博士(学術)
AkiraNakamura
Question
プログラム&プロジェクトマネジメントの基礎(プログラム編)、プログラム&プロジェクトマネジメント応用、中小企業プログラム立案ケーススタディ、社会・企業・技術の先進動向、社会課題とテクノロジーという5つの科目を担当しています。
プログラムとは、複数の有機的につながりのあるプロジェクト群から構成され、プロジェクトよりも上位の目標の達成を目指す枠組みです。現在社会に存在する課題は、多種多様で、かつ複雑化しています。その中で従来のプロジェクトマネジメントという枠組みだけでは、目的を達成することが難しくなってきたことから、2000年ぐらいから世界でプログラムマネジメントいう考え方が広がりました。当大学院においては、プログラムという枠組みとプログラムマネジメントの社会課題解決や企業価値向上への適用に関する授業を担当しています。現代社会は、あらゆる面で日々変化する状況にあり、変化への対応が、生き残るために必須の課題であると考えられます。そのためには、現状を読み取り、未来に向け、あるべき姿、ありたい姿を描き、その取り組みを実践化していくことが重要であると考えられます。担当する科目では、社会の動向、技術の動向、そして企業、個人がどうあるべきか、を考えながら、複雑な課題の解決や新しい価値創造をどのような道筋で、どのようにマネジメントして、達成するのか、というテーマに取り組みます。
アイデアを発散的に洗い出し整理収束するための考え方、ロジックモデル、システム思考、デザイン思考、行動経済学などを方法論として活用します。授業を通じ、技術の価値をどのように引き出すのか、SDGsやPRI/ESG投資など、昨今話題となっている動きをどのように理解し、それにどのように対処すれば良いのか、という点についても答えを出していきます。
社会人としての最初の出発点は、橋梁エンジニアでした。吊橋、斜張橋と呼ばれる、スパンの長い特殊橋梁の耐震、耐風、疲労などの解析・設計に従事しました。技術とは何か、エンジニアの役割とは何か、といった点について様々な経験を通じ、考える機会となりました。1981年にアメリカで出版された「America in Ruins(荒廃するアメリカ)」という書籍がエンジニアとしての自分の考え方を大きく変化する転機となりました。今まで目標としてきたアメリカの歴史的橋梁が通行止め、落橋の危機に瀕しているとの事実を知り、構造物、インフラは建設するまでの技術だけでなく、完成後、人間の命のように健康に維持していくための仕組みが重要であることを認識しました。
もともと途上国問題に関心があったことから、キャリアの多くをJICAという組織で過ごし、途上国の開発プロジェクトに従事しました。途上国の直面する多くの社会課題に取り組み、改めて技術とは何か、社会課題を解決するために必要な要素とは何か、そのアプローチはどうあるべきかかということについて、試行錯誤する機会となりました。個々の要素的技術に加え、その技術を社会に生かすための技術、いわば専門技術を社会に橋渡す技術の重要性を知りました。
以上の経験を経て、現在自分自身が担当するプログラムマネジメント、社会課題解決へのアプローチなどの担当する科目の授業内容が出来ています。
直近の4年間は大学教育に従事し、今までの実務家としての経験を整理・体系化しつつ、教鞭を取っています。目標とするところは、社会に役立つ、実践に適用可能な教育の実現にあります。講義という形でクラスに問題提起を行いしつつ、クラスの方々と共に学び、新しい知を築くことを目指しています。
大学院の授業は、教員だけでは決して作れないものだと考えています。リカレント教育に相応しい素材をクラスに参加された方々に提供するとともに、共に考え、学び合うことが重要であると考えています。科目によって、授業の方法や素材は、異なる面はありますが、受講者の皆さんに新しい気づきを与え、参加者の皆さんの考えや知見も引き出し、それにより活力のあるクラスが実現するよう努力しています。
Information
春学期:金曜日 20時10分~21時40分 土曜日 13時30分~16時40分
夏学期:火曜日 18時30分~21時40分
秋学期:火曜日 18時30分~21時40分 (隔週)
冬学期:土曜日 13時30分~16時40分
プログラムマネジメント、ステークホルダーマネジメント、現状分析、社会調査、社会課題解決、SDGsなど
分野としては、地域活性化、観光開発、インフラ開発、都市・地域開発、ジェンダー、防災、開発マネジメント、サステナビリティ、組織改革、人財育成、新しい価値の創造、海外展開など