昨年度(2020年度)の授業は、ほとんどがオンラインで行われました。オンライン授業という初めての事態に、本専門職大学院の教職員も受講する院生のみなさんも、当初は大いに戸惑ったのですが、オンライン授業を実施することが決まるとすぐに、教職員や院生が参加する説明会が開催され、大きなトラブルもなくオンライン授業がスタートしました。
昨年度(2020年度)の授業は、ほとんどがオンラインで行われました。オンライン授業という初めての事態に、本専門職大学院の教職員も受講する院生のみなさんも、当初は大いに戸惑ったのですが、オンライン授業を実施することが決まるとすぐに、教職員や院生が参加する説明会が開催され、大きなトラブルもなくオンライン授業がスタートしました。
オンライン授業で使われるTeamsに精通する教員がいたことから、わかりやすいマニュアルが用意され、説明会以降も、随時、オンライン授業のノウハウが共有されていったため、教職員も院生も、思いのほかスムーズにオンライン授業に慣れていったようでした。
昨年(2020年)の最初の緊急事態宣言からしばらくの間は、多くの学校がオンライン授業の準備に苦労していました。その様子はマスコミでも報じられていましたし、他校の先生方からも聞いていたので、我々の専門職大学院が比較的スムーズにオンライン授業を導入できていることは意外でしたが、正直なところ少し自慢でもありました。
本専門職大学院の教職員や院生の多くが、日常的にパソコンやインターネットを使いこなしていたことがスムーズなオンライン授業の導入に至った要因のひとつだと思われますが、同時に、小さな組織ならではの意思決定の早さやまとまりの良さも影響しているように感じました。
たとえ個々のメンバーのITリテラシーが高くても、大きな組織では、説明会を開催するにも、マニュアルを配布するにも、組織内の調整や合意に時間がかかってしまうのが一般的です。本専門職大学院の場合は、専任の教職員が十数名、院生が40名程度という小さな所帯で、組織内の調整や合意に余計な時間を費やすことはありませんでした。
新型コロナウィルス感染の流行という突然の環境変化に対応するためにオンライン授業を導入するという初めての経験の中で、図らずも、小さな組織の小回りの良さを実感することになりました。
小さな組織は小回りが効くという事象は、学校だけに当てはまることではないでしょう。本専門職大学院が技術経営教育の対象としてきた中小企業においても同様だと思います。
コロナ禍にあって、中小企業のみならず、多くの大企業も業績の悪化に苦しんでいますが、逆に、コロナ禍をビジネスチャンスと捉えて業績を伸ばしている企業も存在します。たとえば個人経営の飲食店の中には、緊急事態宣言後にテイクアウト専門に業態を変えたところ、今までよりも売り上げが伸びたという事例もあります。環境変化への素早い対応が功を奏しているのです。
本専門職大学院では、今回のコロナ禍での経験を踏まえて、今後は、オンライン授業と対面授業を融合した複合授業を実施する予定です。この話が伝わって、毎日通学することができない遠方に住む方々から、複合授業なら入学したいという問い合わせが来ています。本専門職大学院にとっても、環境変化に対応して変化したことが入学志願者を増やす結果となったようです。
「強いものが生き残るのではない。変化できるものが生き残るのだ。」と言われますが、まさにその通りだと改めて思いました。
(本稿は、日工大通信 第228号に掲載された「専門職大学院だより」をMOT Letter向けに加筆修正したものです。)