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【No.25】レジリエンスの力

NIT MOT Letter

No.25 / 浪江 一公(専任教授)

 

レジリエンスの力



先日仙台に出張し、偶然、仙台の三大祭りの一つの青葉まつりの開催日に重なり、老若男女が街を練り歩きながら太鼓や笛に合わせて飛び跳ねて踊る「すずめ踊り」を見る機会がありました。インターネットで検索すると「すずめ踊り」とは、仙台城築城の宴席で石工たちが即興で披露した踊りにはじまり、はね踊る姿が餌をついばむ雀の姿に似ていたことから「すずめ踊り」と名付けられたとあります。実はこの踊りを見て、恥ずかしながら不覚にも涙が出てしまいました。太鼓や笛に合わせて踊る市井のごく普通の女性が(3分の2の参加者は女性でした)、天真爛漫に本当に楽しそうに躍動感豊かに踊る姿や、感情表現豊かな顔の表情が、大変感動的であったからです。

 

 そしてその翌日、仙台での訪問先からの帰りのタクシーの中で、タクシーの運転手と7年前に仙台地区を襲った東日本大震災の話になり、仙台市でも千人以上の方が亡くなり、いまだ発見されていない方も相当数いるとの話を聞きました。また震災直後には、ラジオで24時間、あちこちの地区で次々と発見されどんどん増える死亡者の数が放送されていたことなど、その当時のなまなましい状況の話などを伺いました。そのタクシーの運転手の話を聞きながら、人間というのは7年前にあのような未曾有の経験をしていても、「すずめ踊り」で見たような溌剌とした人間に戻れるのだなという強い思いが湧きあがってきました。

 

英語にレジリエンスという言葉があります。それは復元力などと言う意味です。この仙台の人達の例は、もちろん肉親を失うなど一人一人の心の奥底では忘れられないつらい体験ではあるでしょうが、人間には厳しい状況に直面し心理的に大きな傷害を受けても、時と共に元の心理状態に戻る、もしくはそれ以上に強くなることができる復元力、すなわちレジリエンスを持っていることを示しているのだと思いました。

 

人間は生きていれば、仕事でも私生活でも山あり谷ありで、時には耐え難いつらい思いを経験し、結果的に心理的に大きな傷害を受けることもあるでしょう。しかし、人間というものは我々が考えている以上に強いもので、そこから立ち直る力を持っている、レジリエンスを持っている。だから何が起こっても何とかなる。自分自身もそうだし、日本人皆もそうであると。今回のことは、そんな気持ちにさせてくれる経験でした。

 

是非皆さんも機会があれば、仙台の青葉まつり、行ってみてください。毎年5月の第3日曜日とその前日の土曜日に開催されています。

 




浪江 一公(専任教授)

 

次号(No.26)は 萬代 憲司教授 が執筆予定です。

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