経営者が意思決定を行うためには、その前提として企業の置かれている現状を理解することが必要である。財務状況は、自社の内部環境を把握する上で最も基礎的な指標であり、将来の経営計画を検討する際にも現在の財務状況がベースになる。
しかし一方で、財務情報に表れない情報や自社を取り巻く外部環境によって、取り得る戦略は変わってくる。
本講座では、財務分析の基本的な進め方と全社の戦略策定における財務分析の位置づけについて学ぶ。
組織目標の達成を図るため、財務状況を的確に評価し財務分析により抽出された財務課題の解決について、支援先企業に対して的確な指導・支援・アドバイスができるスキルの修得を目指す。
・基本的な財務面の評価、分析手法を体系的に修得していること。
・財務上の課題を解決するための具体的な改善提案について、支援企業に合った実行可能な提案ができること。
・戦略策定において、財務分析がどのような位置づけであるか理解していること。
・会計を起点に企業の目的と価値経営や経営の本質と職業倫理の重要性の理解を深める。
企業経営を数値面から捉えることは必須です。本講座では、数字を経営に役立てるための財務分析の基礎について学びます。あらゆるビジネスパーソンに受講してもらいたいと考えています
第1回
予習:これまでに学習した財務・会計に関する事項を確認する
復習:財務諸表の基本を理解する
財務分析の進め方(1)(講義とディスカッション)
・本科目の講義概要
・財務諸表の基本
貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の関係性について学ぶ。
また個人事業主と法人の申請書の違いや別表、決算報告書、勘定科目内訳書、法人概況説明書の関係性について学ぶ。
予習:これまでに学習した財務分析に関する事項を確認する
復習:企業特性を踏まえた分析の視点を理解する
財務分析の進め方(2)(講義とディスカッション)
・財務分析の基本
経営診断における財務分析の位置づけについて学ぶ。財務分析における全体像を把握し、中小企業における業種や業態ごとに財務分析の重要項目、分析の方法、分析上の注意事項について事例をもとに確認する。
予習:安全性分析に関する事項を確認する
復習:基本的な安全性指標を理解する
財務分析の進め方(3)(講義とワークショップ)
・経営指標分析①
演習問題を通じて、安全性の分析について学ぶ。安全性の分析においては、資本構造の安全性(自己資本比率、負債比率等)、短期支払能力の安全性(流動比率、当座比率等)、長期支払能力の安全性(固定比率、固定長期適合率等)の観点から分析を行う。
予習:収益性分析、損益分岐点分析に関する事項を確認する
復習:基本的な収益性指標、損益分岐点分析を理解する
財務分析の進め方(4)(講義とワークショップ)
・経営指標分析②
演習問題を通じて、収益性の分析について学ぶ。収益性の分析においては、資本利益率(ROE、ROA、総資本経常利益率等)、売上高利益率(売上高総利益率、売上高経常利益率等)、資本回転率(総資本回転率、棚卸資産回転率等)の観点から分析を行う。
予習:生産性分析、成長性分析に関する事項を確認する
復習:基本的な生産性の指標、成長性の指標を理解する
財務分析の進め方(5)(講義とワークショップ)
・経営指標分析③
演習問題を通じて、生産性の分析について学ぶ。生産性の分析においては、労働生産性(付加価値率、労働装備率、有形固定資産回転率等)の観点から分析を行う。
予習:キャッシュフロー計算書に関する事項を確認する
復習:キャッシュフロー計算書について理解する
財務分析の進め方(6)(講義とワークショップ)
・資金管理キャッシュ・フロー
演習問題を通じて、キャッシュ・フロー計算書の分析および作成する。損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の比較を通じて、勘定合って銭足らずがなぜ生じるかを確認する。
予習:損益分岐点分析(売上高の変動性、費用構造が利益構造に及ぼす影響)について整理してくる
復習:損益分岐点分析(売上高の変動性、費用構造が利益構造に及ぼす影響)について復習する
財務分析の進め方(7)(講義とワークショップ)
・利益管理
演習問題を通じて、損益分岐点分析(売上高の変動性、費用構造が利益構造に及ぼす影響)について学ぶ。固定費比率、変動費比率、限界利益率、目標利益率について把握し、セグメント別損益計算書の作成を通して、戦術的意思決定について学ぶ。
予習:投資判断と現在価値(正味現在価値法・回収期間法、割引回収期間法)についてついて整理してくる
復習:投資判断と現在価値(正味現在価値法・回収期間法、割引回収期間法)について復習する
財務分析の進め方(8)(講義とワークショップ)
・投資判断と現在価値会計
演習問題を通じて、投資判断と現在価値(正味現在価値法・回収期間法、割引回収期間法)について学ぶと共に、経営効率について(経営効率と利益計画・資金計画の関係)についても学ぶ。
予習:変動損益計算書、資産負債の増減と資金の増減の関係について整理してくる
復習:変動損益計算書、資産負債の増減と資金の増減の関係について復習する
財務分析の進め方(9)(講義とワークショップ)
・利益計画・資金計画の作成手法
演習問題を通じて、利益計画・資金計画の作成手法について(変動損益計算書、資産負債の増減と資金の増減)について学ぶ。
有
個別フィードバック
予習:今までの講義で学んだ財分析に関する事項を再度確認する
復習:財務分析と経営診断の位置づけを理解する
財務分析の進め方(10)(講義とワークショップ)
・演習課題の財務分析と課題の抽出①
1回目から9回目の分析手法を使い財務分析を行い、グループに分かれ課題を抽出する。
予習:各自で演習課題(2)の財務分析を行う
復習:演習課題(2)で行った財務分析の再検討を行う
財務分析の進め方(11)(講義とワークショップ)
・演習課題の財務分析と課題の抽出②
第10回の続き。
グループに分かれケース企業の課題を抽出したものを発表し、講師講評を通じて理解を深める。
予習:各自で演習課題(2)の課題抽出を行う
復習:演習課題(2)で抽出した課題の再検討を行う
財務分析の進め方(12)(講義とワークショップ)
第11回目の続き
グループに分かれケース企業の課題を抽出したものを発表し、講師講評を通じて理解を深める。
・財務分析と経営診断まとめ
第1回から11回までの講義の振り返り
基本的事項については講義形式を中心としますが、演習問題を通じて理解を知識の定着を図ります。また、事例演習を2回行います。事例演習はグループごとに検討し発表します。
・住宅設備販売会社Yのケース
・菓子製造業Mのケース
講義は担当教員が作成したオリジナルテキストを使用する。(なお、資料によっては必要に応じOffice365に事前・事後アップする。)
桜井久勝著『財務会計講義(第23版)』中央経済社 ISBN:978-4502429019
課題レポートの内容 課題レポートを2回出します。テーマ・提出方法については概ね三週間前には提示します。
50 %
講義への参画度 講義の後半に実施するグループ討議への積極的な参画と取りまとめ、積極的な質問や意見の表明、講義の中での発表内容などを総合的に評価します。
50 %
財務分析は数値の正否ではなく、企業の特徴を捉えて分析することが大切です。講義では事例をもとにディスカッションの場を設けますので、積極的に発言してください。
シラバスの講義内容は、一部変更する場合がある。
変更の場合は、各教員の講義初日に改めて説明を行う。