本科目では、中小企業診断士や経営コンサルタントとして中小企業を対象とした経営診断や助言の業務に携わっていくために、知っておくべき経営戦略立案の手順や企業連携手法を修得します。
経営診断では、企業の状況や取り巻く環境を俯瞰的かつ客観的に捉えて分析し、問題点をあぶり出し、課題を抽出する必要があります。企業内部の状況を把握する手段には、経営者や従業員からのヒアリング調査や財務分析などがあります。また、企業を取り巻く環境を把握する手段には、市場調査やPEST分析、5Force分析などがあります。
対象企業や業界が違っていても、アプローチの手法や手順に大きな違いはありません。中小企業診断士の資格を取得して独立し、経営コンサルタントになるなら、実務で使えるオーソドックスな経営診断のプロセスと経営戦略立案の手順を修得しておく必要があります。
企業連携は、現代の中小企業を支援するコンサルタントとして身に着けておくべき大切な知見のひとつです。ダイナミックかつスピーディーに変化する昨今の経営環境において、大企業に比べて経営資源の乏しい中小企業の場合は、自社単体で生き残っていくのは容易ではありません。積極的に外部のネットワークを活用することを検討する必要があります。
本科目の授業では、実際の企業を対象としてオーソドックスなプロセスに沿った経営診断手法や経営戦略立案の手順を学ぶとともに、実践的な企業連携を提案することを通じてコンサルタント実務を模擬体験してもらいます。
中小企業を対象とした経営診断業務を実施する際の一般的な作業手順を理解し、その手順に沿って、ベーシックな診断業務と経営戦略立案、企業連携提案をできるようになることを目的とします。
中小企業を対象とした経営診断と経営戦略立案、企業連携提案を一人で完結し、顧客である中小企業、公的機関や金融機関に満足してもらえる報告書を作成でき、かつ、顧客の心に刺さるプレゼンテーションができるようになることを目標とします。
具体的には、
などを目指します。
中小企業診断士を目指す院生
予習:初回は予習不要
復習:授業中に実施した業界調査や市場調査を補足しておく。
対象企業の事前情報を手掛かりにして、インターネットから得られる公開情報に基づいて、業界や市場の状況を把握します。
有
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連続授業なので前回と同じ。
対象企業の事前情報を手掛かりにして、インターネットから得られる公開情報に基づいて、業界や市場の状況を把握します。
業界や市場の動向を正しく把握するためには、信頼性の高い情報源にアクセスして的確な情報を入手する必要があります。入手した情報は、偏見を排して客観的に分析、評価し、論理的に考察します。ここでは、春学期の「コンサルタントの思考法とBtoBマーケティング」で学んだ手法の活用が期待されます。
有
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連続授業なので前回と同じ。
各自が調べた内容を発表します。
発表の場では、自分が発表することだけを考えるのではなく、ほかの人の発表を見て、聞いて、自分の調査結果とほかの人の調査結果は同じか?何か違いがあるとしたら、何が違うのか?なぜ違うのか?どのように情報を整理するとわかりやすいのか?どのように発表すると良いのか?などを考えてもらいます。
有
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予習:経営者から聞き取りたいことをリストアップしてくる。
復習:授業中に実施した定性分析を補足しておく。
対象企業の経営者を招き、ヒアリングを実施します。
ヒアリングには、限られた時間内により多くの有益な情報を入手することを意識して臨んでもらいます。より効果的なヒアリング調査とするために、事前に質問項目を吟味してもらいます。また、ヒアリング中の相手の受け答えに応じて、臨機応変に質問の内容や質問の仕方を調整してもらいます。
「自分が聞きたいことを聞く」という姿勢で質問するのではなく、「相手にできるだけしゃべってもらう」という姿勢で傾聴することを意識してもらい、できるだけ有益な情報を引き出してもらいます。
有
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連続授業なので前回と同じ。
経営者からのヒアリングや業界調査、市場調査の結果に基づいて、定性分析を実施します。
定性分析では、親和図法(KJ法)などを使って得られた情報を整理したり、連関図法を使って因果関係を検討したりすることで、問題点や課題を浮き彫りにします。情報収集ばかりに時間をかけると、情報の洪水に飲み込まれて分析に手が回らず、本質的な問題にたどり着けなくなることもあるので、そのようなことにならないためにはどうしたらよいかも考えてもらいます。
有
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連続授業なので前回と同じ。
各自の分析結果を発表します。
発表の場では、自分が発表することだけを考えるのではなく、ほかの人の発表を見て、聞いて、自分の分析結果とほかの人の分析結果は同じか?何か違いがあるとしたら、何が違うのか?なぜ違うのか?どのように情報を整理するとわかりやすいのか?どのように発表すると良いのか?などを考えてもらいます。
有
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予習:一般的な財務分析の手法を理解してくる。
復習:授業で実施した財務分析を補足しておく。
企業から入手した決算書を使って財務分析を実施します。
財務分析では、まずは直近5年分の決算書の数字をエクセルに入力します。全ての数字を自力で入力することで、企業の状況が見えてきたり、疑問点が浮かび上がってきたりします。これは、グループワークの診断実習では味わえない経験です。
5年分の数字をグラフ化することで、新たな発見が得られます。
更に、原価や販管費を細分化して固変分解し、損益分岐点を算出します。この際、中小企業庁方式や日銀方式に頼らず、対象企業の実情を踏まえ、個々の費用の性質を見極めて固変分解することで、精度の高い損益分岐点分析が可能になります。
財務が苦手という人も、この授業で対象企業の財務分析を自力でやるという経験をすれば、苦手意識を軽減できます。
有
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連続授業なので前回と同じ。
各自の分析結果を発表します。
発表の場では、自分が発表することだけを考えるのではなく、ほかの人の発表を見て、聞いて、自分の分析結果とほかの人の分析結果は同じか?何か違いがあるとしたら、何が違うのか?なぜ違うのか?どのように情報を整理するとわかりやすいのか?どのように発表すると良いのか?などを考えてもらいます。
有
