Basic of Intellectual Property for SMEs
2単位
秋学期
金曜日・土曜日
※開講時限は授業カレンダーをご参照ください
知財マネジメント 基礎段階
事業創造コース コース重点科目
知的資産経営、中でも技術思想(発明)等の知的財産(知財)を経営資産とする知的財産経営は、技術経営(MOT)と一体不可分の関係にある。物やサービスが売れる要因の技術、デザイン、ブランドについて、参入障壁となる特許権、意匠権、商標権を取得し、営業秘密や契約で保護することで、事業の持続力を維持できる。
中小企業は、大企業と比べれば、意思決定が速く、事業、研究開発及び知的財産の戦略を三位一体で遂行し易い組織規模であり、知的財産戦略の遂行上で強みを持つ。大企業に伍してビジネスし、大企業とアライアンスし、大企業向けにビジネスする中小企業こそ、知的財産戦略に目覚めるべきである。
知的財産精度の仕組みと知財戦略を知ることで、単独開発または共同開発される新製品や新サービスの強みを増強させる策と、開発の影に潜む将来のリスクを事前に察知して事業の弱みを解消する策とを、自社事業に取り込む知財戦略の構築及び遂行を目指す。
受講者は、知的財産管理技能検定3級レベルの知財の基本的な仕組みの理解と、同2級レベルの知財戦略の遂行を、企業の活用事例、話題となった紛争、特許・商標調査等のデモンストレーション等を通じて習得することができる。
特に、技術者、開発/事業マネージャー、商品/サービス企画、経営企画等、自己の業務に知財戦略を刷り込む人を対象とする。
予習:受講者が所属する企業にとって、財務諸表に載らない知的財産(無形財産)とは何かについて考える。所属企業または身近にある知的財産をリストアップする。
復習:第1回で学んだ知的財産の種類毎に、受講者が所属する企業の知的財産を確認する。
知的財産制度と知的財産を尊重するマインド形成
・知的資産と知的財産(特許、意匠、商標、著作権、不正競争防止法、独禁法等)
・知的財産経営、知的財産戦略の成功事例・失敗事例
予習:受講者が所属する企業での職務発明制度、提案制度の有無、内容及び運用状況を調べる。
復習:第2回で学んだ知財の活用戦略、創造戦略の自社企業への適用・応用を考える。
知的財産戦略
・知的財産戦略を遂行するための組織と仕組み
・知財の活用戦略、創造戦略
・誰でも使える自由技術
予習:自分が関心のある自社または特定の他社の技術を特定する(授業での特許調査対象)。
復習:第3回で取得した特許公報(公開特許公報)の全文を読み、どのような技術がその特許で保護されるのかを認識する。さらに、どうすればその特許から逃れられるかを考える。
特許を調べ、特許を読む
・特許を読めば世界が分かる
・自社・他社特許を調べて読む
・特許庁の特許情報プラットフォームと接続し、会社名から特許を調べる
予習:特許庁の特許情報プラットフォームで使用可能な、会社名以外の検索項目を確認する。
復習:第4回で取得した特許公報(公開特許公報)の全文を読み、どのような技術がその特許で保護されるのかを認識する。さらに、どうすればその特許から逃れられるかを考える。
特許を検索論理式で先行特許を調べる
・特許庁の特許情報プラットフォームと接続し、会社名等から対象特許を特許を調べる(予備調査)
・特許庁の特許情報プラットフォームと接続し、予備調査で取得された特許に付された分類コードから関心技術の母集団を特定する(本調査)
・特許が成立したか否かを調べる
予習:自社の強みの技術のトレンドや応用分野、自社技術の課題を調べる。
復習:自社技術の課題を解決する他社技術を、第4回で学んだ調査方法により調べる。
自社の技術をどのように特許出願させるか(出願権利化戦略1)
・時系列パテントポートフォリオ
・知財創造戦略と埋もれた発明の発掘方法
予習:第3回又は第4回で取得した公報の特許請求の範囲を読む。
復習:自社の過去の特許出願または取得特許が目的を達成できるものか検証する
何の目的で特許出願し、特許出願をどう書くか(出願権利化戦略2)
・特許請求の範囲(クレーム)に何を書くのか(権利一体の原則)
・主要な特許要件
・弁理士が書いた特許明細書のチェックポイント
有
解答例示のみ
予習:自社技術のうち公開せずに秘密にするもの、その秘密をどう管理しているかを調べる
復習:第7回で学んだ秘密管理性の観点で自社の秘密管理体制が十分かを検証する
特許出願とブラックボックス化(秘密化)
・特許出願とブラックボックス化の利害得失
・ブラックボックス化の対象とできる技術
・ブラックボックス化のリスクを低減する先使用権
・秘密を保護する要件である非公知、有用性、秘密管理性
・データ(限定提供データ)の保護
有
解答例示のみ
予習:自社の海外拠点、自社製品の外国市場、外国の競合他社を調べる
復習:第8回で学んだ海外出願対象国と照らして自社技術をどの国で保護するか検討する
グローバル知財戦略
・なぜ海外で出願権利化するのか?
