MOT Human Resource Development for Digital Era
VUCA*の時代といわれる現在、デジタル技術により直面する経営課題を解決し、さらにはイノベーションを創出するデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されている。日本が提唱する「Society5.0の実現」に向けて、目的とする対象(事業対象など)を広くシステムとして捉え、部分最適から全体最適への思想の転換が求められる。このような背景において、まさに「実工学」の世界観のなかで各機関(企業・組織)はデジタル技術と技術経営(MOT)との巧みな融合に伴う高度人材育成は重要な位置づけにある。
*VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)テクノロジーの進化により、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあることを総じての呼称。
本科目は「戦略論」と「技術論」の2つから構成される。「戦略論」はデジタル活用の経営組織、データ活用による意思決定のほか、知的財産権を主軸とする法規までを包含し議論する。「技術論」はDXの主軸であるデジタル技術の基礎(例えば、2進数やビット/バイトの概念)からAI(人工知能)/ML(機械学習)の仕組み、戦略物質である半導体について実例紹介や演習を交えながらやさしく解説する。それらを応用した情報技術や情報経営に関わる知識取得に加え、簡単な回帰モデルによる市場予測の試算等を軸に、企業での新事業創成(事業創造)やStartup企業を創り上げる上で必要不可欠な能力を高める。ここでは、ChatGPT(生成AI)を有効活用した手法論も理解する。また,外部からゲスト講師を招き,実践的内容により理解を深める.体得すべき様々な能力に向けた広範囲な講義と演習を行うことで、「デジタルMOT人材」としての基盤力を養うことを主たる目的とする。
デジタル技術の概要およびそれを活用した経営課題解決・事業創造に関する概念を理解し、企業経営・事業創造に関わる計画概要を自身で策定し、実践できるようになる。
将来に向けて延伸するDX・デジタル時代の中心的役割を担いたい院生、ChatGPT(生成AI)の活用によるMOT人材育成に興味を有する院生を歓迎する。職種や理系・文系は問わない。
(本科目は「3コース共通科目」です。コースを問わず、積極的に受講してください。)
(予習)事前配布の講義資料をもとに、デジタルとMOTの融合思想による事業創造と中小企業経営のあり方について考えを纏めておく
(復習)デジタルとMOTの融合思想による事業創造と中小企業経営のあり方について復習し、理解できなかった点を纏める
デジタルMOTの基礎論
1)本講義の概略、2)デジタルとMOTの融合思想による事業創造と中小企業経営に関わる考え方・ディスカッション
(予習)事前配布の講義資料をもとに、企業と組織、デジタル技術の利活用のあり方について考えを纏めておく
(復習)デジタルMOTの戦略について、理解できなかった点を纏める
デジタルMOTの戦略論(1) 企業と組織、デジタル技術の利活用
1)企業活動と経営資源、経営管理、2)経営組織、3)IT活用の現状
有
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(予習)事前配布の講義資料をもとに、構造化データの意味、その利活用について理解しておく
(復習)デジタルMOT戦略の基本であるデータに基づく意思決定について、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(2) データとそれに基づく意思決定手法
1)業務におけるデータ(構造化、非構造化)、2)データの利活用と可視化による業務分析、3)データ分析の基礎:演繹的手法と帰納的手法、4)データに基づく意思決定
(予習)事前配布の講義資料をもとに、データからの市場予測と投資回収に関する概要を理解しておく
(復習)データ活用の重要性を復習し、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(3) 会計・財務とデジタル化
1)会計と財務の基礎、2)データからの市場予測と投資回収分析、3)デジタルマーケティング概論
有
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(予習)事前配布の講義資料をもとに、デジタル関連の代表的な法規について理解しておく
(復習)デジタル関連法規について、その代表的事例を復習し履修者各位の立場から体系化する
デジタルMOTの戦略論(4) デジタル関連の代表的な法規
1)知的財産権、2)セキュリティ関連法規、3)労働関連・取引関連法規、4)情報倫理、5)標準化
(予習)事前配布の講義資料をもとに、AIの定義およびそれを活用したデジタル戦略と事業化計画について理解しておく
(復習)デジタルMOTの基礎であるAIの基礎を理解し、これを技術経営へ展開する上で理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(5) 技術戦略とAI(人工知能)
1)技術戦略と事業化計画、技術ロードマッピング、2)ビジネスシステムとAIの利活用・留意点
有
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(予習)事前配布の講義資料をもとに、システムの電子化について概要を理解しておく
(復習)デジタルMOT戦略の一つであるシステムの電子化について復習し、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(6) システムの電子化
