ミッション達成型事業マネジメント概論 PDF

Introduction of Program & Project Management for Mission Achievement

担当教員

単位数

2単位

開講学期

春学期

開講曜日・時限

火曜日・土曜日
※開講時限は授業カレンダーをご参照ください

位置づけ

プログラム&プロジェクトマネジメント 基礎段階

区分

基幹科目

科目紹介

科目の重要性・必要性

企業の経営では、常に顧客に対する新たな価値を創造し、提供することにより持続的発展を図っていくことが重要となる。グローバル化の進展、国内の労働生産人口の減少、IT技術をベースとしたビジネス基盤の変化など、企業を取り巻く環境は、常に変化している。こういった現代社会の多様化・複雑化に伴い、新規事業・商品開発、研究開発、経営システム構築、社会インフラ整備など、様々な分野で複数のプロジェクトや活動を統合的にマネジメントすることによるミッション(使命・目的)達成型マネジメントのマネジメント(プログラムマネジメント)が必要になってきている。日本ではP2M(Project &Program Management for Enterprise Innovation)というプログラムマネジメントの概念・知識をカバーするマネジメント体系が開発され、2001年に初版が発刊されている。P2Mは、今までの日本型マネジメントの特徴や蓄積してきたノウハウを踏まえながら、最近の事業環境の変化を見据えた、価値創造・獲得のための新しい計画・管理体系として編纂された。その内容は国際セミナーの場などを通じ世界に紹介され、その後の世界のマネジメント体系の潮流に影響を与えた。現在では、世界の多くのマネジメント体系にプロジェクトマネジメントに加え、プログラムマネジメントの体系が取り入れられている。企業などが、企業改革、新事業など、時代のニーズに応える新しい価値創造事業に取り組むためには、プログラムマネジメントとプロジェクトマネジメント(以下、プログラム&プロジェクトマネジメント)の実践化が重要となってきている。本授業では、昨今の国内外の動き、SDGs、ESG投資、インパクト投資、インパクト評価、デジタルトランスフォーメーション、COVID-19による新しい社会観・価値観など、経営戦略に影響を与える環境の変化、社会の変化と現在直面する課題といった点への理解、感受性を高めながら、そういった変化に、経営はどう対応するのか、を考えながら授業を進めていく。

科目の目的

本科目では、プログラム&プロジェクトマネジメントの基本概念を理解し、企業の経営方針・戦略を反映した事業の構想・企画、プログラムの実施、成果物の産出、価値の創造・獲得までの一連のプロセスに必要なマネジメント能力向上に必要な知識を体系的に学び、実践に活用するための基礎を習得することを目的とする。授業では、企業を社会のアクターと考え、企業の活動の成果は社会に帰着し、また社会は企業活動なくして持続できないとの視点を重視しながら、経営戦略に影響を与える環境の変化、社会の変化と関連する情報への機敏性を高め、変化への対応力の向上につながる内容になるよう工夫している。昨今、注目度の高い社会課題、SDGs、ESG投資、インパクト投資、インパクト評価、ステークホルダー資本主義、グローバル化といったトレンドについての理解の向上にも配慮している。

到達目標

企業戦略と事業の関係を理解した上で、企業経営者、経営幹部、企画戦略担当者、事業総括者などの立場より、プログラム&プロジェクトマネジメントを実際の企業活動での課題にどのように適用すればよいか、どういう手順で進めればよいか、などを考える上で必要となるプログラム&プロジェクトマネジメントのための基礎的知識の習得、経営に関連する環境や社会の変化への察知力、必要な収集能力や分析力の獲得を到達目標とする。

受講してもらいたい院生

企業経営者・経営幹部、企画戦略担当、事業遂行者などの立場にて、企業の経営環境の分析や戦略性向上、新しい事業への挑戦、複雑な課題への対応などに取り組むことを考えている院生、特に企業戦略の事業への反映、事業の企画・構想から事業の実施、価値創造までの総合的マネジメント能力の向上を目指す院生、昨今国内外で議論が活発化するSDGS、ESG投資、インパクト投資、インパクト評価、社会課題、グローバル化、ステークホルダー資本主義、これからのビジネスエコシステムのあり方、などに関心のある院生など

