NIT MOT Letter #91

経営者は生成AIをどのように使っているのか?

  • 小林克
  • 2024年11月09日

大学院の教員以外に、中小企業支援の仕事をしている。 毎月訪問している顧問先でよく話題に挙がるのは、生成AI活用についてである。他の企業では、どのように生成AIが活用されているのかについてよく問われる。

大学院の教員以外に、中小企業支援の仕事をしている。

毎月訪問している顧問先でよく話題に挙がるのは、生成AI活用についてである。他の企業では、どのように生成AIが活用されているのかについてよく問われる。

最近では、「Chat GPT」を使ったAIコーチングが経営者によく活用されている。AIコーチングは、AIを活用して行うコーチングプロセスで、従来人間が行っていた対話を人工知能が行う。AIコーチングについては、少し前まで、テキストのチャットボットが限界であったが、音声で対話を行うことが出来るようになり活用する経営者が多くなった。

AIコーチングにおいては、いわゆる目標達成や自己成長をサポートするものとしてコーチングとして活用されるのが、一般的な使い方である。しかし経営者によっては、多様な使い方がされている。

一番多いのが、アイデアの整理の壁打ち相手として活用である。新規事業を考える際に、自分の考えを音声で伝えることで、フィードバックや追加のアイデアをもらうことができるというのである。こういった話になると、大抵毎月一度しか訪問しない私よりも、迅速な意見交換ができると皮肉を言われる。

また語学学習についても活用されている。英会話の練習相手として使用し、音声で質問を投げかけ、返答を聞くことで、リスニング力とスピーキング力を向上させるという。何よりも時間が無い経営者にとっては活用しやすく、たとえ拙い会話力でもAIが相手ならば恥ずかしくないという。

それ以外としては、会議や打ち合わせのメモとしての活用である。会話をそのままテキストに変換してくれるため、手動でのメモ取りが不要となる。常に新しい情報が必要となる経営者にとっては、後で見返すのには非常に便利だというのである。

支援するコンサルタントの現場でも、もはや生成AIは欠かせないものとなっている。今まで知らない業種への二次情報の収集は、書籍や業界紙などから行っていたが、それがWEBから情報取集できるように変わり、今では生成AIを活用することで、より短時間に把握することができるようになった。これは今までのコンサルタントが時間を掛けて行ってきた情報収集は、ほぼ価値を持たなくなったことを意味している。

既にそれ以上の戦略形成やデザイン、コピーライティングなど幅広い分野まで生成AIが活用され、専門家が必ずしも必要としない時代は、既に来ている。技術の進歩で、求められ人材も変容する。これからは技術を使う側を注視しながら、知識のブラッシュアップする領域を見極める姿勢が問われていると日々感じる。


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小林克

小林克(専任准教授)

専任准教授(実務家教員)

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