも触れる。

8 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:自社における不足する経営資源の獲得方法を時間軸を基の考えておく。

復習:第13回、第14回の授業では、受講生の皆さんに下記の発表をして頂きます。その準備をお願いします。
⑴自社及び自身が携わる事業におけるイノベーションを活用した成長戦略(何をしなければいけないか)
⑵成長戦略を実行するための課題(戦略実行に必要となる経営資源とその手当)

授業内容

●イノベーションとM&A戦略

顧客創造を一気に獲得し、イノベーションを一気に実現できるM&Aという手法が日本の大手企業だけではなく、中小企業でもとられることが近年増加している。イノベーションという切り口でのM&A戦略の有効性、リスクについて考えてみる。

●M&Aの留意点

一方、折角M&Aにより獲得した会社の機能を活用できず、イノベーションを起こすことが出来ず、顧客創造ができないケースも多く見受けられる。M&Aによるイノベーションの留意点について講義を行う。

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

9 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:ゲストスピーカー(X氏)が経営する会社の事業をホームページ等で事前に調査し、どのようなイノベーションを起こし、会社を成長してきているか考えておくこと。
復習:ゲストスピーカー(X氏)のイノベーションは何だったか。それは、どういうきっかけで起こったかを考えておくこと。

授業内容

●事例研究Ⅰ(経営者によるプレゼン)

ゲストスピーカー(X氏)が経営する会社の説明を聞き、予察的に考えていた仮説的な企業像との比較を行う。

10 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:ゲストスピーカー(X氏)の講演内容を確認するとともに、グループ討議に入る前に問題意識を絞っておく。
復習:ゲストスピーカー(X氏)の会社がさらに成長をしていくためのイノベーションを起こす課題は何かを考えておくこと。

授業内容

●事例研究Ⅰの討議

ゲストスピーカー(X氏)の会社の実情を踏まえ、同社がどのようなイノベーションを実現し、会社を成長させたかを討議する。イノベーション成功の要因、現在および将来会社が抱える課題と克服方法などについてグループ討議を行いグループとしての意見をまとめ、プレゼンを行う。短時間ではあるが、ゲストスピーカーの今後の経営へ活きるような提言もまとめるようにしたい。

11 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:⑴ゲストスピーカー(X氏)のグループ討議を受けての成長要因、今後の課題に関してまとめておく。
⑵ゲストスピーカー(Y氏)が経営する会社の事業をホームページ等で事前に調査し、どのようなイノベーションを起こし、会社を成長してきているか考えておくこと。
復習:ゲストスピーカー(Y氏)のイノベーションは何か。そのイノベーションを引き起こした戦略、経営資源は何かを考えておくこと。

授業内容

●事例研究Iのまとめ

グループ討議を受けて、事例研究Iの企業への提言のまとめを行う。

●事例研究Ⅱ(経営者によるプレゼン)

ゲストスピーカー(Y氏)が経営する会社の説明を聞き、予察的に考えていた仮説的な企業像との比較を行う。

12 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:ゲストスピーカー(Y氏)の講演内容を確認するとともに、グループ討議に入る前に問題意識を絞っておく。
復習:ゲストスピーカー(Y氏)の会社が今後も成長していくための経営課題は何かを考えておくこと。

授業内容

●事例研究Ⅱの討議

ゲストスピーカー(Y氏)の会社の実情を踏まえ、同社がどのようなイノベーションを実現し、会社を成長させたかを討議する。イノベーション成功の要因、現在および将来会社が抱える課題と克服方法などについてグループ討議を行いグループとしての意見をまとめ、プレゼンを行う。短時間ではあるが、ゲストスピーカーの今後の経営へ活きるような提言もまとめるようにしたい。

13 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:これまでの授業で学んだ理論、事例、ゲストスピーカーの話をまとめ、自社或いは、自身の所属する企業ではどのようなイノベーションが必要か、イノベーションを起こし、事業化するにはどのような戦略が必要かを発表できるレベル迄にまとめておく。
復習:他発表者のイノベーション戦略の課題、実現性について考えておくこと。