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予習:定性分析や財務分析から考えられる問題点を抽出してくる。
復習:授業での議論を踏まえて問題点や課題を再考する。
これまでの調査やヒアリング、財務分析などから、企業の問題点を抽出し、解決すべき課題を検討します。
問題点や課題の抽出にあたっては、定性分析と同様に、親和図法(KJ法)などを使って得られた情報を整理したり、連関図法を使って因果関係を検討したりすることも有効です。
問題点や課題をマーケティングの4Pで整理するとわかりやすいこともあれば、バランス・スコアカードの4つの視点で分類、整理することが有効な場合もあります。これまでの授業で学んださまざまな手法やフレームワークを自分なりに活用し、応用することを考えてもらいます。
有
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連続授業なので前回と同じ。
各自が考えた問題点や課題を発表します。
発表の場では、自分が発表することだけを考えるのではなく、ほかの人の発表を見て、聞いて、自分の検討結果とほかの人の検討結果は同じか?何か違いがあるとしたら、何が違うのか?なぜ違うのか?どのように情報を整理するとわかりやすいのか?どのように発表すると良いのか?などを考えてもらいます。
有
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予習:抽出された問題点や設定された課題に基づく提案事項を考えてくる。
復習:経営改善計画とアクションリストを盛り込んだ報告書を完成させる。
前回までの調査、分析などを踏まえて、経営改善のための戦略や企業連携の提案を検討し、その提案を実施するための経営改善計画やアクションリストを作成します。
提案や経営改善計画では、内容が対象企業の実情に則しているか?タイムスケジュールは現実的か?を検討します。
アクションプランでは、誰が、何を、いつまでにやるのか、を明確にします。
有
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連続授業なので前回と同じ。
調査分析結果や提案、経営戦略や経営改善計画、具体的な企業連携スキーム提案などを盛り込んだ報告書を作成します。
報告書とプレゼンテーション資料は、次回の授業までに完成させて提出していただきます。
有
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予習:プレゼンテーション資料を完成させてくる。
復習:自分とほかの人のプレゼンテーションの良かった点や悪かった点を振り返り、改善すべきことを認識する。
各自の経営改善提案と経営改善計画をプレゼンテーションします。
プレゼンテーションでは、内容の合理性や妥当性を評価しますが、これらと合わせて、限られた時間内で、経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?も重視します。
経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?については、コミュニケーションスキルの観点からも評価します。
受講者は、自分自身を含む各発表者の良かった点や改善すべき点などを評価します。
有
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連続授業なので前回と同じ。
各自の経営改善提案と経営改善計画をプレゼンテーションします。
プレゼンテーションでは、内容の合理性や妥当性を評価しますが、これらと合わせて、限られた時間内で、経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?も重視します。
経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?については、コミュニケーション能力の観点からも評価します。
受講者は、自分自身を含む各発表者の良かった点や改善すべき点などを評価します。
予習:プレゼンテーション資料を完成させてくる。
復習:自分とほかの人のプレゼンテーションの良かった点や悪かった点を振り返り、改善すべきことを認識する。
各自の経営改善提案と経営改善計画をプレゼンテーションします。
プレゼンテーションでは、内容の合理性や妥当性を評価しますが、これらと合わせて、限られた時間内で、経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?も重視します。
経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?については、コミュニケーション能力の観点からも評価します。
受講者は、自分自身を含む各発表者の良かった点や改善すべき点などを評価します。
連続授業なので前回と同じ。
各自の経営改善提案と経営改善計画をプレゼンテーションします。
プレゼンテーションでは、内容の合理性や妥当性を評価しますが、これらと合わせて、限られた時間内で、経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?も重視します。
経営者の心に刺さるプレゼンテーションができたか?については、コミュニケーション能力の観点からも評価します。
受講者は、自分自身を含む各発表者の良かった点や改善すべき点などを評価します。
必要な資料は適宜配布します。
特になし。
完成させた経営診断報告書の内容
30 %
企業の経営状況を正しく認識しているか? 報告書の内容は充実しているか? 説明は合理でわかりやすいか? などを評価します。
プレゼンテーション資料とプレゼンテーションの内容
30 %
資料はわかりやすいか? プレゼンテーションはわかりやすいか? 態度や言葉遣いは適切か? などを評価します。
授業への参画姿勢
40 %
授業中の参画姿勢、発言、質疑応答の内容、態度は、コンサルタントとして適切か? などを評価します。
中小企業診断士として独立開業し、公的機関や金融機関から委託を受けて中小企業の経営診断にあたる場合、そのほとんどのケースで、すべての作業を自分ひとりで完結させなければなりません。グループで役割分担を決めて実施する実務補修や診断実習とは違い、すべてが自己完結で自己責任となります。この授業を通じて、ひとりで実務を遂行する「ホンモノの診断士の仕事」を疑似体験して下さい。
授業には各自のパソコンを持参して下さい。
授業中にインターネットを使った情報収集、エクセルを使った財務分析、ワードを使った報告書作成、パワーポイントを使ったプレゼン資料作成などをやってもらいます。
財務分析のためのデータ入力の際には外付けのテンキーがあると便利です。各自で用意されることをお勧めします。
上記の計画は、その内容や順序を変更する可能性があります。