IEのみならず他の実践的な分析手法も含めて、その内容と活用場面を理解することによって、製造業企業における生産戦略の立案と確立・浸透とリンクする現場改善のあり方を修得する。
中小の製造業企業にあっては、QCDをいかにバランスよく実践・実現し、顧客ニーズに応えつつ自社を成長させていくかが、常に求められる経営課題と言える。本科目では、その解決すべき課題を抽出してQCDの向上を促す改善方策を見いだし、これを論理的に提案できる能力・知見獲得を目的とする。
経営には物理学や数学のように唯一無二の「解」があるわけではない。この授業の履修を通じて、相対する企業の経営者はむろん現場の社員の方々が理解し納得して、提案した内容を実践してもらえるよう自らの考え方をまとめ上げる力を身に付けて頂きたい。具体的には、
・製造業の特徴と企業を動かす基本的な仕組みを理解。
・製造現場を中心に、現状把握と分析のスキルの修得。
・QCDコントロールのための生産管理体系を理解し、その精度向上を図る。
・改善案の実現度を高める提案力の修得。
・生産マネジメントの体系を理解し、IE手法による現状分析の能力の修得。
・生産戦略策定のフレームワークを理解し、生産形態ごとの管理・改善ポイントの修得。
・中小企業・小規模事業者に対して生産マネジメントに関する具体的な助言ができることを目標とする。
・工作機械の種類とその用途について基礎的な知識の習得。
製造業に強いコンサルタントとして、実践的な改善提案のできるスキル獲得を目指したい院生
予習:前もってシラバスに目を通しておいてください。
復習:製造業企業/非製造業企業が保持する、同様な機能/異なる機能とは何かを自分なりに改めて確認、理解しておいてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(1)(講義とディスカッション)
・製造業とは(ものづくり企業とこれを動かす仕組み)
製造業企業の、生産形態(受注・見込み生産 とデカップリングポイント )、生産方式(セル/ライン/生産とラインバラス)や工場レイアウト(固定/機能/製品別) など基本
的な特徴、仕組みについて学ぶ。
予習:工程分析、稼働分析の手法についての確認と理解を深めておいてください。
復習:工程分析、稼働分析から得られるデータ整理から考えられる改善内容を自分なりにまとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(2)(講義とディスカッション)
・現場改善のための分析手法(IE:工程分析、稼働分析(その1)
製造現場での現状把握・分析手法としてのIEの視点から工程分析及び稼働分析についての学びを深める。演習方法としては、ケースを活用して実施。
予習:工程分析、稼働分析の手法についての確認と更なる理解を深めておいてください。
復習:工程分析、稼働分析から得られるデータ整理から考えられる改善内容を自分なりにとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(3)(講義とディスカッション)
・現場改善のための分析手法(IE:工程分析、稼働分析(その2)
工程分析及び稼働分析について演習を通じて、その手法内容について学ぶ。演習方法としては、精密金属加工業の製造現場VTRを使用する。
予習:動作分析、時間研究の手法についての確認と理解を深めておいてください。
復習:動作分析、時間研究から得られるデータ整理から考えられる改善内容を自分なりにまとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(4)(講義とワークショップ)
・現場改善のための分析手法(IE:動作分析、時間研究(その1)
製造現場での現状把握・分析手法としてのIE視点から、動作分析及び時間研究について学ぶ。演習方法としては、ケースを活用して実施。
予習:動作分析、時間研究の手法についての確認と更なる理解を深めておいてください。
復習:動作分析、時間研究から得られるデータ整理から考えられる改善内容を自分なりにとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(5)(講義とディスカッション)
・現場改善のための分析手法(IE:動作分析、時間研究(その2)
動作分析及び時間研究について演習を通じて、その手法内容について学ぶ。演習方法としては、ケースを活用して実施。
予習:レイアウト分析によるアウトプットイメージと理解を進めておいてください。
復習:レイアウトの改善がもたらす効果を自分なりに抽出、まとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(6)(講義とワークショップ)
・現場改善のための分析手法(その他の実践的手法:レイアウト分析)
仕掛かり、製品や作業者の効率性・安全性などを加味した工場内レイアウト、作業場のあり方について考察する。演習方法としては、中小製造業における分析ケースを活用し、それぞれの手法の活用について理解する。
予習:業務の可視化による効果などについての理解を高めておいてください。
復習:現場に潜む問題点を明らかにするためのツールとしてのフローチャートの重要性・必要性認識を深めてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(7)(講義とディスカッション)
・現場改善のための分析手法(その他の実践的手法:業務プロセス分析(その1)
社内で日常行われている業務内容を「見える化」することによって、3ム(ムダ・ムリ・ムラ)の発見や、社内統制のあり方について、フローチャート化の有効性と併せながら学ぶ。
予習:フローチャートの書き方について、その作成ルールや記号の意味等を理解しておいてください。
復習:改善前/改善後(Before/After)の差異と改善がもたらす効果について、具体的に示せるよう自分なりの工夫を考えてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(8)(講義とワークショップ)
・現場改善のための分析手法(その他の実践的手法:業務プロセス分析(その2)
業務プロセス分析手法としてのフローチャートの作成と可視化による問題点の発見、改善点の提示について学ぶ。
予習:5S、QC活動、提案制度など社員参加によって成立する改善活動についての理解を深めてください。