授業内容

個人発表(1)

これまでの授業で学んだ理論、事例、ゲストスピーカーの話を参考にして、自社或いは、自身の所属する企業ではどのようなイノベーションが必要か、イノベーションを起こし、事業化するにはどのような戦略が必要かを発表する。

14 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:これまでの授業で学んだ理論、事例、ゲストスピーカーの話を振り返り、自社或いは、自身の所属する企業ではどのようなイノベーションが必要か、イノベーションを起こし、事業化するにはどのような戦略が必要かを発表を準備しておく。
復習:他発表者のイノベーション戦略の課題、実現性について考えておくこと。

授業内容

個人発表(2)

これまでの授業で学んだ理論、事例、ゲストスピーカーの話を振り返り、自社或いは、自身の所属する企業ではどのようなイノベーションが必要か、イノベーションを起こし、事業化するにはどのような戦略が必要かの発表を行う。

15 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

予習:前回の受講者の発表に対して、⑴斬新性、⑵自身の事業への活用方法、⑶課題に関する見解をまとめておく。
復習:同科目で得たこと、今後のビジネスでどのように活用できるかを考えておくこと。

授業内容

●受講者発表のまとめ

前週の講者の各自発表に対して、下記テーマに関して、フリーディスカッションを行う。

⑴中小企業がイノベーションを実現するための課題(なぜできないのか、自分達ならどうできるか)

⑵発表した会社、事業の課題は何か。また、課題解決のために今後取り組むべきことは何か。

●本科目の総括

理論、ゲストスピーカーの事例、受講者の発表等、本科目で触れた内容に関してのまとめを行う。

授業方法

イノベーションに関する理論、先行研究、モデルに触れながら、事例を紹介し、知識レベルを高めると同時に、講義内での討議、レポート提出等のアウトプットを受講者にしていただき、実際のビジネスへの応用ができるような授業を行う。

テキスト

各回においてオリジナル資料を作成し、講義後に配布する。

参考図書

「イノベーションと企業家精神」P.F.ドラッガー著 ダイヤモンド社 ISBN 978-4-478-00064-9

「イノベーションの理由 ~資源動員の創造的正当化~」武石彰・青島矢一・軽部大著 有斐閣 ISBN 978-4-641-16392-8

「スモールビジネス・マーケティングー小規模を強みに帰るマーケティング・プログラム」岩崎邦彦 中央経済社 ISBN 978-4-502-58830-3

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

授業理解・グループ討議における内容と積極性

60 %

授業理解では、講義内容の理解度、他者意見の理解度を評価する。理解度を反映する質問や自身の意見(コメント)の内容の適正性についても評価する。また、質問、提案等の授業への積極性も評価する。

課題レポートとプレゼン内容

40 %

提出する課題レポートやプレゼンの内容を評価する。内容の新規性、論理性、先行研究の理解度を評価する。また、プレゼンでは、資料のわかりやすさ、的確な内容説明等も加えて評価する。

合計
100%

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

本科目は、受講者に中小企業がイノベーションを起こし、事業化するまでの応用力を養っていただくため、事例、ケースを多く扱っていきます。応用編ですので、他科目で受講したイノベーションに関する基礎理論を学習しておいていただくことが理想ですが、講義の中でも、理論、先行研究の紹介、概要の説明は行いますので、イノベーションの基礎科目を受講されていなくても学習できるように配慮させていただきます。

講師は、金属を中心とした素材、機械、プラント、化学品等の幅広い業界と、営業、海外事業、販売企画、経営企画、M&A等の多岐に渡る業務の経験があり、受講生の方々の疑問に対して、実務に適した回答をできると考えております。

決まった答えを出すのではなく、受講生各人が、思考し、独自のアウトプットを出せるように授業を工夫していきたいと思っております。

その他

受講者数、受講者が務める会社等の業種のバラツキに応じて若干の授業内容やゲストスピーカーを変更することもある。また、ゲストスピーカーの都合によって講義日時が前後することもある。

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