1単位
春学期
木曜日 1・2時限目
MOTの概念的理解 中小企業診断 基礎段階
中小企業診断コース コース基本科目
技術経営(MOT:Management of Technology)とは、技術を活かした経営である。製造業に限らず、何らかの技術に立脚した事業を行う企業は、持続的発展のために、技術が持つ可能性を見極めて事業に結びつけ、経済的価値を創出していく必要がある。優れた技術力があっても、それを経済的価値に転換するマネジメント能力がなければ、事業を持続的に発展させることはできない。技術を活かした経営によって事業を持続的に発展させるためには、技術力とともに技術を経済的価値に転換するマネジメント能力も高めていかなければならない。
技術を経済的価値に転換するマネジメント能力を形成する要素は多岐に渡り、一朝一夕で修めることはできない。院生には、本研究科に設けられた多様な科目を1年かけて学修することによって、マネジメント能力を高めることが期待されている。
本科目では、マネジメント能力を形成する要素の中から、技術経営の初学者が技術経営に対する理解と関心を深めるために有効と考えられるいくつかの要素をオムニバス形式の授業で紹介する。技術経営の導入として、全ての院生に受講してもらいたい科目である。
多岐に渡る技術経営領域の中からいくつかの分野をピックアップし、技術経営の初学者向けに解説する。まずは技術経営に興味を持ってもらい、技術経営の概念や技術経営が関わる領域について理解を深めてもらうことを目的とする。
技術経営を学ぶにあたり理解しておきたい事項について、各回の担当教員がそれぞれの専門分野の視点から解説する。受講者には、各回の内容を自分なりに咀嚼して理解を深め、受講後には自分の言葉で講義内容を要約して話せるようになることを目指してもらいたい。
この科目は、技術経営の導入として3コース共通科目に設定されているので、全院生に受講してもらいたい。
(予習)技術とは何か、なぜ、経営者は優れた技術を求めるのか、自身の考えを整理しておくことが望ましい。
技術の構造的な理解(浅見)
先ず、MOTの入り口である「技術とは何か」から説明する。
次に、システムアーキテクチャ、公理的設計の理論を引用して、効率的に顧客価値に貢献する方法を説明する。近年、製品はプロダクトサイクルの短縮、顧客要求の多様化、製品の複雑化、製品開発の難易度が高まっており、顧客自身が顧客要求を明示できない程に複雑な競争環境の中にある。この様な状況において、顧客の曖昧な欲求から、物理的に表現できる機能要求へと変換(定義)し、複雑な製品を合理的に単純化し効率的に実現するための方法について説明する。
(予習)組織のリソ-スは限られている。3Mなど限られたリソースの中で集団成果を最大化するために、リーダーはどのようなマネジメント工夫を実践しているか、自身の考えを整理しておくことが望ましい。
企業倫理と職業倫理の重要性(浅見)
企業行動は投資家、消費者などのステークホルダー、そし大切な仲間(社員)へ大きな影響を与える。倫理観の欠如した企業行動は社会や環境や従業員に甚大な被害を与える。
本講義では、倫理学のFundamentalな立場を用いて、企業倫理、職業倫理について説明する。そして、倫理学の伝統的なテーマである最高善、中庸、責任の連続性についてアリストテレス『ニコマコス倫理学』を引用し説明する。倫理学のレンズから見える経営手法として「共感力」をモチーフに組織成果を最大化する方法、モラール(集団戦闘力)を最大化する方法について議論する。
有
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(予習)事前配布の講義資料をもとに、経営戦略と技術戦略・研究開発戦略の関係性を理解し、特に中小企業経営の視点での戦略の流れについての考えを纏めておく
(復習)経営戦略と技術戦略・研究開発戦略の関係性から事業創造と中小企業経営のあり方について復習し、理解できなかった点を纏める
経営戦略と技術戦略・研究開発戦略(岡本)
企業における、経営戦略と技術戦略・研究開発戦略からなる「戦略系統図」の概念を理解し、特に、中小企業における既存・新規事業の価値創造・価値獲得に向けての戦略の全容を議論する
(予習)事前配布の講義資料をもとに、生成AIおよびDXの概要を理解し、デジタル時代における中小企業の経営戦略と知財戦略、産学連携についてどうあるべきか、自身の考えを纏めておく
(復習)DX時代におけるAIの適用性,経営戦略と広範囲な知財戦略、最適な産学連携について、理解できなかった点を纏める
生成AI・DX時代の経営戦略と知的財産戦略(岡本)
生成AIの有効活用を前提に,DX時代における企業の経営戦略の本質を理解し、特に中小企業における知的財産戦略のありかたについて議論する。さらに、産学連携についても言及し、Stokesの4象限モデルを適用した価値創造に向けた戦略の本質を議論する
有
個別フィードバック
(予習)AI・機械学習について、事前配布の講義資料をもとに概要を理解しておく
(復習)AI活用イノベーションのあり方について復習し、理解できなかった点を纏めておく
生成AI・DX時代のデジタル活用によるイノベーション(岡本)
AI(人工知能)とML(機械学習:学習+推論)とは何か,様々な機械学習とその活用をもとに,AI活用イノベーションの新しい波,AI時代のデータ保護とオープン・クローズ戦略,を議論し, 生成AI(ChatGPT)の本質とイノベーション創出の適用性について考える
(予習)事前配布の講義資料をもとに、DX時代の経営戦略と中小企業における最適な組織体について理解しておく
