技術士(電気・電子部門)
HirokazuIgarashi
専任教授(実務家教員)
Question
中小企業診断コースでは、春学期には論理的思考法と製造業マーケティング、秋学期にはコンサルティング演習を担当しています。
論理的思考法や製造業マーケティングは、診断実習に入る前に学んでおくべき基礎的な科目です。診断士一次試験で学んだことを復習するとともに、学んだ知識を実習で活用できる応用力も身に付けてもらいます。
コンサルティング演習は、グループによる診断実習を経験した後に、一連の過程を一人で完遂する経験を積み、診断士としてひとり立ちできる自信を身に付けてもらいます。
技術経営系3コースでは、秋学期にケーススタディを担当しています。この授業では、さまざまな問題をかかえる中小企業を取り上げて、「自分が経営者ならどうするか?」を考えていただきます。
私は建設会社の電気技術者でした。1995年の阪神大震災の直後には、復興要員として神戸に赴任しました。被災地復興の仕事を通して地元の企業経営者たちと交流する中で、自分がいかに「技術バカ」の世間知らずであったかを思い知り、企業経営やマーケティング、財務会計などの勉強を始めました。
その後、中小企業診断士の資格取得を機にコンサルタントに転身し、企業の経営支援や建設プロジェクトのマネジメントにあたってきました。
50歳のとき、大学の先輩に請われて外資系企業の副社長になりました。ここでは、営業、採用、経理等々、雑用も含めて何でもやり、多くの失敗も経験しました。経営実務を体験し、コンサルタントとして外から見るのと、中で自らやるのでは大違いだと実感しました。貴重な経験でした。
ゴールを設定しないことです。社員研修専門の講師の方から、「研修では、最初にゴールを設定することが大事だ。」と聞いたことがあります。社員研修では、社員を一定のレベルにすることを求められるので、ゴールを明確にする必要があるのだと思います。
社会人大学院は社員研修とは目的が違う、と私は思います。同じ授業を受けても、何を感じて何を学び取るかは人それぞれです。授業のゴールも人それぞれでよいと思います。
社会人大学院の受講者は、それぞれのキャリアを経て集まった個性豊かな面々です。各自の経験から思考にバイアスがかかることもありますし、議論が噛み合わないこともあります。それを許容しながら共に学び、それぞれのゴールを目指すのが、社会人大学院だと私は思います。
Information
毎週金曜日17時~18時30分
建設業経営、建築設備、再生可能エネルギー、プロジェクトファイナンス
《現職》
・日本工業大学大学院 技術経営研究科 専任教授
・技術コンサルタント
《学位》
・修士
《学歴》
1988年 早稲田大学 理工学部 電気工学科卒業
2010年 日本工業大学 専門職大学院 技術経営研究科修了
2015年 立教大学 大学院 ビジネスデザイン研究科修了
《経歴》
1988年~2005年 清水建設(株) 設計部勤務
2005年~2014年 (有)ファイブ・コンサルティング 代表
2014年~2019年 Mott MacDonald Japan(株) 副社長
2019年~ 現職
《資格》
技術士(電気電子)、第2種電気主任技術者、1級電気工事施工管理技士、建築設備士、中小企業診断士
《著書》
「3日間でできるLLP設立ガイド」日本実業(共著)
「日本版LLCはこうつくる」日本実業(共著)
「LLCの設立・運営ができる本」日本実業
「起業のお値段」日労研
「建設業 残された選択肢」同友館(共著)
「女流経営」メディア総研(共著)
「マンガでわかる電気設備」オーム社
「電気設備が一番わかる」技術評論社
《学術論文》
・「中小企業経営者に対するMOT教育の有効性に関する考察」 日工大MOT特定課題研究(2010年)
・「建設関連企業のソーシャル・キャピタルと業績に関する研究」立教大MBA修士論文(2015年)
・「中小建設業M&A」建設業しんこう(2009年1月号、2月号)
・「これからの建設市場と新規事業」建設業しんこう(2008年6月号)
・「新時代の建設業経営」積算資料(2007年4月号、10月号)
・「中小建設業者のための経営改善講座」建設業しんこう(2007年5月号)
・「注目の新しい会社組織LLCとは」横浜産業振興公社IDEC now(2007年2月号)
・「会社法の素朴な用語」ビジネスデータ(2007年1月号)
・「建築電気防災」電設技術(2006年10月号)
・「新事業形態LLPの魅力」ビジネスデータ(2006年1月号)
・「コンサルタントLLP設立事例」企業診断(2005年11月号)
・「中小企業白書ポイント講座」企業診断(2005年7月号)