本稿では、技術経営に関連するTopicsを都度取り上げ、本研究科教員が解説をします。
問題を解決するためには、問題を定義しあるべき姿を描きながら、問題の原因を把握し解決策を計画する、さらに実行、評価、そしてさらなる展開を行う、といった一連のステップや手法が必要です。注意する必要があるのは問題のタイプによって、問題定義から原因把握や解決策を考えるアプローチが異なることです。
問題はあるべき姿と現状とのギャップとして生じると言えます。そのギャップを解消することが問題解決となります。
待ち合わせ時間(あるべき姿)に遅れそう(現状)なのでタクシーに乗る(解決策)といったレベルの問題から、製品のスペック(あるべき姿)に対して、製品の不良によるクレームが多い(現状)、その問題解決のために原因、分析、解決策を考える必要があるといったものまで、様々なレベルのものが考えられます。
トヨタの問題解決では、問題のタイプは発生型問題、設定型問題、将来型問題に区分しているようです。発生型問題は原点(あるべき姿)よりも下回っている現状を問題解決するものです。設定型問題は原点に対して新たなあるべき姿を設定し、そのギャップを解消するため問題解決し、将来型問題は将来の環境変化を予想してあるべき姿を設定し、同様に問題解決します。
問題解決のステップは一般的には、1問題の洗い出し、2問題の定義と絞り込み、3あるべき姿・目標(再)設定、4要因分析、5解決策・計画立案、6実行、7評価、8定着と横展開の8ステップで進めます。
問題解決が進まない原因に、
これが大変多いです。また、
これらは問題解決のステップを理解することで解決します。
特に問題解決を難しくしているのは、
このような場合には、イシュー分析といった手法を使って複雑な問題を一度整理して、イシュー(=課題)を定義し、検討を進める方法をとります。通常は問題に対し要因分析として検討しますが、この場合は問題を総合的にとらえ解くべき問題をイシューとして定義することから始めます。
因果分析は5なぜ的に上から下へ原因を分解していく方式で良いのですが、相互に連関する複合問題を総合的に解決する場合は課題(イシュー)を設定、検証し解決していきます。このアプローチの使い分けが大変重要です。