最近神保町の周辺を歩いていて、外国人を見ることが多くなりました。先日も神保町の古地図屋で、ショーウインドウごしに江戸の古地図の写真を撮っている白人の男性に出会いました。
このような近年のインバウンドの外国人旅行者の増加は、以前には考えられなかった状況です。そもそも私などは、日本などに興味を持つ外国人は、東洋趣味の相当変わった人間だと思っていましたが、世界中のごく普通の数多くの外国人が、日本に関心を示すようになってきたようです。
先日テレビ番組を見ていたところ、インドの超難関校であるインド工科大学の優秀な学生が、日本のIT企業に就職するようになってきた事実を伝えていました。インド工科大学は、米国のマサチューセッツ工科大学より入学が難しいと言われ、またその卒業生の中には欧米の代表的企業のCEOを務める人などがいることから、世界的にも名門大学として知られています。一般的にかなりプライドの高い、それも超優秀なインド人が欧米の有名企業ではなく、海外では無名の日本企業を選ぶようになってきているという事実は、まさに驚きでした。
ご存じの通り、近年、欧米各国では、外国人に対し排他的な風潮が強まってきています。例えば米国のシリコンバレーは、世界中の優秀で熱意に集まる若者が集まり、過去数十年にわたりつぎつぎと確信的な製品、技術、事業を生みだしてきました。シリコンバレーの強みはその多様性にあると言われています。しかし、現在のトランプ政権下では、優秀な外国人でもビザの入手が難しくなりつつあり、またそれ以前に、そのような米国という国を優秀な海外の者が避けるようになったというようなことも、聞かれるようになりました。
最後にもう一つ。先日ある会社の社長とお会いする機会がありました。その会社は日本の大学の外国人留学生を積極的に採用し、既にナイジェリア、ウズベキスタン、中国等の留学生数十人が茨城県の本社工場で勤務しているそうです。また近い内にミャンマーのロヒンギャ人(イスラム系少数民族で本国で迫害を受けている)を採用するそうです。その社長いわく、それら日本への外国人留学生は、日本人に比べても大変優秀で、またかれらのやる気は極めて強いとのことでした。
以上4つ、一見とりとめのないようなことを書きましたが、この4つの話から言えることが、今後日本に優秀な外国人を世界各国から集め、彼らの能力と集団としての多様性を活用して、日本の産業を再生するというシナリオが描けるのではないかということです。日本は諸外国に比べ、はるかに安全で、欧米に比べても物価は安く、交通も便利で、外国人には比較的寛容です。また、これほど多様な食事が食べられる国もありません。今後、日本は内なるグローバル化を進め、「イノベーション・アイランド」を目指してはどうかと思っています。
このアイデア、どうでしょうか?
次号(No.37)は 萬代 憲司教授が執筆予定です。