授業計画

1 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

経営戦略と事業戦略の違い、事業のマネジメントに必要な知識、マネジャーとして求められる資質とは何か、という点について、自身の経験に基づき、予めイメージを持ったうえで授業に臨む。受講後、講義資料を復習し、授業で提示された問題提起、視点などを踏まえながら、プログラムとプロジェクトの違い、戦略実現の実践的アプローチとしてのプログラム&プロジェクトマネジメントの概念についての理解を深める。

授業内容

イントロダクション/プログラム&プロジェクトマネジメントとは何か 

  
授業全体の内容について、イントロダクションとして紹介した上で、この授業に臨むにあたって考えることが必要ないくつかの問いかけを行いながら、プログラムという枠組みの概念、プロジェクトとプログラムとの違い、プログラムマネジメントの概念が取り入れられた知識能力体系が生まれた背景とその特徴などについて学ぶ。戦後の日本の発展にどのような要因が寄与したのか、現在はどのような状況なのか、MOTが生まれた背景には何があったのか、これからの時代にどのようなことを考えて行く必要があるのか、など、ミッション達成の視点から本授業の中で考えて行こうとしていることについての問題提起を行う。

 

 

2 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第1回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第1回のところに、第1回・第2回の内容を記載

3 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

企業経営と事業としてのプログラム/プロジェクトの関係はどのように考えれば良いのか、自分なりのイメージを整理した上で授業に臨む。受講後、講義資料を復習し、企業経営とプログラム/プロジェクトの関係、およびプログラム/プロジェクトのライフサイクルの考え方について理解を深める。

 

授業内容

企業経営と事業としてのプログラム/プロジェクト   

   
経営戦略に基づく企業のミッション達成を意図したプログラム/プロジェクト立案のアプローチとプログラム/プロジェクトのライフサイクルと3つのモデルであるスキームモデル(構想・企画段階)、システムモデル(実施段階)、サービスモデル(運営・サービス提供段階)の考え方とマネジメントにおける役割を理解する。

 

 

4 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第3回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第3回のところに、第3回・第4回の内容を記載

5 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

自社の事業を思い浮かべながら、事業を行う上でどのような関係者が出て来るのか、どのような体制が必要なのか、実際の事業のステップにはどのような段階があるのか、どんな問題は発生し得るのか、成功裡に進めるためにどのようなマネジメント項目があるのか、など、予め事業マネジメントのイメージの概略を描いてみた上で授業に臨む。受講後、講義資料を復習し、授業における問題提起と視点を踏まえながら、事業構想の考え方、プログラム&プロジェクトマネジメントの基本知識・基本理論の全体像について理解を深める。

 

 

 

授業内容

事業構想とプログラム&プロジェクトマネジメントの基本知識・基本理論

 

経営戦略を踏まえたミッションを達成するための事業構想の考え方、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメントの全体像を把握し、知識体系として蓄積されてきたマネジメントの基本知識・基本理論を学ぶ。

 

6 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第5回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第5回のところに、第5回・第6回の内容を記載

7 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

自身あるいは自社のあるべき姿、ありたい姿を描いてみる。その上で自身あるいは自社の現状を踏まえながら、想定したあるべき姿、ありたい姿を実現するためには、どのようなクリアすべき課題があるかを、予め、考えた上で授業に臨む。授業後は、講義資料を復習し、授業の中で提示された問題提起や視点も踏まえながら、プログラムやプログラムマネジメントの実務的な意義や全体のシナリオを描くロジックモデルの理解を深める。

 

 

授業内容

プログラム&プロジェクトマネジメントの適用事例/ロジックモデル演習

 

前半はゲストスピーカーによる講義(環境分野の研究開発プログラムに関する取り組み事例)、質疑応答、クラスディスカッションを行う。後半は、は事業構想と全体のマネジメントに有益なSWOT分析、ロジックモデルについての考え方について、演習も交えながら学ぶ。


第8回の授業中に事業構想に関連する個人の提出課題の内容を説明する。ここで提示する課題は、以降の授業で学ぶ内容なども参考にしながら、取り組むことを想定するため、提出期限は、第15回の授業日の3日前までとする。第15回の授業にて、全体への個別に提出された内容に基づき、全体へのフィードバックを行う。

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

フィードバック内容

第8回の時に個人が取り組む課題を提示する。本課題は、事業構想に関連するもので、第9回以降の授業内容も参考に取り組む内容のため、提出期限は第15回の授業日の3日前までとする。第15回の授業にて、全体へのフィードバックを行う。

