企業価値経営論 PDF

Corporate Value Management

単位数

2単位

開講学期

秋学期

開講曜日・時限

金曜日・土曜日
※開講時限は授業カレンダーをご参照ください

位置づけ

会計・ファイナンス 応用段階

区分

基幹科目

科目紹介

科目の重要性・必要性

企業価値経営において重要なのは、「企業・事業・プロジェクトの価値をどのように高め、どのように評価し、どのように持続的に更新するか」を、戦略(定性)・財務(定量)・テクノロジー経営の三位一体で捉えることである。価値は、顧客・市場における競争力(戦略)だけでなく、収益構造・キャッシュ創出力・資本生産性(財務)として現れ、さらに近年はDX・AIエージェント・フィジカルAI等の先端技術が価値創造の前提条件を大きく変えている。また、企業価値を高める過程では、価値創造の前提を崩す要因(不確実性)を正しく捉え、企業価値の観点から「取るべきリスク/制御すべきリスク」を設計するリスクマネジメントが不可欠である。本講座では、企業価値を財務数値だけで捉えるのではなく、人材・技術・ブランドといった無形資産が、戦略・事業構造・企業価値評価にどのように貢献しているかについても重点的に扱う。本講座では、これらを分断せず、戦略→事業構造→財務→価値評価→リスク設計を一連の意思決定として扱い、企業価値経営の実践力を養う。

科目の目的

本講座では、企業価値経営を「分析・評価」だけでなく、企業・事業・プロジェクトの価値を実際に高める設計と実行手段として学ぶ。具体的には、
1.定性・戦略分析(ストラテジー&マーケティング)により、顧客・課題・価値提案を定め、価値創造の方向性を設計する
2.ビジネスモデル(リーンキャンバス/ビジネスモデル・キャンバス等)で価値創造を事業構造として具体化する
3.定量・財務分析により、収益構造・キャッシュフロー・資本生産性の観点から価値を評価し、改善策を設計する
4.テクノロジー経営(DX・AIエージェント・フィジカルAI等)を事業計画に織り込み、価値創造の実装可能性を高める
5.企業価値を高めるための戦略的リスクマネジメント(価値の毀損要因の識別・評価・対応)を、事業計画の中で扱う
ことを通じて、企業価値経営の枠組みと手法の習得を目指す。

到達目標

本講座の修了時に、受講生は以下を達成していることを目標とする。
•企業価値・事業価値の基本概念と、価値評価の前提(キャッシュフロー/資本生産性等)を説明できる
•戦略(顧客・課題・価値提案)を定義し、ビジネスモデルとして構造化できる
•収益構造・コスト構造・キャッシュフローを用いて事業の価値を定量的に整理できる
•DX・AIエージェント・フィジカルAI等の先端技術やテクノロジー経営を、価値創造の要素として事業計画に織り込める
•企業価値を高めるための戦略的リスクマネジメントを、事業計画と一体で設計できる
•最終課題として、自ら選ぶ企業・事業・プロジェクトについて「価値向上策+価値評価」を一貫した形で提示できる

受講してもらいたい院生

現在または将来、企業価値経営、事業開発、研究開発プロジェクトの事業化、経営企画、技術企画、DX/AI活用等に関わる院生を対象とする。特に、
•戦略・マーケティングの議論を「企業価値の言語」に接続したい院生
•財務・評価の議論を「事業構造の言語」に接続したい院生
•DX・AIエージェント・フィジカルAI等の先端技術やテクノロジー経営を事業計画に織り込む視点を学びたい院生
の受講を推奨する。会計・ファイナンスの事前知識は一切必須としない(必要な範囲は授業内で扱う)。

授業計画

1 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

授業内容

【本講義の全体像と狙い】
•「企業価値経営論」として本講座で扱う範囲(戦略・財務・テクノロジー・リスク)
•企業価値/事業価値/資本生産性の基本整理
•本講座の到達点(価値向上策+価値評価の一貫提示)
•最終課題(テーマ選定・アウトプット形式)の説明

2 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【企業価値経営の基本視点】
•企業価値経営における「価値」の捉え方(利益・キャッシュ・資本生産性)
•企業価値・事業価値・株主価値の整理
•企業価値を高めるための基本フレーム(何を変えると価値が上がるのか)
•最終課題のテーマ(企業/事業/プロジェクト)の一次決定

3 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【定性・戦略分析①(顧客・課題・価値提案)】
•顧客とは何か(市場・ユーザー・意思決定者の区別)
•顧客課題の整理(課題の強度・頻度・代替手段)
•価値提案の言語化(誰に・何を・どう提供するか)
•価値提案を支える無形資産(人材・技術・ブランド)の整理
•無形資産が顧客価値にどのように寄与しているかの検討
•最終課題テーマに対して、顧客・課題・価値提案の一次案を作る

4 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【定性・戦略分析②(価値提案の精緻化と差別化)】
•価値提案の比較・検討(代替手段との違い、差別化の核)
•価値提案が成立する条件(顧客行動・導入障壁・価格受容)
•価値向上策(戦略面)の方向性整理(何を変えると価値が上がるか)
•最終課題テーマのブラッシュアップ(顧客・課題・価値提案の確定)

5 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【戦略的リスクマネジメント・プロセス①】
•企業価値経営におけるリスクマネジメントの位置づけ(価値を高めるための設計)
•リスクの識別(価値提案・ビジネスモデル・テクノロジー前提の崩れ方)
•リスクの評価(企業価値への影響/発生条件/検知タイミング)
•リスク対応の基本類型(回避・低減・移転・保有)を「価値向上策」と接続
•受講生テーマに対して、主要リスクを暫定設定

