NIT MOT Letter #45

「研究会」という場での新たな学びの試み 2030年の社会・テクノロジー研究会

  • 三宅 将之
  • 2020年02月05日

一昨年12月に発足した「2030年の社会・テクノロジー研究会」は、これまで日本工業大学神田キャンパスにて、ほぼ毎月開催し、先日は12回目の研究会を実施しました。

研究会の狙いは、「長期視点で社会課題に向き合い、テクノロジーの動向の研究と共に、中堅・中小企業の立場に立ち、その活用・実践により社会課題の解決への貢献を志向し、当専門職大学院(MOT)在校生や修了生に限らずオープンな活動を目指す」ことにあります。

報告者が専門とする領域をテーマにした長期視点での話の後、様々な経験を有し、ビジネスの経営幹部である参加者との意見交換を実施しています。一方向の話ではなく、「対話」を重視しており、前者に要する時間と後者に要する時間は、毎回、共に45分~1時間程度を充てています。

各回とも参加者から積極的な質疑と共に、①中小企業の視点でも理解を深め、企業現場での実務として、如何にテクノロジーを活用し具体的にどのように取り組み貢献すべきか?②新しいテクノロジー活用に相応しい会社組織の形態や運営、役職員の意識改革、そして③環境に配慮した住宅や街づくりなど社会全体の課題解決に向けた取り組みについて、また、社員(個人)と会社、そして社会との関係性の変化などに関して活発な議論が行われています。

人工知能(AI)を使う自動運転や、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTのサービスは、製品の品質が競争力だった既存のビジネス・モデルを崩しつつあります。一企業グループに閉じた活動ではなく、業界全体や業界の壁を越えた、いわゆる “エコシステム” による将来への研究開発や協業の重要性は一段と増しています。

2030年の社会・テクノロジーについて、「研究会」という場を通じて、話を聞く側だけでなく、報告を準備し話をする側も、様々な業界で活躍する参加者との対話を通じて多くの気づきを得る良い機会となっています。デジタル変革の時代には、多角的な観点で意見交換ができる「研究会」という場での新たな学びの試みが有効ではないかと考えています。

開催実績

【第1回研究会】2018年12月25日(金)
テーマ:  「サステイナブル経営とSDGs」 
報告者: 野村 宗史(キューブシステム)

【第2回研究会】2019年1月31日(木)
テーマ :  「2025年の崖の克服とデジタルトランスフォーメーション」
報告者: 志村 健二(ビジネスエンジニアリング) 西川 義信(コニカミノルタ)

【第3回研究会】2019年3月11日(月)
テーマ:  「ティール組織」(新しいテクノロジーに相応しい組織・働き方)
報告者: 松田 光憲(オズビジョン)

【第4回研究会】2019年4月9日(火)
 テーマ :  「AI 倫理の現状と論点」
 報告者:  Eric Fandrich(野村総合研究所)

【第5回研究会】2019年5月15日(水)
テーマ:   「2030年、M&A巧者のみが生き残る」
報告者: 森 時彦(チェンジ・マネジメント・コンサルティング)

【第6回研究会】2019年6月19日(水)
テーマ:  「ロイターの軌跡、そしてもうひとつの奇跡」
報告者: 塚本 裕昭(厚生労働省)

【第7回研究会】2019年7月26日(金)
テーマ:  「先端産業の開発技術者がSDG’sから考えるべきこと」
報告者: 浅見 哲也(Imaging Device Technologies)

【第8回研究会】2019年9月27日(金)
テーマ:  「SDGsとミッション駆動型企業 - Tesla​」
報告者: 薄葉 真哉 (PWC)

【第9回研究会】2019年10月29日(火)
テーマ:  「持続可能な暮らしとは?これからの水環境を考える」
報告者: 樋口 佳樹 (日本工業大学 建築学科)

【第10回研究会】2019年11月27日(水)
テーマ:  「ブロックチェーン技術について考える」
報告者: 斉藤 正晃(キューブシステム)

【第11回研究会】2019年12月19日(木)
テーマ :  「持続可能な開発目標(SDGs)に取り組むための知識と視点」
報告者: 中村 明(日本工業大学 技術経営研究科)

【第12回研究会】2020年1月27日(月)
テーマ :  「デジタル変革時代における価値創造 ~テクノロジーと人・企業・社会~」
報告者: 三宅 将之(日本工業大学 技術経営研究科)

【第13回研究会(予定)】2020年2月27日(木)18:00~ @日本工業大学神田キャンパス
テーマ :  「2030年の社会にむけての教育」
報告者: 八木田 浩史(日本工業大学 環境教育研究センター)

本研究会をはじめとしてMOTでは、2030年を展望した社会課題を認識し、その解決に向けた姿勢を重視した活動を関係者の共感を得て推進し、新規ビジネス創造に邁進するビジネスリーダーを世の中に輩出することを目標に取り組んでまいります。

三宅将之

三宅将之(専任教授)

  • 専任教授(実務家教員) 副研究科長・学務長
  • 日本興業銀行、野村総合研究所主席コンサルタント、ガートナー Senior Executive Partnerなどを経て、2015年4月より本大学院専任教授
  • 日本価値創造ERM学会会長(現)
  • 日本証券アナリスト協会検定会員(現)

次号(No.46)は 清水 弘教授 が執筆予定です。

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