Practical Exercises of Program & Project Management for Mission Achievement
企業の変革や新しい価値創造、多様な社会課題の解決など、複雑かつ高度な目的・ミッションの達成には、有機的に関連する複数のプロジェクトを統合的に結合・管理するプログラム&プロジェクトマネジメントが有効となる。特定の目的を達成するプロジェクトレベルの活動の質の確保に加え、その上位にあるプログラムの目標達成とそのマネジメントを向上させることは、企業理念に基づく、ミッション・ビジョン・戦略を実現する上で重要な経営活動であり、そのための実践的能力、応用力を培うことが重要となる。また、そのためには社会の変化や新しいトレンドへの感受性が高いことも肝要となる。本授業では、春学期のミッション達成型事業マネジメント概論で培った基礎知識を実践に使えるように新しい知識を学ぶための講義とグループワーク・発表・討議による演習のサンドイッチ型授業方式により、プログラムの構想、プログラム&プロジェクトマネジメントの実践化に向けた知識とスキルを習得する。グループワークでは、3~4名のグループ別に身近なテーマであり様々な企業活動やSDGsなどとの関連も高い”持続可能な街づくり”をテーマにプログラムを構想し、またその構想や実行のためのマネジメントのあり方ををクラスで議論する。そのプロセスを通じ、身近な問題にどのように取り組むのか、どのような技術や考え方が適用可能なのか、自社や自身がどのように貢献できるのか、SDGsなどにはどのように取り組めば良いのかなどの実践のための技術、応用力を習得する。
春学期のミッション達成型事業マネジメント概論で学んだプログラム&プロジェクトマネジメントのための知識体系の実践への反映、実践を想定したプログラム&プロジェクトマネジメントのための構想力、技術、方法を習得することを目的とする。経営者の立場、事業としてのプログラム&プロジェクトの立案・遂行などに中心的な役割を果たす人材のプログラム&プロジェクトマネジメントからの発想法や実践化に向けての能力の向上を目指す。同時に身近なテーマを取り上げ、事業の構想をグループワークを通じて実践することにより、従来のプロジェクトという枠組みに加え、プログラムという概念をマネジメントに取り入れる実践的意義や有効性の理解を深めるとともに、自社や自身の社会との関係、社会課題解決への貢献、SDGsやESG投資、インパクト評価などとの関係などについての理解も深める。
プログラムレベルでの事業の構想・立案に向けた発想法と具体的な活動、プログラム&プロジェクトマネジメントを実践化するための考え方、手法、プロセスを、演習と議論など通じて、習得することを目標とする。SDGs、ESG投資、インパクト評価など、国内外で昨今議論が活発化するテーマなども取り込み、新しい企業価値の創造、社会価値の形成、社会課題の解決にどのように取り組むのか、その実践化に向けた知識・スキルの習得と対応力の獲得を到達目標とする。
社内で企業変革、新しい価値創造事業などに関わり、経営戦略の事業への反映、事業の構想・立案、プログラムやプロジェクトの遂行を担う立場にある院生に加え、その他複雑かつ高度な問題の解決、国際展開など新しい発想での事業開拓、SDGs、ESG投資、インパクト評価などを含む社会的課題などの新しい取り組みに関心のある院生など
春学期の「ミッション達成型事業マネジメント概論」の講義内容の全体像を再確認し、理解があいまいな部分につき、講義資料に目を通し、確認する。また、自社や自身の強みや課題を整理しつつ、今後どのように変化していくことが必要なのか、自身の現時点での問題意識を整理した上で授業の望む。受講後、企業経営とプログラムの関係について復習するとともに、本授業で行うグループワークのテーマについて、どのような論点があるかを考えてみる。
イントロダクション/企業経営とプログラム/最近の国内外の動きと経営環境の変化
企業経営とプログラムとの関係を振り返るとともに、経営戦略をどのようにプログラムに反映していくのか、プログラムの計画の方法、プログラムマネジメントの方法、実践化のプロセスを確認する。その上で、グループワークのテーマとなる”持続可能な街づくり”に向けて、どのような視点が必要なのか、どのようにプログラムという枠組みを活用するのかについて、理解を深める。
有
その他
第1回の授業で、本科目での発表や課題について説明する。第5回・第6回で最初のグループ発表、第13回・第14回に最終のグループ発表を行う。個々のグループ発表の後、クラス討議を行い、その際担当教員からも発表に対する質問に加え、フィードバックとしてのコメントを行う。第15回修了後にA4で1~2枚程度の個人ごとの提出課題があり、その内容についても第1回の授業中に説明を行う。個人提出課題については個々にメールにてフィードバックを行う。
連続授業のため、第1回の記載事項に同じ
連続授業のため、第1回のところに、第1回・第2回の内容を記載