8 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第7回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第7回のところに、第7回・第8回の内容を記載

課題有無

課題フィードバック方法

全体へのフィードバック

フィードバック内容

連続授業のため、第7回のところに、第7回・第8回の内容を記載

9 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

自身が今までの業務経験などで使ってみたことがあるビジネスフレームワークがあれば、そういったフレームワークが仕事にどのように役立ったか、あるいは利用上どのような難しさや課題があったかなどを予め整理した上で授業に臨む。今までビジネスフレームのようなものを利用した経験がない受講者は、インターネットなどでビジネスフレームワークにはどのようなものがあるか、検索してみて、ビジネスフレームワークのイメージを持ったうえで授業に臨む。授業後は、講義資料を復習し、授業の中で提示されたビジネスフレームワークの利用上の留意事項などを考えながら、事業構想に利用する上での各フレームワークの特徴や使い方の理解を深める。

 

 

 

授業内容

事業構想のためのフレームワークとミニクラス討議

事業構想に役立つ様々なビジネスフレームワークについて理解する。授業の後半では、設定したテーマについてのワークショップとして、フレームワークも使いながらグループ討議を行い、グループごとの発表・クラス討議を行う。

 

 

10 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第9回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第9回のところに、第9回・第10回の内容を記載

11 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

自社が事業を行う上で関係するステークホルダーにどのような関係者が存在するか、またステークホルダーのマネジメントにはどのような留意事項やもつべき視点があるのか、を考えてみる。また、昨今頻出するプラットフォームという言葉について、自身なりにイメージを整理した上で、授業に臨む。授業後、講義資料を復習し、授業の中で提示された問題提起や視点も踏まえながら、ステークホルダーやプラットフォームのマネジメント、エコシステムの捉え方などについて、理解を深める。

 

授業内容

プラットフォームとステークフォルダー/エコシステム

 

前半は、ゲストスピーカーによる講義(企業の研究開発におけるプラットフォームマネジメント)、質疑応答、クラスディスカッションを通じ、ゲストスピーカーの講義内容についての理解を深める。

第12回は、事業とステークホルダーというテーマについて考える。事業マネジメントにおけるコミュニケーションのあり方、昨今のビジネスにおけるプラットフォームという概念の広がりとプラットフォームの利用価値、プラットフォームのマネジメントのあり方、さらに事業を取り巻く関係者をつなぐエコシステムの考え方など、について学ぶ。

 

 

 

 

12 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第11回の記載事項に同じ

授業内容

連続授業のため、第11回のところに、第11回・第12回の内容を記載

13 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

プログラムマネジャー/プロジェクトマネジャーにはどのような資質が求められるのか、今まで受講した講義に基づき、自分の考えをまとめた上で授業に臨む。受講後、プログラムマネジャー/プロジェクトマネジャーに求められる資質についての理解を確認し、自社においてどのように人材育成をしていくことが必要かについて考える。

 

 

授業内容

プログラムマネジャー/プロジェクトマネジャー/人材と組織/多様性


プログラムマネジャー/プロジェクトマネジャーに求められる資質、その人材育成のあり方について理解する。また、プログラムやプロジェクトの事業組織について学ぶ。また、併せて人的資本について、多様性の視点より、理解を深めるとともに、人材の潜在能力の発掘、個人・組織のエンパワメントというテーマについて理解を深める。後半の部分では、ミッション達成型事業とSDGsという視点について学ぶ。

14 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

連続授業のため、第13回のところに、第13回・第14回の内容を記載

授業内容

連続授業のため、第13回のところに、第13回・第14回の内容を記載

15 回

予習・復習時間

4時間

予習・復習

ミッション達成型事業の観点より、自社の取り組みをSDGsの視点より検討し、どのような関連があるか、検討してみる。また、第1回~第14回までの授業を通じ、理解が不確かな部分を予め、点検・確認した上で授業に臨む。授業後は、講義資料を復習し、各授業における問題提起や提示された視点などをも踏まえながら、15回にわたる本科目の講義内容につき、再度理解を確認する。

授業内容

ミッション達成型事業とSDGs/講義全体のまとめ

 

