私は、10年前にみずほ総合研究所を退職「経営政策研究所」を立ち上げ、現在は日本工業大学大学院技術経営研究科で「起業」に関する講義と指導を行っています。また、香川県丸亀市で介護施設を経営する傍ら「丸亀創生塾新明倫館」、福島県矢祭町で「矢祭未来創生アカデミー」を主宰し起業家の発掘・育成を行っています。
私は、10年前にみずほ総合研究所を退職「経営政策研究所」を立ち上げ、現在は日本工業大学大学院技術経営研究科で「起業」に関する講義と指導を行っています。また、香川県丸亀市で介護施設を経営する傍ら「丸亀創生塾新明倫館」、福島県矢祭町で「矢祭未来創生アカデミー」を主宰し起業家の発掘・育成を行っています。
起業というと、「自分には無理だ」「失敗したらどうしよう」「将来が不安」「会社は辞めたいが怖くてやめられない」などと思って、独立・起業に躊躇している人が多いと思います。ところが今、日本では、ビルゲイツ、ザッカーバーグ、ホリエモンなど若くして大富豪になった起業家の影響もあり、若い起業家が増えています。起業セミナーも盛況です。起業はそんなにむつかしいことではありません。強みを活かし、身の丈に合った起業をするのは、これからの長い人生を豊かにする、ライフシフトを行う大きなきっかけとなります。
現在の世界の時価総額トップ10は、1位アップル、2位グーグル、3位マイクロソフト、4位フェイスブック、5位アマゾン、6位ハークシャーハザウェイ(投資会社)、7位アリババ、8位テンセントホールディングス(ゲームソフト会社)、9位ジョンソンアンドジョンソン10位エクソンモービルです。10社中7社がIT、インターネット関連企業です。この企業の経営者ほとんどが創業者です。彼らは既存事業を拡大したのではなく、今までにない全く新しいコンセプトの新ビジネスを創業したクリエーターです。
ちなみに、25年前のトップ10は、1位エクソンモービル、2位ウォルマート、3位GE、4位NTT、5位アルトリアグループ(世界一の食品タバコグループ)、5位AT&T、6位コカコーラ、7位バリバ銀行、8位三菱銀行、9位メルク、10位日本興業銀行、(参考11位トヨタ、12位富士銀行、13位第一勧業銀行、14位三和銀行)です。わずか25年間で10社中トップテンに残っているのはエクソンモービルのみです。日本企業は25年前にはNTT、都市銀行、トヨタなどが上位にいましたが現在は、トヨタの45位が最高です。
このことから言えるのは、現在のように変化が激しい時代は、企業の将来は不確実性が非常に高いということです。現時、時価総額の高い企業も10年後にはどうなっているかわかりません。現在日本で就職人気ランキングの高い企業も必ずしも将来、存続しているかどうかわかりません。まして、AIの急激な進歩により、多くの仕事がなくなるといわれている近未来、いつ失業するかとびくびくしながら生きてゆくよりも、自らの人生を自ら切り開いてゆくことの重要性が高まっています。
実は、日本でも1960年では、労働者の約60%が自営業者か家族従業者でした。サラリーマンではなく、街の米屋、うどん屋・蕎麦屋、八百屋、呉服屋、食堂レストラン等々の個人の商店や事務所で働く人が多かったのです。言い換えれば、独立事業者や起業家が大多数を占めていたのです。その後高度成長期になり一気にサラリーマンが増加しました。これからわかることは、独立、起業というのは「向き・不向き」の問題ではなく、誰でもできる「スキル・技術」そして「姿勢」の問題に過ぎないということです。すなわち、独立・起業というのは誰でも実現可能だということです。
今までにない不確実性の高い時代は、企業で一生を過ごすだけが人生ではありません。一度しかない人生を自分らしく生き抜くためには、独立・起業とう選択肢も新しい時代の働き方です。独立・起業で自らの人生を切り開きという志の高い若者が少しでも増えることを期待しています。
次号(No.21)は 小田 恭市 教授 が執筆予定です。