NIT MOT Letter

技術経営Topics #1「問題解決のために必要なこと」

  • 清水弘
  • 2017年07月22日

本稿では、技術経営に関連するTopicsを都度取り上げ、本研究科教員が解説をします。

問題を解決するためには、問題を定義しあるべき姿を描きながら、問題の原因を把握し解決策を計画する、さらに実行、評価、そしてさらなる展開を行う、といった一連のステップや手法が必要です。注意する必要があるのは問題のタイプによって、問題定義から原因把握や解決策を考えるアプローチが異なることです。

問題はあるべき姿と現状とのギャップとして生じると言えます。そのギャップを解消することが問題解決となります。
待ち合わせ時間(あるべき姿)に遅れそう(現状)なのでタクシーに乗る(解決策)といったレベルの問題から、製品のスペック(あるべき姿)に対して、製品の不良によるクレームが多い(現状)、その問題解決のために原因、分析、解決策を考える必要があるといったものまで、様々なレベルのものが考えられます。

トヨタの問題解決では、問題のタイプは発生型問題、設定型問題、将来型問題に区分しているようです。発生型問題は原点(あるべき姿)よりも下回っている現状を問題解決するものです。設定型問題は原点に対して新たなあるべき姿を設定し、そのギャップを解消するため問題解決し、将来型問題は将来の環境変化を予想してあるべき姿を設定し、同様に問題解決します。

問題解決のステップは一般的には、1問題の洗い出し、2問題の定義と絞り込み、3あるべき姿・目標(再)設定、4要因分析、5解決策・計画立案、6実行、7評価、8定着と横展開の8ステップで進めます。
問題解決が進まない原因に、

  • 問題の定義やあるべき姿・目標が明確にならないままに、漠然とした要因分析を行うことで真因が定められないこと。

これが大変多いです。また、

  • 問題解決のステップを理解しないまま、ある人は要因分析を、別な人は問題の定義のつもりで議論しており、問題解決に携わる人たちの議論がかみ合わないことがあります。

これらは問題解決のステップを理解することで解決します。

特に問題解決を難しくしているのは、

  • 複雑な問題となっており、個別に問題解決してもモグラたたきのようになってしまう場合があります。

このような場合には、イシュー分析といった手法を使って複雑な問題を一度整理して、イシュー(=課題)を定義し、検討を進める方法をとります。通常は問題に対し要因分析として検討しますが、この場合は問題を総合的にとらえ解くべき問題をイシューとして定義することから始めます。

因果分析は5なぜ的に上から下へ原因を分解していく方式で良いのですが、相互に連関する複合問題を総合的に解決する場合は課題(イシュー)を設定、検証し解決していきます。このアプローチの使い分けが大変重要です。

清水弘

清水弘(専任教授)

  • 専任教授(実務家教員) 研究科長
  • ビジネスエンジニアリング株式会社 社外取締役
  • アーサー・D・リトル株式会社(ADL)シニアアドバイザー
  • 日本の中堅製造業の監査役や中国の自動車部品企業のCEOアドバイザー
  • 研究・イノベーション学会会員

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