第13回・第14回に引き続き、ミッション達成型事業とSDGsとの関係について理解する。SDGsに加え、PRI/ESG投資、インパクト投資、インパクト評価などの昨今のトレンドについても併せて解説する。後半部分では、第8回の時に提示した個人の提出課題に対する全体へのフィードバックを行い、その上で本科目の講義全体のまとめを行う。

授業方法

パワーポイントのテキストによる授業を主体としながら、時々、演習問題やグループ討議、クラス討議を入れて、ミッション達成型事業マネジメント(プログラム&プロジェクトマネジメント)の基本的な考え方を理解し、企業が抱えるさまざまな問題に対するプログラム&プロジェクトマネジメントのアプローチに対して理解を深める。経営戦略などに影響を与える国内外で発生している新しい動きを、事象とともに可能な限り統計情報なども交えて、エビデンスベースで理解できるような授業を心掛けている。

テキスト

授業配布のパワーポイント

参考図書

プログラムマネジメントの関係図書として次のようなものがあるが、その他、本授業に関連する参考図書は授業中に適宜紹介する。
・「実践プログラムマネジメント」(吉田邦夫・山本秀男、日刊工業新聞社刊 ISBN978-4-526-07227-7)
・「よりよくわかる プロジェクトマネジメント」(日本プロジェクトマネジメント協会編、オーム社、ISBN978-4-274-224424-9)
・「P2Mプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」(日本プロジェクトマネジメント協会編、日本能率協会マネジメントセンター刊、ISBN978-4-8207-4887-8)
・「中小企業技術経営実践講座」(日本工業大学大学院技術経営学科監修、工学図書(株)刊、ISBN978-4-7692-0482-4)など
第13章 P2Mプログラムマネジメント   
第14章 プロジェクトマネジメントの基礎

・「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド第7版+プロジェクトマネジメント標準」(PMI日本支部監訳、一般社団法人PMI日本支部発行、ISBN978-4-9906345-7-5)

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

授業に対する参画姿勢、演習や発表の内容で評価する。

50 %

本科目は、ミッション達成型事業マネジメントの基礎的内容であり、基礎知識や概念の説明も多いが、授業はアクティブラーニング的な方法を採用している。そのため、クラス討議、グループ討議なども適宜活用する予定であり、積極的な討議への参加姿勢を評価に含める。ただし、大学のルールに従い、クラスの平均値を75点とする相対評価(達成度ではなく、クラスの中での相対順位)にて評価を行う。

個人提出課題

50 %

第8回の授業で提示する個人の提出課題で評価する。提出期限は第15回授業日の3日前まで。ただし、大学のルールに従い、クラスの平均値を75点とする相対評価(達成度ではなく、クラスの中での相対順位)にて評価を行う。

合計
100%

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

今後自身の立場において、どのような新しい事業に取り組む必要があるか、どのような価値創造が必要となってくるかなどについて、予め自分自身の考えを整理しておくとともに、自分自身の事業マネジメントに対する問題意識などを考えておく。経営に影響を与える昨今の国内外の動きについて、新聞などでキャッチするように努めると授業内容との関連で相乗効果が期待できる。
参考図書などをもとに、大まかな各章の概要を理解しておき、質問などがあれば、準備する。
春の授業で、プログラムとプロジェクトの違い、定常活動と非定常活動の違い、プログラム&プロジェクトマネジメントの全体像を理解して、プログラムマネジャー、プロジェクトマネジャーとして実践の場で活躍するために必要な基礎知識を獲得することを目指す。

その他

春学期の「ミッション達成型事業マネジメント概論」、夏学期の「ミッション達成型事業マネジメント実践化演習」、秋学期の「中小企業のプログラム立案ケーススタディ」は、関連科目となっているため、シリーズでの受講が望ましい。

<受講方法について>

中村が担当する授業では、個人の多様性と個々の院生の多様な事情を尊重する立場をとっています。体調、育児、介護、家事、仕事などの様々な事情との両立が可能となるよう対面・オンラインのいずれの受講形式を選択してもそん色の無い授業デザイン・運営に心がけています。所定の出席回数が確保されれば、受講形式によって成績評価上も影響しません。受講形式を個人の事情に応じ、選択しながら、授業と個人の様々な事情との両立を実現してください。

CONTENTS

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コラム

客員教員

実際の経営者や担当者をゲストスピーカーとして招聘