本研究科の岡本和也教授が指導された博士後期課程院生、綿引康介さんが博士(学術)を取得されました。同氏は国立大学法人・山口大学大学院創成科学研究科に在籍され、岡本教授は本学専任教授として着任後も、前職の同学技術経営研究科・客員教授として教鞭をとられています。
綿引さんの学位論文は「特許における情報開示の適正評価手法に関する研究-先端半導体材料分野を主体として-」です。この研究は日本が競争優位を有する「先端半導体用フォトレジスト」分野に焦点をあて、特許公開に伴う情報開示リスクと登録特許の権利範囲の均衡を探ることを目的としています。特許は独占権を取得できる一方、情報公開によるリスクも伴うため、出願時には権利範囲とリスクを慎重に評価する必要があります。しかし、従来の研究は第三者視点に偏り、特許価値評価手法が主流で、明細書と請求項の関係性は十分に検討されていませんでした。
本研究では、①自社が利用できる権利範囲、②他社へ有効な情報を与えない範囲の2点を満たすため、明細書や特許付与情報に基づく情報開示の特性と評価方法を究明しました。具体的には、自然言語処理技術(BERT)を用いた明細書の課題文章分析、審査過程ごとの情報開示特性の特定、主要企業と競合他社の特許情報開示特性の比較分析、請求項の文字数や知識グラフを分析し特許公開に伴うリスク低減手法の検討、被引用特許の出願時期の移動平均相関係数や請求項の文字数の年次推移を分析し、特許群の明細書の特徴を抽出するなどから特許公開による情報開示リスクを低減できる可能性を見出しました。
綿引さんは博士後期課程の3か年,鋭意研究を進められ,予備審査、本審査、公聴会の3つのDefenseを経て、2025年3月17日に山口大学・谷澤幸生学長から博士(学術)の学位が授与されました。