第1回・第2回の講義の中で説明する本授業でのグループワークの流れを確認し、取り上げるテーマに関連して、自身が気になるトピック、課題、視点などについて、考えた上で授業に臨む。受講後、授業の中でのグループの話し合いで決めた街について、”持続可能な街づくり”を考える上で必要な論点につき、自身の問題意識を整理しておく。
持続可能な社会を考えるための基本条件/グループワーク
授業では、持続可能な社会を考えるための基本条件、関連する国内外の動き、優良事例などを学ぶ。その上でグループワークにより、どのような街を取り上げるのかを決め、その街の基本条件、特徴などを整理した上で、グループで”持続可能な街づくり”に向けてのミッション、ビジョンを作成する。
連続授業のため、第3回の記載事項に同じ
連続授業のため、第3回のところに、第3回・第4回の内容を記載
グループ別発表の準備を行う。第5回・第6回の発表では、各グループが取り上げる街のあるべき姿を想定し、その実現のためのミッション、ビジョンを発表する。受講後、講義での現状分析のための指標の理解やデータの意味などを確認する。また、グループ発表に対する質疑の内容、コメントなどを整理し、今後のグループワークに反映できるように理解を確認する。授業中に地域経済分析システムRESASの紹介をするので、適宜RESASの内容についても復習し、理解を深める。
現状分析の方法と情報ソース/グループ別発表/グループワーク/
授業では、現状分析に必要な情報、指標、指標の見方などについて学ぶ。地域経済分析システムRESASを授業の中で紹介した後、グループワークの中で適宜RESASを使いながら分析方法などを理解する。その後のグループ別発表では、”持続可能な街づくり”をテーマとするプログラム作成の第一段階として、取り上げる街の基本条件や特徴、グループでの議論の結果として定めた対象とする街のミッション、ビジョンの内容について、プレゼンを行う。各グループの発表に対し、クラスで質疑と意見交換を行い、そこからの気づきやコメントを今後のプログラムの構想に反映していく。教員からは持続可能な街づくりを考える上で有益な優良事例の照会やプログラム立案の発想に必要な最近のトレンド、トピックなどについて講義する。
グループ発表資料を課題として提出
有
全体へのフィードバック
連続授業のため、第5回の記載事項と同じ
連続授業のため、第5回のところに、第5回・第6回の内容を記載
グループワークは、現状分析、課題分析を進めることになるため、各グループが取り上げる街を念頭に現状分析にどのような情報、視点が必要であるのか、についてインターネット上で情報収集もしながら、考えた上で授業に臨む。受講後、授業の中で教員から紹介された優良事例などからの気づきを確認するとともに、グループワークにて個人に分担された内容についての検討を行う。
SDGs・持続可能な街の優良事例/グループワーク
授業では、持続可能な街のプログラムづくりに参考になるような優良事例の紹介を行う。また、持続可能な社会の形成の観点から、SDGsについても解説を行う。その後、グループワークにより、各グループが対象とする街について、現状分析を進める。その作業を通じ、現状の課題の洗い出し、ステークホルダーの洗い出しやその関係性の分析、課題分析を進める。教員からは持続可能な街づくりを考える上で有益な優良事例の照会やプログラム立案の発想に必要な最近のトレンド、トピックなどについて講義する。
連続授業のため、第7回の記載事項に同じ
連続授業のため、第7回のところに、第7回・第8回の内容を記載
ゲストスピーカーのトピックに関連して第8回の授業の中で提示する内容について、予めネットなどで情報収集しつつ、自身の問題意識を持って講義に臨む。グループワークにて、自身の担当になっている内容について検討を進める。受講後、ゲストスピーカ―の講演内容からの気づき、学びを確認し、必要に応じ追加的情報収集なども行い、理解を深める。
SDGsに関連する最近の動向・事例/グループワーク
前半は、ゲストスピーカーの講義(SDGs、ESG投資などに取り組む開発コンサルタントを予定)、質疑応答、クラスディカッションを行う。後半は、ゲストスピーカーの講義内容の振り返りの後、グループワークにて、課題分析、戦略の検討を進める。
連続授業のため、第9回の記載事項に同じ
連続授業のため、第9回のところに、第9回・第10回の内容を記載
ゲストスピーカーのトピックに関連して第10回の授業の中で提示する内容について、予めネットなどで情報収集しつつ、自身の問題意識を持って講義に臨む。グループワークにて、自身の担当になっている内容について検討を進める。受講後、ゲストスピーカ―の講演内容からの気づき、学びを確認し、必要に応じ追加的情報収集なども行い、理解を深める。
持続可能な都市・事例/グループワーク
前半は、ゲストスピーカーによる講義(持続可能な都市、地域開発などに精通したリソースを予定)、質疑応答、クラスディスカッションを行う。後半は、ゲストスピーカーの講演の振り返りの後、グループワークにてプログラム作成に向け検討を進める。
連続授業のため、第11回の記載事項に同じ
連続授業のため、第9回のところに、第11回・第12回の内容を記載
グループワークの最終とりまとめに向け、個人が分担する内容に準備を行う。グループ討議の結果を踏まえ、プログラム実行計画書の内容の予備検討をしておく。受講後、自身のグループの発表内容への質疑、コメントなどを確認し、気づきを整理しておく。