1)エンジニアリングシステム、2)電子商取引(e-ビジネス)、3)IoTシステム
(予習)事前配布の講義資料をもとに、システム化計画から調達計画までの概要を理解しておく
(復習)システムと計画に関する全容を復習し、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(7) システムと計画
1)システム化計画、2)要件定義、3)調達計画
有
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(予習)事前配布の講義資料をもとに、システム開発からサービス・監査までの概要を理解しておく
(復習)講義を経て得られた知識を復習し、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの戦略論(8) システム開発とサービス、監査
1)システム開発、2)開発プロセス、3)サービスシステム、4)システム監査と内部統制
(予習)講義資料をもとに、デジタルの基礎である2進数の基礎を事前に理解しておく
(復習)2進数の定義から演算等を復習し、理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの技術論(1) デジタル入門
1))デジタルの基礎となる2進数の表現、2)10進数から2進数への基数変換、3)2進数の加減算、4)ビットとバイトの概念、5)論理演算、6)確率と統計入門
有
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(予習)講義資料をもとに、AIの概要を理解し、ヒトとの共存価値を理解しておく
(復習)AIおよびDL(深層学習)までの一連の内容を理解し、実際の簡単な動作を確認する
デジタルMOTの技術論(2) AIと機械学習,生成AI入門
1)AI(人工知能)とは何か、何ができるのか、2)AIと「ヒト」中心の世界観、3)機械学習:深層学習等の基礎と簡単な動作の実践,4)生成AIの原理と入門
(予習)講義資料をもとに、半導体の基礎から応用までを理解しておく
(復習)先端半導体に関する日本のあり方について、講義から得られた知識を纏めておく
デジタルMOTの技術論(3) 半導体基礎論
1)デジタル技術・AI技術の戦略物質である半導体とは何か、2)半導体の微細化と高密度実装、3)先端半導体産業論・企業論:日本と海外の戦略比較、4)プラットフォームとしての内製化戦略(マグニフィセント・セブン)
有
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(予習)講義資料をもとに、コンピュータシステムの概要を理解しておく
(復習)コンピュータハードウエアについて、講義を経て理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの技術論(4) コンピュータハードウエア・コンピュータソフトウエア
1)コンピュータシステム概論、2)システム構成要素各論:CPU、記憶装置、入出力装置とインターフェイス、ハードディスク、OS、ファイルシステムなど・ 3)データ構造、4)アルゴリズムとプログラミング基礎(言語)、5)データベース、6)ネットワーク、7)情報セキュリティ
(予習)講義資料をもとに、コンピュータソフトウエアの概要を理解しておく
(復習)コンピュータソフトウエアについて、講義を経て理解できなかった点を纏めておく
デジタルMOTの技術論(5) 生成AI
1)生成AIの原理の復習,2)プロンプトエンジニアリング,3)生成AIを活用した新事業創成演習
有
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(予習)講義全体を振り返り、理解できなかった点を整理する
(復習)最終課題について考察し、講義の全容を理解する
デジタルMOTの結論
デジタルによる戦略と技術の融和、総括とディスカッション
有
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著書を参考に、最新のパワーポイント資料による講義を行う。質疑応答を交えながら双方向に進め、個人演習とグループワークでの討議を加えることで理解を深める。
独自の講義テキストを利用する(講義時もしくは講義前に配布する)。
MOT 研究開発マネジメント入門(岡本和也、2020、初版4刷、ISBN-13:978-4254201673)
本講義に関連する参考図書は適宜紹介する。
授業態度、個人演習およびグループワークでの成果内容
60 %
個人演習に加え、グループワークを適宜行う。予習・復習状況、質疑応答など講義およびグループ活動への参画姿勢、グループワーク資料の発表・内容などを総合的に評価する。
提出課題の内容評価
40 %
個人課題として提出されたレポートを評価する。
本講義は次世代MOT人材として必須の内容を網羅的に履修し、本学の他の教科との錬成を目指す。「技術論」ではデジタルの入門から、「戦略論」では経営学の入門的内容から開始し、文系・理系の素養に問わず、履修者全員が一定の理解をできるように講義を進行する。個別演習のほか、ChatGPT(生成AI)を有効活用したグループワークを適宜行い、デジタル技術の概要およびそれを活用した経営課題解決・事業創造に関する概念を理解できることを目指す。そのために教員と院生が常に双方向に会話をしながら進める。マイクロソフトExcelの基礎知識があることが望ましい。
(本科目は「3コース共通科目」です。コースを問わず、積極的に受講してください。)
院生諸氏とは常に会話をしながら、可能な限りわかりやすい講義に努める。