(復習)DX時代の中小企業における最適な組織体について理解できなかった点を纏めておく
DX時代の経営戦略と組織論(岡本)
DX時代における企業の経営戦略の本質を理解し、5つの組織形態図をもとに、大企業・中堅中小企業における最適な組織体について議論する。特に、Dynamic Capability(状況の感知、組織の再編成と新たな組織への変容に関わる)、両利き経営等の古典的なセオリを現在に射影し、最適な組織体とは何かを見出す
有
個別フィードバック
(予習)事前配布の講義資料をもとに、【ディスカッションポイント①~③】についての自身の考えを纏めておく
(復習)【ディスカッションポイント①~③】について、受講生との議論を踏まえて、イノベーションと価値創造について復習し、理解できなかった点を纏める。
MOTと価値創造ー1(三宅)
イノベーションと価値創造とは何かについて、受講生と議論通じて本質を理解する。
例えば、イノベーションとは、「社会に役立つ新たな価値の創出であり、顧客が高くても喜んで買いたいと熱望する価値を、低コストで創造すること」と定義できる。
・イノベーションとは、社会に役立つ新たな価値の創出
・イノベーション=価値づくり=付加価値創造
・デザイン思考、アート思考/アフォーダンス理論、ジョブ理論
・デジタル・ビジネスモデル探索のための「3つの分析手法」
【ディスカッションポイント①】「顧客価値とは何か?」
【ディスカッションポイント②】「高付加価値経営のマネジメントとは?」
【ディスカッションポイント③】「技術的価値と意味的価値」
有
個別フィードバック
(予習)事前配布の講義資料をもとに、【ディスカッションポイント④】についての自身の考えを纏めておく
(復習)【ディスカッションポイント④】について、受講生との議論を踏まえて、イノベーションと価値創造について復習し、理解できなかった点を纏める。
MOTと価値創造ー2(三宅)
MOTと価値創造ー1での議論を通じて、次の2点が浮かび上がる。
❶ 価値とは「何らかの個人の満足を得ること」
❷ 企業という組織は「個人の満足」と「社会の満足」をつなぐ機能
このような認識に立ち、イノベーションに向けた「人」と「企業」との新たな関係について、受講生と議論を通じて模索する。
・「学び」を続ける社員を中心に据えて、企業経営者は相応しい“場/機会”を提供する努力
・顧客や取引先、社内関係者との対話を通じて、相互理解に努め、作用・反作用に関する想像力を育む
・小さくても「変えることができた」という社員の経験を積み重ね、多数の社員が「変えることができる」と実感できる職場環境づくり
・ベンチャー企業への人材(転職者)供給源となり、同経験者の出戻り社員の積極受入れ
⇒ 開放系の試行錯誤ができる ⇒ 新たな企業価値と社会的価値の創出に繋げる
【ディスカッションポイント④】「人と企業との新たな関係」
有
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予習:
マーケティングの「STP」「4P」とは何かを調べ、自社のケースを整理しておく。
復習:
講義内容を復習し、自社の製品/サービスのバリュープロポジションキャンパスを完成させる。
市場ニーズ起点の技術戦略と顧客価値創造(小笹)
技術シーズ起点の発想に偏りがちな従来の技術戦略から脱却し、市場ニーズを起点とした戦略立案の重要性を学びます。顧客が本当に抱える課題(Pain Points)をどのように捉え、分析し、未充足ニーズ(Unmet Needs)を発見していくのか。そして、そのニーズに応えることでどのような顧客価値を創造できるのかを、具体的なフレームワークや事例を通して理解します。特に、バリュープロポジションキャンバスを用いた顧客価値の明確化は、後半の技術と市場ニーズの統合に不可欠な要素となります。ディスカッションを通して、自社のビジネスにおける顧客価値について深く考察します。
連続授業のため前回と同じ
技術と市場ニーズの統合と事業化戦略(小笹)
前半で明確にした市場ニーズと顧客価値に基づき、技術シーズをどのように活用していくのか、そして具体的な事業化戦略にどのように落とし込んでいくのかを学びます。技術シーズと市場ニーズのマッチング方法、ギャップ分析、そして顧客価値を最大限に活かすためのビジネスモデル構築について、具体的な事例を交えながら解説します。また、変化の激しい市場環境において、どのように事業を成長させていくのか、今後の技術経営とマーケティングの展望についても議論します。
有
個別フィードバック
各回の担当教員により授業方法に多少の違いはあるが、一方的な講義だけではなく、インタラクティブなディスカッションを取り入れた参加型の授業形式を主体に進める。
各回とも、担当教員から資料を配布する。
岡本和也:MOT研究開発マネジメント入門(朝倉書店,ISBN:978-4-254-20167-3 C3050,Kazuya Okamoto:Introduction to R&D Management ―Management of Technology― (Asakura Publishing, ISBN:978-4-254-20176-5 C3050)
浅見
25 %
授業への参画姿勢と授業中に提示する課題リポートにて評価する。
岡本
25 %
授業への参加姿勢と提出課題を総合的に評価する
三宅
25 %
授業への参画姿勢と授業中に提示する課題リポートにて評価する。
小笹
25 %
授業への参画姿勢と授業中に提示する課題リポートにて評価する。
(オンライン受験可 不可)
この科目は技術経営の導入として3コース共通科目に設定されています。支障のない限り、全院生が受講してください。