・海外に出願する3つのルートと利害得失
予習:同一・類似業界での知的財産の紛争があったかを調べる
復習:第9回で学んだ特許権侵害・非侵害の判断に基づき、特定の他社特許発明を迂回する方策を考える
クレーム解釈と権利侵害への対応(知的財産権の活用戦略1)
・特許権侵害・非侵害の判断の原則と例外
・知的財産に関する紛争事例
・侵害警告への対応と侵害予防
有
解答例示のみ
予習:自社と他社との間に締結された特許権のライセンス契約があるかを調べる
復習:現在の自社にとって不都合な条項がライセンス契約書にあるかを調べる
侵害訴訟の成果とライセンス戦略(知的財産の活用戦略2)
・侵害訴訟の成果(差止請求権と損害賠償請求権)
・損害賠償額の算定方式
・ライセンスインとライセンスアウト
・通常実施権/専用実施権の許諾契約
予習:自社と他社との間に締結された共同開発契約があるかを調べる
復習:現在の自社にとって不都合な条項が共同開発契約書にあるかを調べる
アライアンス(提携)に伴う知的財産戦略1
共同開発に伴う知的財産戦略
・秘密保持契約
・共同開発契約
有
解答例示のみ
予習:業界内に標準化技術またはオープン化技術(誰にでもライセンス可)があるかを調べる
復習:標準化技術またはオープン化技術の中で自社の強みを発揮できるかを検討する
アライアンスに伴う知的財産戦略2
・共同開発契約書
・オープン&クローズ戦略
・標準化戦略
・中小企業が目指すべき標準化
予習:自社の商標(ネーミングまたはマーク)を調べる
復習:自社でのブランド戦略の遂行を検討する
著作権、ブランド戦略及び商標権による保護(1)
・著作権の概要
・ブランド戦略の事例紹介
・特許庁の特許情報プラットフォームと接続し、自社又は他社の商標を特許を調べる
・商標登録要件
予習:自社製品と他社製品との間のデザインの差が何であるかを調べる
復習:デザインの差が技術上の必然または優位性であるかを検討し、今後は特許出願または意匠登録出願を検討するシステムを自社に取り込む
商標権による保護(2)
意匠権及び不正競争防止法による形態の保護
予習:第1回~第14回で印象に残ったことをピックアップする
復習:自社の事業を知的財産で強くし、または事業のリスクを知的財産で低減する策を検討する
知財専門家の活用戦略
・知財専門家を活用して知的財産戦略を構築・実践する手法
・戦略目的の明確化
有
解答例示のみ
講義を基本とする。
講師-受講者間の質疑、受講者による特許調査等のデモンストレーションと成果発表を取り入れる。
特に設定しない。
講師が教材を毎回準備する。
2020年知的財産権制度説明会(初心者向け)テキストweb版 https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/2020_syosinsya.html
産業財産権標準テキスト 総合編 特許庁編 発明協会 ISBN978‐4‐8271‐1191‐0
産業財産権標準テキスト 特許編 特許庁編 発明協会 IISBN978‐4‐8271‐1215‐3
知的財産管理技能検定3級公式テキスト改訂11版 知的財産教育協会編 ISBN978-4-909189-22-6
知的財産管理技能検定2級公式テキスト改訂10版 知的財産教育協会編 ISBN978-4-909189-20-2
キヤノン特許部隊 丸島儀一 光文社新書 ISBN978-4-334-03126-8
テスト結果
70 %
授業終了前に実施する4~5回の効果確認テストと、最終授業で実施する修了テストとの結果
授業への参画態度
30 %
発言頻度 特許・商標調査実演での成果
受講前に、自社の知財活動を分かる範囲で調べる。知財担当者はいるか。特許出願等の実績はあるか。特許等を保有しているか。共同開発やライセンス契約の実績があるか。同一業界内に知財紛争事例はあるか。
最初の講義で知財制度の全体概要を説明し、特に分かり難い用語について共通認識を得る。