復習:活動継続の重要性や社員の意欲向上、また活動によってもたらされる効果などについて自分なりにまとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(9)(講義とワークショップ)
・現場改善のための分析手法(その他の実践的手法:5S、QC活動、提案制度、従業員アンケート調査分析等からのアプローチ)
社員の意識改革とその維持、モチベーションの確保などにリンクしつつQCD向上に寄与する、全社的参加かつ継続性ある社内活動のあり方、また社員の意識や考え方を把握、改善に生かすためのアンケート等の手法についても学ぶ。
予習:データ分析から説得力ある改善案に導く流れの重要性を再確認しておいてください。
復習:現場改善、経営改善に繋がるデータにはどのようなものがあるか、またそのデータの精度を高め、記録としてどう保管・活用していくかなど、自分なりに検討してみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(10)(講義とディスカッション)
・現場改善のための分析手法(その他の実践的手法:在庫分析、クレーム分析、関係者ヒアリング調査分析等からのアプローチ)
客観的なデータを収集・整理・分析して改善すべき点を見いだす手法例として在庫分析やクレーム分析などからアプローチする。また企業診断の際に重要となる経営者をはじめとした関係者へのヒアリング調査についても考察する。
予習:生産管理に関わって、求められる基準やルールについての理解を深めておいてください。
復習:製造業企業のQCDコントロール(生産管理)に資する基準・ルールのレベルや内容などについて、自分なりにまとめてみてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(11)(講義とディスカッション)
・生産管理(生産マネジメントの深耕:作業標準、手順書作成、QC工程表、設備保全等からのアプローチ)
QCDのコントロールとその向上に肝要となる社内の基準・ルールの確立や運用などについて、そのあり方・重要性を学ぶ。
予習:生産管理に関わって、生産情報の共有化に利用される伝達方法などの理解を深めておいてください。
復習:現場に負荷をかけないようにしながら、情報の共有化や伝達のあり方、導入の優先順位など自分なりのアプローチの仕方をイメージしておいてください。
生産マネジメント体系・現状分析の進め方(12)(講義とディスカッション)
・生産管理(生産マネジメントの深耕:日程計画、納期管理、生産管理板・作業指示書・作業記録など社内生産情報共有化等からのアプローチ)
製造業企業の社内で共有化されるべき生産情報を、どのように伝え確認し、要求された精度で生産して顧客に納品するか、その一連の流れに必要となる情報共有・伝達の仕組み、手法について学ぶ。
また製品別原価計算例などを紹介しながら、販売方針の見直しなどへの論理構築を考察する。
予習:生産形態、生産方式や工場レイアウトといった生産戦略策定について認識を高めておいてください。
復習:生産形態、生産方式や工場レイアウトと生産戦略の関係性について整理しておいてください。
生産戦略の考え方(1)(講義とディスカッション)
・生産戦略策定のための基本
経営戦略と生産戦略の一貫性を確認するとともに、生産形態、生産方式や工場レイアウトといった生産戦略策定のための基本フレームワークの使い方について学ぶ。
演習方法としては、ケースを活用し、チームに分かれて実施。
予習:診断においてどういったアウトプットが相手先企業の理解を促し納得させることができるか、そのイメージを院生同士で話し合ってみてください。
復習:診断においては班・グループとしての最大限のパフォーマンスを発揮して、ストーリーを構築し、いかに精度の高いアウトプット内容を提示できるかがカギとなります。この授業を通じた学びを生かしてチャレンジしてもらいたいと思います。
生産戦略の考え方(2)(講義とディスカッション)
・生産形態ごとの管理・改善ポイントについて①
生産形態の管理についてのポイントを学び、その進め方を考察する。
演習方法としては、ケースを活用し、チームに分かれて実施。
有
全体へのフィードバック
復習:前回までの授業を通じて生産形態ごとの管理・改善ポイントについて整理すること。
生産戦略の考え方(3)(講義とワークショップ))
・生産形態ごとの管理・改善ポイントについて②
金属加工業の事例を通して、生産形態毎の管理・改善の問題解決策について、チームで
生産形態を分析し、品質管理、生産戦略の視点で診断する。
有
全体へのフィードバック
復習:前回までの授業を通じて生産形態ごとの管理・改善ポイントについて整理すること。
生産戦略の考え方(4)(講義とワークショップ))
・生産形態ごとの管理・改善ポイントについて③
金属加工業の事例を通して、生産形態毎の管理・改善の問題解決策について、チームで発表し講師講評を通じて理解を深める。
有
全体へのフィードバック
基本的には対面の講義形式として進めつつ、内容により演習をグループ単位で実施し、作業した内容や検討結果を授業内で発表してもらう場合もある。
・精密金属加工業の製造現場VTRを使用
・金属部品メーカーY社のケース
講義は担当教員が作成したオリジナルテキストを使用する。(なお、資料によっては必要に応じOffice365に事前・事後アップする。)
藤本隆宏著『生産マネジメントⅠ・Ⅱ』日本経済新聞社 ISBN:9784532132057,ISBN:9784532132064
筒井 彰彦『7つの要素で整理する業務プロセス』翔泳社 ISBN:9784798113029
授業参画度 授業中の積極的な発言とその内容、演習の際の的確な指摘や考え方の整理・発想など
50 %
授業の中で行うグループワークや討議への参加積極性、発表がある場合のその内容などの状況。
50 %
私がこれまでに指導した実習の内容事例なども支障のない範囲で紹介しながら、受講生皆さんが「腑に落ちる」授業内容に努めたいと思います。また、製造業中小企業やそこで働く技術者・職人たちの姿から、ものづくりのおもしろさや奥深さなどについても伝えられたらと思います。
講義内容については、受講生の理解などに合わせ変更する場合があります。
シラバスの講義内容は、一部変更する場合がある。
変更の場合は、各教員の講義初日に改めて説明を行う。