NIT MOT Letter #96

ビジネス英語は中学までの英語で十分に対応できる

  • 五十嵐 博一
  • NEW
  • 2025年03月26日

私が外資系企業に転職したのは、50歳を過ぎてからのことでした。当初、英語はまったくしゃべれませんでした。

 私が外資系企業に転職したのは、50歳を過ぎてからのことでした。当初、英語はまったくしゃべれませんでした。ほんの数行の英文メールを読解するにもグーグル翻訳を使い、そのメールに短い返信するにもグーグル翻訳を駆使し、午前に1通、午後に1通くらいのメールのやり取りしかできませんでした。そんな毎日が続く中でも、よく使う単語は少しずつ読み書きできるようになっていきました。職場の同僚とも、毎日少しずつ会話することが増えていき、徐々にコミュニケーションがとれるようになっていきました。まさに、「習うより慣れろ」だと思いました。

 少しずつ英語でコミュニケーションができるようになって気が付いたのは、使っているのはほとんどが中学で習った単語や文法だということでした。私のような初心者レベルでは、特定の場面で現在完了形を使うことはあっても、過去完了形とか未来完了形なんて使うことはありませんでした。

 職場の同僚は英語ネイティブのイギリス人やアメリカ人、カナダ人のほかに、ドイツ人やポーランド人、スペイン人やフィリピン人、ベトナム人、中国人などなど、英語ネイティブでない人たちも多く、お客さまにも英語ネイティブでない方々もいて、かなりクセのある発音で話す人もいました。しかし、みな、コミュニケーションのために共通言語として英語を使っているので、クセのある発音やちょっとした文法の間違いなども気にすることもなくコミュニケーションをとっています。このような場では、ネイティブ特有のスラングや慣用句などは使われません。難しい文法も必要ありません。

 最近のYouTubeでは、アメリカ人がよく使うスラングや慣用表現などを紹介する英会話系ユーチューバーや帰国子女ユーチューバーを見かけます。彼らはあたかも、日本人が学校で学んだ英語は役に立たないかのように煽っています。しかし、少なくとも私が経験してきたビジネスの現場では、アメリカ人しか使わないようなスラングや慣用表現などは使われません。

 海外から出張でカタコトの日本語しか話せない外国人が来たときに、わざわざ難しい日本語表現を使うような意地悪なことはしないでしょう。外国人も同じです。コミュニケーションのための共通言語として英語を使っているのですから、意思疎通ができなければ意味がありません。非ネイティブの人に対して、わざわざスラングなどを使うはずがないのです。

 私が通った英会話スクールでは、「簡単な言い回しを覚えて、毎回、同じように話せばよい。難しい言い回しを覚えて駆使する必要はない。」と教えられました。私はこの教えを実践してきましたが、それで困ることはありません。

 少なくとも初級レベルのビジネス英語は、中学までの英語で十分に対応できます。日本の義務教育って、よく考えられているんですね。

五十嵐博一

五十嵐博一(専任教授)

専任教授(実務家教員)

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