岡本和也教授は、2026年7月16日に開催された日本実装技術振興協会 第239回講演会において、招待講演を行いました。講演題目は「Hyper-Scaling時代における半導体集積の多様化と高度実装技術の価値」です。
本講演では、2nmノード以降のポストムーア時代を迎え、先端半導体における技術革新の主軸が、前工程と後工程の融合を基盤とした集積化技術の多様化へと移行しつつある現状について解説しました。
岡本教授はこれまで多くの学会・研究会で半導体技術に関する講演を行っていますが、本講演では視点を高度実装技術に置き、その価値を複数の観点から定量的に考察しました。具体的には、下記を独自の研究成果として発表しました。
・微細化に伴う総合コストの増加を定量的に評価し、高度実装の経済的価値を示したこと
・生成AI時代におけるAI半導体の複雑性(トポロジー)をレントの法則から導出し、脚光を浴びるChiplet化の必然性を示したこと
・TSMCが実装工程(後工程)の重要性をいち早く認識し、ビジネス戦略として展開している状況を、コブ・ダグラス型生産関数を拡張したモデルにより分析したこと
また、設計、製造、実装、材料、装置を含む半導体産業のバリューチェーンが大きく変化し、新たな産業エコシステムの形成が進んでいることを示し、さらに、Hyper-Scaling時代における価値創出の本質は単なる微細化競争ではなく、前工程と後工程を横断したクロスドメインな協調最適化にあることを論じました。その上で、高度実装技術がポストムーア時代における付加価値創出と競争優位性を支える戦略基盤技術へと進化していることを示しました。