グループワーク/グループ別発表
グループワークにより、プログラムの全体構想を発表できる形に取りまとめる。グループ別に持続可能な街づくりプログラムの内容を発表し、クラス討議を行う。
グループは発表の資料を課題として提出
有
全体へのフィードバック
連続授業のため、第13回の記載事項に同じ
連続授業のため、第13回のところに、第13回・第14回の内容を記載
グループ発表に対する質疑。コメントの内容を踏まえ、グループで作成したプログラムに自社あるいは自身がどのように関わるか、貢献できるか、自社あるいは自身の技術、強みなども踏まえながらプログラム提案書を作成し、個人課題として提出する。受講後、全体の振り返りを行う第15回の講義内容につき、復習し、理解を確認する。
ミッション達成型事業マネジメント実践化演習全体の振り返り
第14回でのグループ発表の内容を振りかえりながら、プログラムの構想・立案からプログラムの遂行段階のプログラムマネジメントの実践化に向けた考え方、手法、プロセスについて、全体を振り返る。担当教員より、グループ発表に対する全体のフィードバックも行う。国内外の動き、SDGs、PRI/ESG投資、インパクト評価などの事業の構想・評価に不可避な知識や考え方について理解する。
有
個別フィードバック
第15回修了後にA4 1~2枚程度の個人の課題を提出する。提出されたレポートの内容に対し、メールにて個々にフィードバックを行う。
パワーポイントによる授業を基本に質疑応答を交えながら進め、適宜演習(個人学習、個人学習+グループ討議と発表等)を入れ問題考察と理解を深める。
授業時配布のパワーポイント
プログラムマネジメントの関係図書として次のようなものがあるが、その他、本授業に関連する参考図書は授業中に適宜紹介する。
・「実践プログラムマネジメント」(吉田邦夫・山本秀男、日刊工業新聞社刊 ISBN978-4-526-07227-7)
・「よりよくわかる プロジェクトマネジメント」(日本プロジェクトマネジメント協会編、オーム社、ISBN978-4-274-224424-9)
・「P2Mプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」(日本プロジェクトマネジメント協会編、日本能率協会マネジメントセンター刊、ISBN978-4-8207-4887-8)
・「中小企業技術経営実践講座」(日本工業大学大学院技術経営学科監修、工学図書(株)刊、ISBN978-4-7692-0482-4)など
第13章 P2Mプログラムマネジメント
第14章 プロジェクトマネジメントの基礎
・「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド第7版+プロジェクトマネジメント標準」(PMI日本支部監訳、一般社団法人PMI日本支部発行、ISBN978-4-9906345-7-5)
参画姿勢、発表・成果の評価
60 %
グループ発表を2回行う。質疑応答など授業およびグループ活動への積極的な参画姿勢、グループ演習のまとめ資料の発表・成果の評価。ただし、大学のルールに従い、クラスの平均値を75点とする相対評価(達成度ではなく、クラスの中での相対順位)にて評価を行う。
個人提出課題の内容の評価
40 %
最後にグループワークの内容も踏まえ、個人課題としてレポートを提出する。ただし、大学のルールに従い、クラスの平均値を75点とする相対評価(達成度ではなく、クラスの中での相対順位)にて評価を行う。
全員が参加できる身近なテーマを選び、グループワークを行い、情報収集・分析、プログラムの構想、プログラムマネジメントの実践化に向けた応用力を身に着けることができる。取り上げるテーマに関連する知識・情報を学ぶための講義とグループワークの組み合わせにより、自分の考えを整理する部分、グループで考えを整理する部分など、実践に必要な能力の形成に役立つ。問題意識を持ちつつ、グループワークでの議論、全体での討議に積極的に参加することを期待する。身近なテーマをグループで議論し、プログラムを立案する過程を通じ、社会における個人、企業の役割などについて考える機会にもなる。
本科目は事業戦略を具体的に実行するプロセスを演習として習得するものであるので、春学期の「ミッション達成型事業マネジメント概論」を受講済みであることが望ましい。また、関連する秋学期の「中小企業プログラム立案ケーススタディ」は、基礎→応用→ケーススタディの一連のつながりのある科目であるため、シリーズでの受講が望ましい。
<受講方法について>
中村が担当する授業では、個人の多様性と個々の院生の多様な事情を尊重する立場をとっています。体調、育児、介護、家事、仕事などの様々な事情との両立が可能となるよう対面・オンラインのいずれの受講形式を選択してもそん色の無い授業デザイン・運営に心がけています。所定の出席回数が確保されれば、受講形式によって成績評価上も影響しません。受講形式を個人の事情に応じ、選択しながら、授業と個人の様々な事情との両立を実現してください。