6 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【戦略的リスクマネジメント・プロセス②(事業計画への埋め込み)】
•事業計画を阻害する要因の整理(価値提案・事業構造・テクノロジー実装)
•リスク対応を「事業構造の変更」「実装順序の変更」「投資配分の変更」等に落とす
•技術(AI/データ/フィジカルAI)を織り込む際の典型リスク
•データ取得/現場実装/安全・規制/運用・保守/責任分界
•受講生テーマに対して、リスクを「対策とセット」で事業計画に練り込む
•価値を高めるために取るリスク/制御するリスクの線引き

7 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【ビジネスモデルによる構造化①(上段・中段)】
•Lean Canvas(問題・顧客・価値提案・チャネル)で仮説を整理
•ビジネスモデル・キャンバス上段・中段(顧客・チャネル・顧客関係)の整理
•価値が顧客に届く仕組みと、価値提案の一貫性確認
•テクノロジー要素(AI/データ/フィジカルAI)の位置づけ(どこで価値に効くか)

8 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【ビジネスモデルによる構造化②(左側・下段)】
•主要リソース・主要活動・パートナーの整理(実装可能性の確認)
•収益構造(誰が何に対して支払うか)/コスト構造(固定費・変動費)の整理
•テクノロジー実装コスト(データ・現場・保守)を含めた構造の確認
•「価値向上策(戦略)」が「収益構造」にどう反映されるかを整理

9 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【企業分析手法・事業計画作成(構造設計)】
•事業計画の章立て(価値提案→事業構造→数値→リスク)
•価値創造経営・技術価値・ブランド価値の位置づけ(企業価値経営の文脈で) 
•受講生テーマごとの事業計画アウトライン作成
•グループ内レビュー(論理の一貫性チェック)

10 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【グループ演習(事業計画作成演習)】 
•課題レポート/最終発表の要求事項の確認
•売上・コスト・キャッシュフローの基本設計(前提の置き方)
•価値向上策(戦略)が数値にどう反映されるかを明示する
•テクノロジー投資(AI/データ/フィジカルAI)を事業計画に織り込む(投資→効果の筋)
•チーム演習と全体フィードバック

11 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【価値評価①(企業価値・事業価値の整理)】
•企業価値と事業価値の違い
•キャッシュフローと価値評価の接続
•価値評価の前提条件(成長・投資・回収・継続性)
•受講生テーマの事業計画を「価値評価の目線」で読み直す(改善点抽出)

12 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【価値評価②(主にDCF】
•DCFの基本構造(FCF→割引→価値)
•EVAの考え方(資本生産性の管理)
•M&Aにおける価値評価と買収価格の考え方
•DCFにおける無形資産の扱い
•無形資産を前提とした成長・競争力の評価
•無形資産とM&Aにおける企業価値評価
•受講生テーマの価値評価(簡易DCF視点)の作成とレビュー

13 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【グループ演習】事業計画の発表① 
•戦略(顧客・課題・価値提案)
•ビジネスモデル(構造)
•テクノロジー経営(AI/データ/フィジカルAIの織り込み)
•戦略的リスクマネジメント(主要リスクと対策)
について発表・質疑・審査演習

課題有無

14 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【グループ演習】事業計画の発表② 
•事業計画(数値設計)
•企業価値・事業価値評価(DCF/EVA視点)
•リスク設計が価値評価に与える影響
について発表・質疑・審査演習

課題有無

15 回

予習・復習時間

2時間

予習・復習

(予習)事前に配布されるクラスノートを予習すること。

(復習)授業の内容をしっかりと復習すること。

授業内容

【講義総括・ディスカッション】 
•戦略・財務・テクノロジー経営・リスクの統合整理
•価値向上策が価値評価にどう反映されたか(総括)
•企業価値経営としての改善点(次の一手)の整理
•受講生の最終アウトプットのレビューと全体フィードバック

授業方法

講義とチーム演習/ディスカッションで進める。演習・ディスカッションを通じて相互啓発・理解を重視する 
 

テキスト

•伊藤邦雄『企業価値経営』(日本経済新聞出版)
•各回ごとにパワーポイント形式のテキストを配布 

参考図書

適宜紹介

成績評価

評価の視点
評価
ウェイト
備考

課題(レポート/発表)による理解度確認・適用力

60 %

 

授業(チーム演習・ディスカッション)への参画姿勢

40 %

 

合計
100%
期末試験(ペーパー試験)

(オンライン受験 不可

受講生へ授業科目のアピールポイント、必要な基礎となる科目の履修や知識・スキル

本講座は、企業価値経営を「理解する」だけでなく、自ら高めていくための考え方と実践方法を身につけることを目的としています。戦略、財務、テクノロジー経営という三つの視点を行き来しながら、企業・事業・プロジェクトの価値をどのように設計し、評価し、改善していくのかを、実際の事業計画と価値評価の作成を通じて学びます。本講座では、特定の正解や唯一のモデルを教えるのではなく、自ら考え、仮説を立て、検証し、説明する力を重視します。そのため、これまで会計やファイナンスに十分な経験がない受講生であっても、戦略・財務・テクノロジーへの関心があれば、段階的に理解を深められる構成としています。自らの企業、関心のある事業、あるいは将来取り組みたいプロジェクトを題材に、「どの価値を高めるのか」「なぜその価値が重要なのか」「それがどのように数値として表れるのか」を一貫して考え抜く経験は、MOT修了後の実務において大きな財産になります。企業価値経営を知識として学ぶだけでなく、実際に使える力として身につけたい院生の積極的な受講を期待します。

CONTENTS

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